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奪原発論  作者: 日本のスターリン
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第2章 日本にジャーナリズムは存在しない

 それから1年が過ぎた2012年12月の事だった。日本では衆議院議員総選挙の選挙運動が行われていた。この年の選挙で主に争点となったのはTPP・増税・アベノミクス、そして、原発である。

 政権奪還を狙う最大野党を除くほぼ全ての政党がメディアが伝えるエモーショナルな世論に扇動されて脱原発を掲げていた。しかし、東日本大震災が起こるまで脱原発を唱える政党など一つしか存在しなかった。

 東日本大震災が起こる前から脱原発を推進していた政党の党首は「他の政党のように選挙に勝ちたいから脱原発を掲げはじめた訳ではなく、当初から脱原発を訴えていた」と主張していた。他の政党から異存が出ないようなのでそれは事実なのであろう。

 しかし、東日本大震災が起こった後は、一部の政党を除くほぼ全ての政党が脱原発を掲げて選挙戦に挑むのであった。


浩志「脱原発と言う『マス・メディアによるポピュリズム』だな。メディアの扇動に各政党が迎合しているエモーショナルなポピュリズムそのものだ。なぜ福島第一原発と他の原発の型の違いを説明できる政党がろくに存在しないんだ…。」

ロザ「脱原発を掲げてないのは最大野党…。それと原発推進を掲げる東の党と脱原発を掲げる西の党が合流した第三極も原発0は見直したんだったかしら…?」

浩志「それら以外の政党は皆、脱原発という『マス・メディアによるポピュリズム』を掲げている。これじゃあ駄目だ。そもそも東日本大震災以前に脱原発なんて掲げていた政党は1つしか存在しなかっただろ。東日本大震災後に掌を返しているが、東日本大震災が起こった後に全ての原発が危険になったとでも言うのか?」

ロザ「その台詞もう何回も聞いたわ。選挙結果はどうなりそう…?」

浩志「当然、脱原発を掲げていない政党が勝つに決まっている。脱原発という科学的根拠に基づかないエモーショナルな机上の空論が国民に支持されるはずがない。脱原発を掲げていない最大野党が政権を奪還し、脱原発から衰退した第三極が躍進する。間違いない。」


 その通りの結果になった。12月16日に行われた衆議院議員総選挙では最大野党が歴史的大勝を収め、政権を見事に奪還した。そして、脱原発を後退させた第三極の政党が大きく躍進した。対して脱原発を掲げていた政党は軒並み惨敗した。「卒原発」という造語を造り原発0を目指していた新政党も壊滅的な敗退を遂げた。


浩志「民主主義ってこれだ!これが民主主義だ!!これこそが民意だ!!!」

ロザ「若本くんの言った通りになったわね。」

浩志「原子力発電に代わるエネルギーの具体的案も碌に出さずに、火力依存回帰ありきで『マス・メディアにポピュリズム』を真に受けるからこういう事になるのだ。碌な具体案もない脱原発が国民に支持される訳がなかったんだ!!!」

 これで原発政策が推進されていくだろう。浩志はそう思った。しかし、事はそう上手く行かなかった。全ての原発が停止させられてしまい、再稼働の目処が一向に立たないのである。

浩志「BWR以外の原発は即時再稼動してくれればいいのに何をやっているんだ。」

ロザ「火力発電がフル稼働してるせいで原油の輸入が増えて貿易赤字が大変なことになってるわ。」

浩志「その通り。アベノミクスで円安が進んだから原油の輸入量増加は痛手だし、原発停止で原油輸出国に足元を見られているんだ。だから猶更貿易赤字が膨らむ。一刻も早く可能な限り全ての原発を再稼動させるべきなんだ。」

 しかし、テレビ各局は相変わらず脱原発ありきの報道姿勢を貫いていた。テレビ各局では脱原発を主張する御用学者・専門家や文化人・コメンテーターしか呼ばなくなっていた。

 浩志がそんなテレビを見ていると見覚えのあるハンチング帽の男が脱原発を主張していた。

三留木「左派政党がリーダーシップを取って原発0を目指して欲しい。」

浩志「この裏切り者おお!!!あっさり掌を返しおって、なぜ原子力発電の型の違いについて説明しないんだ!チェルノブイリ原発事故が起こった後も原発を推進していたのと矛盾しているぞ!!原子力は人間の手でコントロールできる!コントロールできなかったのは自然災害だけだ!」

ロザ「あっさり掌を返して、マスコミの犬ね。」

浩志「そうだ。メディアは東日本大震災以前は原発を推進していた。だから三留木氏も原発を推進していたんだ。そしてメディアが掌を返した途端にこの三留木氏もそれに追従したんだ!所詮はブレまくりの腰巾着だな。」


 ところが掌を返したのは三留木だけではなかった。別の日に見たテレビに映っていたのは見覚えのある元首相だった。


大泉「政治が原発を辞めると言えば辞められる!」

浩志「?!何を言っているんだ!原発政策を現役時代散々推進し続けたくせに!」

大泉「核のごみの最終処分場の目処も立たないのに原発を稼働させるのは無責任だ。」

浩志「今更何を無責任な事を言っているんだ?!核のごみが出るのは大泉政権が原発を推進していた段階から分かりきっていた事だろう!首相時代、核のごみが出るのを承知で原発を推進していたくせに今更『核のゴミが出るから原発を止めろ』とは笑止千万だ。核のごみを処分する技術は確立されている!だからこそ大泉政権も原発を推進していたはずだ!」

ロザ「三留木氏と言い、大泉元首相と言い日和見主義者が多いわね~。」

浩志「そもそも核のごみの処分と原発の安全性の確保は個々に考えるべき別々の問題なのに核のごみ云々で原発を止めろと言うのは暴論だ。核のごみが出る事は原発の危険性を科学的に証明した事にならない。」

ロザ「原発の安全性を述べないで『核のごみ云々』って騒ぐのは、原発の危険性を科学的に説明できないって証拠よね。」

浩志「核のごみ云々で原発の安全性を論じないのは論外だ。大泉氏は原発の安全対策も事故検証も何も行っていない。大泉氏は原発の安全政策や事故検証には全く無知だ!」

大泉「首相の権力は強い。現首相が『原発を0にする』と決めれば与党内も反対できない!」

ロザ「それって『現与党は首相に逆らえない政党です』って自己紹介してるようなものよね。」

浩志「独善的だ。選挙の結果と公約を無視した発言だ。首相の権限を乱用して公約や選挙の結果を無視するようでは民主主義に反する!」

ロザ「元々大泉元首相はワンマン政権だったものね~。」

浩志「当時はリーダーシップのある首相だと思っていたが、今思えば独善的でワンマンな首相だった。郵政民営化も強引だった。」

ロザ「現与党には首相の意見に反論できないワンマンな空気が無い事を願うわ。」

浩志「大体、野党も野党だ!野党には数百人もの議員が居るのに『原発が必要だ』と声を上げられる人は数人しかいない。異常だ。『原発は必要である』という事実や前提を正面から受け入れてようとする事自体をタブー視する歪みが野党にはある。野党も与党も正しい事は勇気をもって発言すべきだ。例え現首相が脱原発を主張してもそれに反対できる勇気が国会議員には必要なんだ。」

大泉「原発を再稼動すれば核のごみは増える。ならば即時原発0が良い。」

浩志「はい?原発を稼働しようがしまいが今ある原発は最終的には核のごみになるだろ?むしろ、今すぐ廃炉にして全原発を核のごみに変えろって言っている方が無責任じゃないか?核のごみの最終処分場がないと言う主張と矛盾していないか?」

ロザ「最終処分場が決まってないと廃炉もできないわよねぇ?」


 浩志やロザが感じている疑問や指摘を日本のメディアは一切行わないのである。日本のメディアは大泉の太鼓持ち役・トス役としか機能していなかった。日本のメディアにはジャーナリズムのジの字も無かったのである。

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