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27話 意外な才能発揮します?

 魔物の森で鍛えた魔法の力試し! もいいけれど、今はそれより優先したいことがあった。

 私は今から、このイノタンを卸しに行かなければならないのだ。買い取ってくれるお肉屋さんが閉まる前に店にいかないと!


 無視を決めることにして、私を運んでくれているフェンに話しかける。


「フェン、ジャンプして飛び越えられる?」

「可能だと思うぞ。あの丸薬があれば、造作もない」


ジュリアの従者たちに道は阻まれているが、さしもの彼らも空中までは警戒できなかろう。


フェンの望み通り、私は彼に本日二度目の魔力玉を含ませる。がりがりとかじった彼は、またしても大きくなる。ひょいっと人垣を超えようとするが、

「あっ、イノタンが!」

「……む」


誤算があった。

フェンの背は安定感があったため、単に背中に乗せていたのだが……。


身体が大きく変化したことにより、まるでローラーみたいに勢いがついてしまい、イノタンの肉だけが地面へと落下してしまったのだ。


私が、落ちていくそれを振り返るのを見るや、彼らはそれを囲い込む。これが私を引き留めるためのキーアイテムだとみたらしい。


実際、あれを放置しては肉屋へ行く意味もなくなってしまう。


うーん、仕方がないか。私はフェンが着地をしたところで、彼らの方を振り返って貰う。


「…………私の大事なドロップアイテムを返しなさい」

「あなたこそ、あたしのエリゼオを返しなさい! いったい、あんたみたいな卑しい人間がどうやって王子を落としたのか、怪しいところね。惚れ薬でも盛ったんじゃなくって?」

「残念ですけど、そんなものに手を出せるような身分ではないので」

「くっ、ああ言えばこう言う!!」


 その言葉、そっくりそのまま返してやりたいくらいよ、ジュリア。


「ぼさっとしてないで、やっておしまいなさい、あなたたち! 大丈夫よ。エリゼオ王子は助けに来たりしない。こんな小娘一人相手なら、前のような不覚はとらないわ、あっさりと倒せるわ。おーほほほほ!!」


街の一角での騒動だ。あたりはざわざわと騒がしくなるが、それをジュリアの手のものが押さえ込む。


言うに事欠いて、「この女がエリゼオ王子に妙な色仕掛けをする悪女だ」なんて吹き込んでいる。


「あいつが、噂の……」

「聞いたぜ、なんでもエリゼオ王子がお熱なんだとか」

「ありえないわよね、あんな女らしさのかけらもなさそうな女。庶民の私の方がまだましな格好してるくらいだし」


 完璧に悪者にされんとしていた。


 うーん、違うと叫んでも無駄な奴ね、これ。だって家のランクが違いすぎるし、知名度だって明らかに私の方が劣る、ジュリア・エルミーニ。

 エルミーニ家は、代々王族のバトラーとして仕え、また各地の有力な領主たちにその血が繋がる超一流貴族だ。


 歴史と威厳が、デムーロ男爵家とは大違いである。


「この大悪人を成敗するのよ、やりなさい」


ジュリアの非情な命令により、彼女の従者たちは武器を向けてくる。

やるしかなさそうだが、こちらから攻撃を仕掛けて、あとあと問題になっては厄介だ。


私は両手を結んで、魔法を発動する。呼び出した水で作り出したのは、四方を囲う壁だ。


公爵家の私兵を相手どるわけである。中には魔法を使える者もいるだろう。


手練れ相手にどれくらい通用するのか、正直分からなかったけれど、


「な、なな、なんだ、この壁は!!」

「とても壊せそうにありません! 槍の穂先が跳ね返されます!!!」


あら、意外とどころかかなり優秀な強度になっているらしい。


水壁に視界を阻まれて、自分でもよく見えないけれど、とにかく敵の攻撃が中まで入ってくることはない。

炎の玉も、風のナイフも、弾いてくれているようだ。


魔法というのは使えば使うほど、上達していくもののようだ。

それは、直接戦闘していなくてもいいらしい。


最近では、屋敷の中にいるときにも、水魔法を使って料理をしてみたり、汚れた服を洗濯してみたりとしていたから、それが活きていたようだ。



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