暗躍者
ロミオトラップが得意な男、ジュリアス・フラン。
だけど本人は肉体労働としか思っていないスーパードライだし、面食いなのでトラップ仕掛ける相手も選ぶ。そしてそつなくこなす。
実はゼファールも得意だけど修羅場るから全力拒否。
静まり返る喧噪。大通りからも人の気配がまばらとなり、奥まった歓楽街は昼間とは打って変わって賑わいが増す時間。
露出の多い女たちが、婀娜っぽい視線で男たちの意識を誘う。
美しい花々。彼女たちは一夜の快楽と安らぎ、または情熱と引き換えに糧を得る。徒花のような一時の享楽を与え、日夜春をひさいでいる。艶やかに笑みを刻む紅。しっとりとした眼差しに、歌うように誘う声。薄闇に浮かぶ四肢はどこまでも女だった。それが、その町の日常だ。
奥まった裏路地で一際男女が絡み合っていた。啄むような口づけをしている。その口が「貴方だけよ」と月並みな言葉を囁く。ややあって名残惜し気にその人影たちが離れる。
その女が、いったい何人の男に同じことを言っているかなど路地から消えた男はしらないのだろう。
ガラス越しにこの場所では当たり前の光景を見下ろす。
窓枠に腰を掛け、冷めた目で安っぽい魔石の明かりが瞬く街を見下ろす。
この場所は色々な人間が集まる。後ろ暗い過去がある者、その日の嫌な事を一時忘れたい者、未知の世界を覗き見たい者、成り上がりたい者、引き摺り落とされた者――上から下までキリがないくらい。
この場所には様々な人間が集まる。だからこそ情報も集まる。
眩い宝石を身に着け豪奢なドレスを纏い、一夜で平民の年収を吹き飛ばすような高級娼婦がいる。そのすぐ隣の小道には、一食分にもならないはした金で身を売る場末の娼婦がいる。
この花街でも特に敷居の高いだろうこの娼館。貴族の一室にも引けをとらない調度品。部屋も清潔だし、寝具も悪くない。だが、やはり公爵家には劣る。
「ねえ、シュルス。何を見ているの?」
するり、と白い腕が男の体に絡む。
シーツの海から、豊満な体をした女が僅かに上気した頬を寄せる。ブルネットの豊かな巻き髪が散らばる。白いシーツと女の白い肌がそれぞれを引き立て合う。
「最近来なかったじゃない。私、寂しかったのよ?」
絡み付くように甘いリリームスクの香り。この女の代名詞ともいえる香水が薫る。甘えるように身をしならせ、男に身を寄せる。シュルスと呼ばれた男は、開けたシャツに手を伸ばされ漸く女の方を向いた。
「ねえ、シュル――」
女の唇に男は、ベッドサイドのチョコレートを突っ込んだ。唐突に口に入れられ、不機嫌そうな顔をしたのも一瞬。女はその美味しさに顔をほころばせた。
ちらりと女がベリルのようだと称賛される瞳を動かすと、なるほどと納得した。
乱雑に開かれていたものの、見覚えのある人気店の包装紙。味も品質も超一流店のロゴの入ったものは、その日も男が渡したい人物に届くことの無かったものだ。だが、女は自分へのプレゼントだと思っているあたり、幸せなのだろう。
女は目に焼き付けるように男を見る。うっとりとしたその視線は、媚ではない情念がある。
美しい男だ。光の強さによって赤銅に見える髪も琥珀のような瞳も、細身に見えて引き締まった体も、怜悧な視線も、滑らかであり淡麗なやや低めの声も全てが魅力的だった。
とらえどころのない男。隙の無い立ち振る舞いの中に、気品がある。
高級娼婦でも人気のある女ではあったが、数いる客の中でもこの男は特別だった。
冷ややかであるがスマートで、どこか遠くを見ている。だが、肌を重ねるとき、ゆらゆらと絡めとるような熱が灯るのがたまらなく好きだった。
「やる」
それだけ言うと、男は立ち上がってするすると手早く着替えた。そして、あっさりと部屋を出て行ってしまった。
猫を思わせるしなやかな身のこなしで、男は路地を抜けていく。背が高く非常に端正な容貌であるにもかかわらず、誰も目に留めない。存在感希薄で、ミルクが流れる水に溶けるように雑踏に紛れる。
いくつかの街路を抜けたとき、男が一際暗い道から一軒の家にはいる。そしてそっと手首に触れる。その一瞬、赤銅の髪が漆黒に変わり、琥珀のような瞳が鮮やかな紫水晶へと変貌する。無造作になっていた髪を手早く整え撫でつけた後、細いフレームの眼鏡をかけた。乱れた胸元をきっちりと止め、纏っていた貴族風の上着を暖炉に投げ込んで、引き出しから平民の着るような木綿のシャツや少し着古した雰囲気のあるベストをとる。だが、女の香水がついている気がして、さきにシャワーを浴びてからにしようと着るのは止めた。多少の肌寒さはあるが、コートがあればまあいいだろう。
あの娼婦は人気があった。贔屓にしている貴族も多く、中には貢ぎ過ぎて破産した者もいる程だった。なかなかいい情報源だったが、最近しつこい。
媚びる中に、客と娼婦以上の関係を求め始めている。
それなりに気に入っていたが切り時だった。
「おー、朝帰りかい? 流石いいとこ貴族の従僕様は場末の女じゃ相手にならねえってか?」
「御託はいい。調べはついたか?」
「へいへい、わーってるって。コッワ、そんな顔で睨むなよ。おっかねぇな」
部屋の奥からやってきたどこか草臥れた、だが油断ならない男。やる気がなさそうにこっちきな、と顎をしゃくられる。
娼婦にシュルスと呼ばれた男――ジュリアス・フランは安っぽい扉に消えていく男の背を追った。
王都のタウンハウスで執務をしていたキシュタリアは、深夜にもかかわらずうずたかく積まれた書類に内心辟易しながらも筆を走らせる。
先日、懇意の商人からアルベルティーナからと万年筆を受け取った。
やはりというべきかアクアブルーの万年筆は、キシュタリアの瞳の色を思わせる。グレイルに贈られた物より、心なしかほっそりとして少し遊びのあるデザインだ。持ち手に螺鈿で公爵家の紋章が描かれている。そして、透かし彫りの蔓薔薇が角度によって浮き上がる。ペン先は銀色でふっくらとした曲線が優美だった。
明らかに一点物、値打ち物である。
さっそく使ってみたが、持ちやすいデザインもさることながらインクの伸びもいい。受け取ったペンとともにカートリッジ式インクを貰ったので、暫くは持つだろう。
もともと当主代行として山積みの仕事はあったが、それとともにグレイルの逝去により急な爵位引継ぎや、それに伴う雑務も増えた、雑務の大半は、キシュタリアは傍系で本来なら栄えあるラティッチェ公爵家として相応しくないというものの相手だ。
キシュタリアを養子に迎えると決めたのは養父のグレイルだし、そのためにしっかりと教育された。他人といっていい程離れた分家のキシュタリアを引き取ったのは、余程目ぼしい候補者がいなかったからだろう。近い分家は真っ先にアルベルティーナに近づく価値なしと切り捨てたのは容易に想像がつく。
正しき青き血筋だと声高に言うが、それに伴うほどの実力はない。家柄と血筋という後光に頼っているだけだ。
その時、眠気覚ましの紅茶を持ってきた従僕。手早く処理済みの書類を回収し、広がった書類を整える。ライティングデスクから離れたキシュタリアは、固まった体を伸ばして湯気をくゆらせる紅茶のある席へと移動した。茶請けは独特な歯ごたえと口当たりのあるクッキーだ。確か豆乳クッキーというものだ。
胃にもたれない割に、腹持ちがいい。
これもアルベルティーナ発案のお菓子である。
「キシュタリア様、少々よろしいでしょうか?」
「ああ、構わない」
「先の公爵家の襲撃、四名ほど使用人が消えています。二人は死亡。もう二人は失踪です。
まだ足取りはつかめていませんが、失踪前に何度か休みを貰い市街で何者かと会っていたという調べはついています」
「相手は?」
「………正式名は知りませんが通称『死の商人』と呼ばれる者たちかと」
「死の商人? 戦争屋っていわれる武器商たちのこと?」
死の商人はどこの国にも必ずちらつく、各国を股にかけて暗躍する商人だ。
戦争屋としての武器商も、彼らの側面に過ぎない。
名を変え、形を変えて常に生きながらえる歴史の負の継承者とすらいわれる。
一般的に表立って流通させることのできないものを扱っている。ほとんどが、人道からもとるもの。だが、同時に莫大な金が動くことが多いとされる。
綺麗ごとばかりじゃ成り立たないのは国も同じ。どこの国も、規制はしているが弾圧はしていない。後ろ暗いことがある権力者とは懇意になっていることが多いため、なかなか捕縛できないのだ。
表の統制者が国であれば、裏の統制者は彼らの管轄。持ちつ持たれつがある。
巨悪が崩れれば、残党どもが覇権争いをして表社会が巻き込まれるのもありある程度は黙認されているのが現実だ。
「ええ、最近は武器商よりも薬を積極的に売り出しています……隣のゴユランは相当やられていますよ。
もともと非人道的な薬剤を多く取り扱いしていました。最近、ゴユランの貴族に流行っている妙な薬が例の『お菓子』に似ています」
「お菓子って……レナリアの?」
嫌な名前を聞いた。
呪いの素体にされたカイン・ドルイットも最後の最期までその名を呼んでいた。
本来なら、王宮魔術師に監視されているはずのカイン。レナリアとともに逃亡した可能性が濃厚とあった。
襲撃の化け物は、残った魔力の残滓からカイン・ドルイットと決定づけられた。
「ええ、呼び名は色々ですよ『女神の微笑』だの『妖精の誘い』だの『天使の呼びかけ』だの、基本は快楽や催淫作用ですがどうも共通点があります」
「共通点?」
「極度の依存性があります。そして、それらを用いると特定の相手に非常に傾倒し崇拝する――どこかで聞いた話でしょう?
現にあの国は、美しいが貧民層出の娘を王妃――それも正妃に迎え入れ、王妃一派があっという間に王宮を支配し、元居た貴族を排斥し一気に勢力を書き換えたといいます。
しかし所詮は庶民以下の生活をしていた娘です。身に余る立場、考えなしに享楽と権力に溺れて、国庫を豪遊の果てに食いつぶす寸前だとか」
本当にどこかでよく似たことを間近で見た覚えがある。
平民に毛の生えたような弱小男爵令嬢が、王太子候補二人をはじめと未来の重鎮になりそうな令息や若者を次々と手玉に取ろうとしたことが学園でもあった。
キシュタリアやミカエリスはむしろ不気味に思い、不快な思いをしながら跳ね除けた。
レナリアは寄りにも寄って、この国で一番蔑ろにしてはいけないだろう人物を陥れようとして、魔王により叩き潰された。
かつて学園で女王のように振舞っていたのが夢の跡。
今では親からも見放されただの平民のレナリア。王子たちを誑かした悪女と言われている。しかも、その篭絡の仕方が薬物による依存症を伴うものなのだから、さらに恐れと怒りを買っている。
ゴユランではサンディスのように学園という限られた場所ではなく王に召し上げられた女性だったので、かなり直接的に上流界に薬物が広がったのかもしれない。
「へえ……最近あっちからの移民が多いとは思っていたけど、そこまで危ないんだ。
まあ即位してから暗君とは聞いていたけど、もう数年はもつかと思っていた。予想より早かったね」
「ええ、その王妃もその薬物に溺れているそうです。王は既に廃人ではないかと言われています。
一応王の名で政治は行われています。ですが、ここ数年式典で王の姿を見たものがいないので」
これは厄介だ。隣の国力が衰え、瓦解すれば他の国がゴユランの土地を狙う。
砂漠の多い乾燥地帯で、サンディス王国のように肥沃で水や木々に恵まれた土地ではない。だが、あの土地だからこそ現れる魔物や動物、植物は高値で取引されている。
香辛料やデザートビーの蜜、砂漠の薔薇というのは代表的なものだ。
できれば、早急に逃げた連中を捕まえたい。
「そう。捕まりそう?」
「難しいかと。既に切り捨てられているか……そうでなければ、死の商人でも幹部の可能性があります。
現在、サンディスは公爵閣下の逝去に随分荒れています」
「最初炙りだせるって言ってなかった?」
「炙りだしたのが大半、始末済みか薬漬けでした。既にまともな会話もままなりません。
使えなくなる寸前のタイミングで決行したようですね。重度中毒者でも薬を与えていれば、それなりに振舞えるようです」
「面倒な薬だな」
「ええ、薬が切れた途端廃人か狂人になります。幸い、ルーカス殿下もレオルド殿下も毒物を含め、色々と耐性のある方でしたので……
まあ、あのアバズレについていった馬鹿どもに関しては解りませんが」
王侯貴族の嫡男というものは、次期後継者として狙われやすい。
毒物などを敢えて少量摂取して、耐性を付けるようにしている。四大公爵家の一角であるラティッチェに引き取られたキシュタリアも当然その手の訓練は受けている。
「そう……じゃあレナリアは死の商人とつながりがある可能性が高いってこと?
あの馬鹿女はそんな頭脳戦できそうな感じしないけど。顔が良くて金のありそうな男に次々すり寄って、その権力頼って偉そうに振舞っていた。
少しでも頭が回ってれば当時の殿下の入れ込みようから、正妃は難しくても側妃はいけたはずだ。社交を足掛かりに、もっと仲間も増やせたはず……お粗末すぎる。
狙うならもう少し考えた方が良かったんじゃないかな? 捨て鉢だったってことかな」
「たまたま上手く行ったということも。あの女が興味ある異性に『お菓子』を積極的に使用していました。
しかし、あの女に緻密な計画などできないでしょう。堪え性もなく計画性もあまりない。
一人に絞っていたならまだ看過できましたが、学園で色々な男とまぐわっていましたし。あの女の頭では、王位継承権を持つ王子に影がついているなど、当然のことすら解らないのでしょうか。あの女が食い物にした数は……深い関係に絞っても私の調べただけで片手じゃ足りませんよ」
キシュタリアは眉根を寄せた。
薄々そんな気がしていたが、改めてジュリアスの口から生々しく報告を受けると改めてレナリアに嫌悪が湧く。
レナリアのキシュタリアを見る目は憧憬や恋慕などというものではなく、ねっとりとした熱を感じていた。あの女はキシュタリアを性対象として見ていたのだ。
年齢を重ねるとともに身長も伸び、男性的な逞しさと気品ある匂い立つような美貌を持つようになった。秋波は増え、中には火遊び目的に近づく女性もいた。
レナリアの目は、男を知った女の目だった。
今更ながらに悪寒を覚えて、不愉快さに首筋をさする。
未亡人や人妻ならともかく、学生の少女のする目ではなかった。悦楽を求めた、熱視線。
レナリアはアルベルティーナを散々悪女で淫乱な女だと嘯いていたが、ブーメランにも程がある。
「レナリアは死の商人の一員じゃなくて、ただの客ってこと?」
「少なくとも、私であればあのような口も尻も頭も軽い女は使おうと考えません」
「それは確かに。もしくは……レナリアが殿下たちに近づいているのをどこからか情報を仕入れて、そこから引き入れた可能性もある。
上手く行けば重畳程度の存在だったのかもな」
レナリアが様々な男性と浮名を流し、学園の噂をかっさらった。
大半が身分や財力のある顔のいい異性にばかり絡みに行く。婚約者がいようとお構いなし。淑女としてあるまじき言動と、ルーカスの寵愛に溺れて暴挙を繰り返すといったものだが。
学園は社交界の縮図ともいえるので、大人たちもある程度は自由にしているとはいえ、度が過ぎると咎められる。そこで培った人間関係は、将来的に事業提携や婚姻につながる可能性も十分にある。
レナリアの頭はよろしいとはいいがたい。いくら下級貴族とは言え、あの非常識さは酷いものだ。田舎貴族とはいえ、学園に馴染むにしたがって頭でしか知らなかった貴族社会を体験して馴染ませていくものだ。
作法がなっていない生徒には厳しい洗礼もあるが、貴族として生きるとはそういうことだ。
レナリアは最後まで自分を曲げなかったある意味猛者だが、あれは特例である。
「殿下たちの口にするものは、当然毒見が入るはずです。婚約者でもない一介の女子生徒の贈り物など、本来口にする可能性は低いでしょう」
「僕やミカエリスがお茶会に招待されたときには、普通に毒見もなく食べていた気がするけどね。
まあ、あれにオトされた後だっていうのもあるけど」
「最初は本当にただのお菓子だったのかもしれませんね……グレアム・ダレンかジョシュア・フォン・ダンペールであれば分かるかもしれませんが」
「カレラス卿は? 彼なら覚えてそうだけど」
「彼が付けられるようになったのは、アルマンダイン嬢を酷く叱責したのを咎められたあとです。それまでは護衛騎士としていたのはジョシュアです」
「でも、ジョシュアはレナリアに入れ込んでルーカス殿下への接近を許した間抜けだ。篭絡されたのはあっちが先だと考えれば、当てにならない。ジョシュアを先に『お菓子』を使っていた可能性だってある」
「今は国境沿いの僻地に飛ばされたと聞きますしね。『お菓子』に薬が入っていたとしても、大分抜けているはずです。お菓子の味の変化の時期が判れば、レナリアが薬を入手した時期を特定できます」
「あえてずらすとか……ないな、あれは自信過剰で自意識過剰だし、短絡的だ。便利なものが手に入ったら、堪え性なくすぐに使うだろうね」
「ええ、間違いないかと」
「僕はカレラス卿に聞いてみる。念のためジョシュアのほうは頼んだよ」
「畏まりました」
恭しく頭を垂れたジュリアス。慇懃で隙の無い礼は、彼の性質そのものだ。
カップに口を付けると、心地よい渋みと苦みとともに優しい甘みが舌を楽しませる。芳醇な香りが口に広がり鼻に抜ける。アルベルティーナが常日頃から褒めるだけあり、ジュリアスの紅茶を淹れる腕前は確かなものだ。
アルベルティーナは、ジュリアスの淹れる紅茶が大好きだ。
同じ紅茶でも、誰が淹れたのか当てられるほどの舌の持ち主でもある。アルベルティーナは、ジュリアスが紅茶を淹れた日は特に嬉しそうに報告してくる。
上品な赤褐色がティーカップで揺れる。
飲ませてあげたいな、とその言葉は紅茶とともに飲み干された。
たぷん、と液体が揺れる。
円柱の入れ物の中に、何かが浮かんでいる。
テーブルの上にあるそれを見下ろしながら、そっと震える手を伸ばす。
『コレ』があれば、間違いなく上手く行く。
チャンスは今だ。今だけだ。もう引き返せないのだから。
だが、今後きたるべき栄光を考えれば、喉奥から愉悦を帯びた笑いが止まらない。それを思うと、神を恐れぬ行為すら正しいと思える。
これから、自分はサンディスで最も栄誉ある一族の一人となるのだ。
読んでいただきありがとうございます。