表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/72

57「生き返らせたい人物」

 夕陽が照らす中。

 つい先刻まで神殿を構成していた物――地面に散乱する瓦礫に、思い思いに座ったティーパたち。


「で、何でそっちに行くのよ、まーちゃん!?」


 悲し気に声を上げるアンが縋るような視線を向けるのは、ティーパの頭の上という定位置に戻った魔王だ。

 

「ソイツは、死にそうだったまーちゃんを見殺しにしようとしたのよ! あの時、まーちゃんを助けようとしたのは、この中であたしだけよ!」


 必死に訴え掛けるアンに――


「こっちの方が慣れてるまお!」


 ――そう答えた魔王は、ぽつりと付け加えた。


「それに、お前からは、あの〝頭おかしい僧侶娘〟と同じ匂いがするまお……」

「うっ!」


 ――悍ましい物を見るような目付きをする魔王に、アンは、一瞬硬直する。


「あ、あたしがあんな事する訳ないじゃない! お願いだから、信じて、まーちゃん!」

「プイッ、まお!」

「ガーン!」


 ――そっぽを向かれて、ショックを受けるアン。


「プププ。いザマなの! 下心って、隠しててもバレるものなの!」

「ティーパを襲うために、夜な夜な〝ベロチュー練習〟していたあんたにだけは言われたくないわ!」

「なっ!? リカはただ、お兄ちゃんを癒やすために特訓していただけなの!」

「あんなんで誰が癒やされるかああああああ!」


 リカに全力で突っ込んだアンの声が、周囲に響く。


「どわはははははははは! アンねぇたちは本当に面白いな! どわはははははははは!」


 ――それを見ていたマーサが、大口を開けて笑う。


 ぜぇぜぇと息を切らしたアンは――


「………………」


 ――徐にティーパに視線を投げると――


「……そう言えば、あんた。さっきの……〝アレ〟って、……どういう事よ?」


 ――頬を紅潮させて、どこか聞き辛そうにしつつ、上目遣いで質問した。


 ティーパは、「〝アレ〟……」と復唱しつつ、斜め上を見上げて、思考した後――


 ――はたと手を打った。


「『俺の本当の目的は、とある人物を生き返らせる事だ』と言った事だな」

「『パンツ(ミューチュアル・)相愛(パンツ・ラブ)』の発動条件に関してよ! 確かに、そっちも気になるけど!」


 見当外れの答えに声を荒らげるアンだったが、ティーパは相も変わらず、感情の読めない顔で――


「俺が生き返らせたい人物は――」

「あ、そっちから話すのね。別に良いけど」


 ――アンを真っ直ぐに見据えると――


()()()、アン」

「!?」


 ――そう告げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ