表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/72

44「籠絡」

 流石にかなりの魔力を消費したのか、全身を覆っていた猛炎が消え、虚空に静止しつつ、肩で息をするディクセアに――


「ディクセア」

 

 空を見上げたティーパが、語り掛けた。


「俺たちの背後にあった光の壁は、今まで、誰にも破壊出来なかった代物だ。何せ、人々を恐怖のどん底に落とし、震え上がらせたの魔王を封印した、史上最強の〝勇者〟が設置した魔法障壁だ。数百年もの間、数々の猛者たちが、この魔法障壁に挑み、散って行った。誰一人として、突破出来た者はいなかった」


 いつになく真剣な声色に、ディクセアは、静かに聞き入る。


 その様子を確認しつつ、ティーパは、更に言葉を紡ぐ。


「そんな、最強防御を誇る光の壁を、初めて破壊したんだ」


 ディクセアは以前、突如才能が開花してしまったせいで、『無限に溢れ出す自分自身の力を持て余してしまい、どれだけモンスターを狩っても癒やせない』と言っていた。

 

 ティーパの狙いは、恐らく、人類史上初の偉業を称える事で、達成感を味わわせて、鬱憤を晴らさせる事なのだろう。


「………………」


 ディクセアは、無言で地上に舞い降りると――


「誰が行ったか。それは、他の誰でもない、お前だ、ディクセア」


 ――ティーパへと近付いて行き――


「お前は、歴史上、誰にも成し遂げられなかった偉業を成し遂げた」


 ――眼前で立ち止まると――

 

「ウェーダン王国第一王女、ディクセア」


 ――ティーパの言葉に――


「お前が、史上最強だ」


 ――憑き物が落ちたような表情を浮かべて――


(あの化けも――やんちゃな王女さまを籠絡するなんて、すごいじゃない! これが狙いだったのね!)


 ――アンが内心で賞賛する中――


 ――晴れやかな顔をしたディクセアは――


「俺は、お前を誇りに思うよ」


 ――そう語り掛けるティーパの――


「がはっ」

「「「「!?」」」」


 ――()()()()()()()()()――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ