64「怒号」
アンの悲鳴が響く中――
――ティーパの頭部が、地面に落ちて、転がり――
「お兄ちゃああああああああああああん!」
「ティー兄いいいいいいいいい!」
――リカとマーサが泣き喚く。
「……そん……な……。……ティー……パ……」
――眼前の光景に絶望し、膝から崩れ落ちるアン。
すると、マーサの身体から――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――膨大な量の闘気が迸り――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――怒りで顔を歪めながら泣き続ける彼女は――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――膨れ上がった闘気の全てを、右の拳に集中させて――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――黒く輝く魔法障壁にぶつけて――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――粉々に破壊した。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
肩で息をするマーサは、顔を上げて、シャウルに詰問する。
「今の魔法障壁、神殿の前にあったでかい魔法障壁と、似た感じがした」
両方に殴打を叩き込んだマーサだからこそ、何か感じるものがあったのであろう。
黙って聞くシャウルに対して、マーサが続ける。
「それに、さっき、黒い魔法障壁が現れる直前に、君の手がちょっと動いたのが見えた」
「! ほう……」
片方の眉毛を上げ、僅かに、感嘆の溜息を漏らすシャウル。
「ティーパを殺したのは、〝聖魔石〟じゃなくて、君じゃないのか?」
その問いに、シャウルが、いつも通り大仰に答えた。
「フッ。だとしたら、どうする?」
「!」
――マーサは――
「殺す!!!」
――殺意に燃える瞳で、睨み付けると――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――再びその身から、闘気が膨張していき――
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――跳躍し、シャウルに渾身の一撃を加えんとする――
――が。
「待て、マーサ」
「!?」
――背後から掛けられた声に――
――もう二度と聞くことは出来ないと思っていたその声に反応して――
――シャウルの顔面に触れる直前で止めた右拳を引くと――
「ティー兄!」
――生きていたのだと、歓喜の声を上げて、振り返ったマーサが目にしたのは――
「強くなったな、マーサ」
「ティー兄が、生首で喋ってるううううううううううううううう!」
――地面に転がったままの〝頭部のみ〟の状態で会話するティーパだった。




