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58「もう一人の転生者」
「あたし……え? ……は?」
混乱したアンは、言葉を失くす。
「どわはははははははは! ティー兄は面白いな!」
「お兄ちゃん、流石にそれは冗談が過ぎるの! 〝こんなん〟でも、一応生きてるの!」
「悪かったわね、〝こんなん〟で!」
腹を抱えて笑うマーサと煽るリカに激しく反応するアン。
「で、どういう事よ? まさか、本当に冗談だって言うんじゃないでしょうね?」
問い詰めるアンに、ティーパがいつもの無表情のまま答える。
「俺は、元々いた世界――異世界で殺されて、この世界に転生して来た訳だが……俺と一緒に殺された奴が一人いた」
その言葉に、アンが何かを察して――
「え? それじゃあ、まるで、あたしが――」
「そうだ。お前は、俺と共に異世界で殺されて、この世界に転生して来た者だ。そして――」
俯き、目を閉じたティーパが、再び目を見開くと――
「殺される前――お前は、俺の実の妹だった」
「!!!」
――そう告げた。