エピローグ
浩志とロザは番組が終了後、帰宅していた。苦情の電話が鳴りやまないので、電話線を抜いた。
ロザ「…。」
浩志「これで、『原子力発電が必要である前提で原子力発電の安全性を議論する事』をタブー視する空気が払しょくされれば良いと思う。」
ロザ「でも結局語られたのは原発の存廃の是非だけで、肝心な原子力の安全性については語れなかったわね~。」
浩志「まぁ、本格的な原発の安全性を議論するとなれば、専門家が居ないと話にならないからなぁ。」
ロザ「でも文系の集まりでも理解できる程度には原発の安全性を語りたかったわ。」
浩志「文系の人間だけで原発の安全性を議論するには限界があるから今度は原発推進派の専門家に助っ人に来てもらって議論したいな。」
ロザ「原発の存廃じゃなく原発の安全政策を議論する事が大切だって早く国民に理解して貰いたいわ。」
二人は自分達のSNSを見てみた。思った通り大炎上していた。しかし、中には賛同の声も見られた。
浩志「これで原発の存廃ではなく、原発の安全性についての議論が活発になると良いな。」
ロザ「わざわざテレビに出た甲斐があったわね。」
ロザはツヤツヤの長い髪の毛を誇らしげに掻き揚げた。
浩志「ありがとう、ロザ。僕はこれからも原発の真実を訴える運動を続けていくよ。」
浩志はそれからも原子力発電の安全性を訴える活動を続けた。嫌がらせや誹謗中傷も相次いだがそれでも屈しなかった。会社からも圧力がかかったが、圧力にも屈しなかった。浩志は原子力発電が核の本来あるべき正しい姿だと信じ、核の平和利用と核兵器の廃絶を訴えた。核の兵器の廃絶と核の平和利用を主張し続けたのである。
浩志「原子力発電は最もエコで最も効率が良く最も平和的なエネルギーです!」
バッシングや抗議も受けたが次第に支持者も増えていった。
浩志「『憎まれっ子世に憚る』とはこの事だな。」
浩志は多くの人々に憎まれる反面、支援してくれる声も増えていったのである。
浩志「狡い人間は嫌われるだけだが、狡賢い人間は嫌われもするがその分好かれもする。だったら狡賢い人間になってやる!」
浩志は開き直っていた。自分の主張が嫌われるものだと理解していたからだ。しかし、その一方で事実を言っているだけだとも理解していた。だから、原子力発電の安全性と平和性を訴え続けるのだった。
若本浩志「奪原発論、完!!!」