『太宰治問題』
『太宰治問題』
㈠
太宰治、何度も心中をして、しかしその芸術性は素晴らしい。人々から、これだけの共感を得るというのは、本当にすごい。普遍性を突いているのであって。自分のことを、人間失格などと言ってしまえること自体がすごい。
㈡
しかし、やはり心中。自殺とはまた違う、他者を道連れにしての行為。太宰治の様な人が沢山現れたら、我々は困るのである。であるからして、小説家それ自身と、芸術とは別もので、自殺や心中を賛美すべきではない。
㈢
難しい問題だ、心中などをしてしまえるからこそ、そんな破滅的だからこそ、書ける芸術があるともとれる訳である。とにかく、太宰治問題としては、作品を読んだ人に、死んではいけませんよ、と一言告げるべきだろう。