9「不気味な老婆と小屋」
「死ぬって……一体どういう事ですか!?」
不穏な言葉にアンが反応するが――
「ふん。警告はしたからね」
――老婆は、何も答えずに立ち去ってしまった。
「……どうする?」
「いや、行く。ただし、警戒しつつ、だ」
「……うん、分かったわ!」
ティーパは塀の隙間から敷地内に入り、緊張した面持ちでアンが続く。
「何の花かしら?」
「さぁな」
見た事も無い花や草が大量に生えており、〝獣道〟と言った方が適切ではないかと思われるような細道を辿って行くと――
――開けた場所――建物の玄関前に辿り着いた。
明るく綺麗なこの町で、負の要素を全て押し付けられたかのような小屋の前に。
「行くぞ」
「……うん!」
いつも通り無表情なティーパと対照的に、肩に力が入った様子のアンが、唾を飲み込む。
コンコン。
ティーパが玄関をノックをする。
――が、何の反応も無い。
コンコン。
再び、ノックをする。
――だが、やはり、中からは物音一つしない。
「お留守かしら?」
「………………」
小首を傾げるアン。
「鍵は――」
ティーパが無造作にドアノブを掴んで回し、軽く引いた後――
「――掛かっていない」
「え? そうなの?」
――ドアを開けると――
「死ねええええええええええええ!」
「!」
――突如、青髪ショート少女が中から飛び出して来て、包丁を振り下ろした。