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奪原発論  作者: 日本のスターリン
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第5章 嫌われる勇気

 上司は聞き入れようとしなかったが、浩志は原発に賛成する人々について独自の取材を行い、個人的に原発を推進する活動を続けた。すると、浩志が原発を推進している記者として周りから噂されるようになり始めたのである。

 そんな時である。浩志に対する嫌がらせの電話や手紙が相次ぐようになったのだ。その殆どが誹謗中傷であり、中には脅迫じみたものもあった。しかし、浩志は原発を推進する活動を止めなかった。


浩志「不当なバッシングには屈さない。僕は原発の真実を伝え続ける!」


 しかし、浩志に対するバッシングや嫌がらせは次第に悪化して行った。

 ある夜、ロザが窓を開けて夜風に当たり、自慢の長い赤髪を靡かせていた。すると野球の硬式球が飛んできてロザの顔面に命中した。


ロザ「あんっ!!!いった~い!」


 ロザはその衝撃で後ろに倒れた。さらに二球目の軟式球が窓ガラス目掛けて飛んできてバリンと窓ガラスに罅が入った。


ロザ「いやあああああああ!!!」

浩志「どうしたんだ?!何があったんだ?!!」

シルエット「原発野郎!!!原発を止めろー!!!!」


 不審者と思われる人影はそう叫ぶと自転車に乗って逃げ去っていった。


浩志「ロザ、大丈夫か?怪我は無かったか?いや、あったようだな…。」

ロザの顔には軟式球の模様がくっきりと痣になって派手に残っていた。

ロザ「あーん…私の美貌が壊されたぁ…。」

浩志「酷い事をしやがる。また脱原発信者の悪質な嫌がらせか!」

ロザ「窓ガラスにも罅が入ったわ…。」

浩志「割れなくて良かった。割れていたら近くにいたロザに破片が刺さって大怪我をしていたかも知れない。これは立派なテロ行為だよ。言論と学問に対する挑戦行為だ!!」


 その日、警察に被害届を出したが、犯人は捕まらなかった。そして、バッシングや嫌がらせはさらに続き、ついに殺人予告にまで発展してしまう。浩志に殺人を予告する脅迫文が送られてきたのだ。


浩志「くそっ!言論の自由と学問の自由を脅かすテロ行為だ!!」

ロザ「恐ろしいわ。もう止めましょうよ。放射脳テロリストを挑発するのはもう…。」

浩志「テロリストには屈さない!不当なバッシングには決して折れない!」

ロザ「あんたが正しいのは分かるわ…。でも私…怖い…。」

浩志「お前は僕が守る!何、僕は警察が守ってくれるさ。日本は法治国家だ!テロには絶対に屈さない。『こういう事があるから自由な発言を辞めよう』という考えではその時点でテロに屈している!」


 また被害届を出したが、結局殺人予告犯も捕まらなかった。


ロザ「これだけの事件が起こっても、マスコミは全く報じないのね…。」

浩志「メディアは自社の社益や社是に反する主張をする人間が脅迫されても見て見ぬふりだ!これが『報道しない自由』だ!」

ロザ「ジャーナリズムは若本くんを見殺しにしたのね…。」

浩志「いいや、それは違う!日本にジャーナリズムは存在しないんだ…。」

ロザ「北海道大学の原発を推進してる教授に対する殺人脅迫事件もマスコミは報じてないものね…。」

浩志「某朝日の元記者に対する脅迫事件は大きく報じたのに、僕ら原発推進者に対する事件は紙面の隅にすら載りゃあしない。日本のメディアは社是に合わない人間の言論の自由など保障するつもりはない。日本にジャーナリズムは存在しないのさ。」


 日本にはジャーナリズムは存在しないのであった。

 嫌がらせやバッシングを受けながらも浩志は原発推進運動を続けた。そんな時だった。あるテレビ番組から出演依頼が届いた。原発を議題に討論するという番組だった。


ロザ「どうするの…?テレビに出る気?」

浩志「当然だ!原発推進者がテレビで発言できる数少ないチャンスだ!テレビは原発反対派と一緒にしか原発推進派を呼ばないからな。原発推進者がテレビで発信できるのは討論番組ぐらいだ。」

ロザ「テレビで顔を出すとバッシングと誹謗中傷がさらに激しくなるわ…。それでも出るの?」

浩志「テロには屈しないと言っただろう?当然出る!ロザ、お前はどうする?出演依頼はお前と僕の二人に来ている。ロザが僕の原発推進活動を手伝っているのも既に向こうは知っているようだ。」

ロザ「私もなの!?」

浩志「嫌なら僕一人ででも出るぞ。お前は無理しなくても良い…。」

ロザ「……。」

浩志「………………………………。」

ロザ「……わ、分かったわ。私も出るわ。」

浩志「本当か!?本心で出てくれると言っているのか!?」

ロザ「本音を言うと嫌だけれど、あんた一人に背負わせるのはもっと嫌!私も一緒にテロと戦うわ!」


 ロザは長い赤髪をサラ―と得意げに掻き揚げて決断した。

 こうして、浩志とロザはテレビ番組出演を決めたのだった----。

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