55「闇を穿つ光」
迫り来る、世界最強最悪の〝暗黒炎漆黒光線〟に対して――
――アンは、闘気で覆いその上から炎魔法で包んだ銀剣に――
「『雷』! 『風』!」
――更に、雷魔法・風魔法を重ね掛けした。
――と同時に、銀剣の刀身が、眩い光を放ち始める。
「まおーはっはっは~! 如何に〝究極魔法剣〟と言えども、魔王の『漆黒大炎焔魔王ビーム』は止められないまお!」
高みから降り注ぐ嘲笑に、だがアンは動じず、代わりに――
「『水』!」
「まお!?」
――更に、銀剣に水魔法を重ねて――
「『氷』!」
「ちょっ!? 待つまお!」
――何が起こっているのか分からず、焦る魔王を無視して――
――アンは、刃への重ね掛けを続ける。
「『地』!」
「土魔法まお!?」
「『岩』!」
「岩魔法まお!?」
「『光』!」
「光魔法まお!?」
「『闇』!」
「光魔法使えるのに、何で闇魔法まで使えるまお!?」
「『泥』!」
「ど、泥まお!?」
「『鉄』!」
「て、鉄まお!?」
「『溶岩』!」
「よ、溶岩まお!?」
「『植物』!」
「しょ、植物まお!?」
「『空気』!」
「く、空気まお!?」
「『音』!」
「お、音まお!? もう滅茶苦茶まお! 何が起こってるまお!?」
混乱する魔王を、ティーパが真っ直ぐに見据えると――
「言ったはずだ。『パンツ相愛』の二つ目の効果は、〝俺が付与したいと思った才能を、任意で与える事が出来る、というものだ〟と」
――ぽつりと漏らした。
「俺がアンに対して付与したのは、〝全属性の魔法を扱える才能〟だ」
「!!!」
――アンの銀剣が、虹色の輝きを放ち――
――眼前に迫り、襲い来る〝暗黒炎漆黒光線〟を――
――アンは――
「〝超極大究極魔法剣〟おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
――咆哮と共に――
――闇を切り裂いて駆け上る、虹色に眩く輝く光の奔流によって――
「まお!?」
――真っ二つに斬ると――
「そ、そんな!? げ、迎撃するまお! 『漆黒大炎焔魔王ビーム』! 『漆黒大炎焔魔王ビーム』! 『漆黒大炎焔魔王ビーム』!」
――連続発動された〝暗黒炎漆黒光線〟を――
「ま、まお!!??」
――瞬時に斬り伏せて――
「ちょっ、ちょっと待っ――」
――勢いそのままに――
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
――魔王の巨躯を一刀両断した。