1.おやすみ
昔からどうも"少女漫画"が苦手だった。
内容もさることながら絵柄も私にとっては可愛すぎるもので得意ではなかった。
幼い頃から些か現実主義なところがあったと思う。
特に取り柄のないヒロインが学園のイケメン達に見初められ逆ハーレム、そんな状況になりながらもどこか鈍感で各方面からの好意に気づくことなくライバルの女の子から嫌がらせを受ける。
そして困難を乗り越え本当のヒーローと結ばれてハッピーエンド。
現実味がなさ過ぎて、友人から「これすっごく面白いから読んでみて!絶対にハマるから!」と熱く勧められた少女漫画を読んでも内容にのめり込めないことが多々あった。
そんな私だが年を重ねるにつれ少年漫画や青年漫画には見事にハマり、アニメ鑑賞グッズ取集などオタクへの道を辿っていった。今では推しの為に働いているようなものだ。
このような素晴らしい趣味のおかげで気づけば彼氏なし結婚願望なしのアラサーへと変貌していた。
最後に彼氏がいたのはいつだったかと思い出せないくらいに…。
推しに貢ぐ日々が楽しく、特に困ったことはなかったがお節介(良くも悪くも)な同期から
「この漫画今すっごく流行ってるの!最近ときめいたことないでしょ?読んでみなって!恋したくなるよ~」
と少女漫画を押し付けられた。
割と失礼なことを言われた気がしたが、この同期悪い奴ではないしまぁいいかと読んでみることにした。
帰宅し一息ついて同期から借りた例の漫画を手に取る。
あまり気乗りはしないが絶対読んで感想を送れと言われてしまったので渋々読む。
パラパラと読み進めるがやはりテンプレな展開を広げる内容でため息をつく。
絵柄は正直好みでそのおかげで読み進めれているところがある。
もしかしたらどんでん返しがあるかもしれない、となんとか自分を鼓舞し読み続けようと意気込むが、ここ最近の仕事が激務だったせいか途轍もない眠気に襲われた。
ああ、読まないと…でも瞼が…
私の視界は闇へとつつまれていった。