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落ち着かないお留守番

安全地帯でそわそわしている人




 ミカエリスは帰ってきました。

 登城し、謁見を済ませて労いの言葉も陛下直々に頂いたそうです。

 ですが、わたくしのところには何ら音沙汰無しですわ。

 お昼が過ぎ、夕方になり、夜が始まろうという時間になりましたが一切、何にも連絡なしですわ。

 ジブリール経由でお手紙は着ましたけどね。

 ジブリールもミカエリスの帰還で色々忙しいそうで、すぐに帰ってしまいました。お姉様はしょんぼりですわ。

 お手紙には近いうちにお伺いしますと在りましたが、詳しい日程は定かでない。

 なんだか待ちぼうけというか、空振りをした気分です。

 メイドのお話ですと、ミカエリスはたくさんの貴族たちに囲まれ、まさに時の人だったそうです。

 戦線を駆けずり回り、国防に一役買った功労者として、更に名を挙げたのです。

 わたくしは、来るかもしれないという期待を胸にそわそわと私室で過ごしていました。

 ですが、いつもお籠り大好きヒキニートがいつになく浮ついていることに気付いた周囲――主にアンナ、ジュリアス、レイヴン、ベラなどに「ヴァユの外はダメですよ」と釘を刺されました。

 仕方ないので、不貞腐れてチャッピーやハニーのほっぺたをもちもちしていました。

 あと、遺跡から拾った様々なものをチャッピーポケットから取り出して、整理もしました。

 チャッピーったら、わたくしが頼んだ本以外にも拾っていたみたい。

 錆付いたボルトとか、小さなペンダントとか、凄い装飾付きのやたら長い箱とか、割れたランプとか色々ですわ。

 ヴァニア卿あたりなら喜ぶかしら? 何かあったらこのネタで誤魔化そう。

 そういえば、同じくらい食いつきそうなカルマン女史、未だにご連絡がありません。お加減はまだ良くならないのかしら。

 お見舞いの品はだいぶ前に贈ったけど、まだ講師に復帰していませんもの……もしや大きな病気でも見つかったのかしら。

 彼女の授業は面白くて好きだったのに。

 王族として学ぶ歴史の範囲はすぐに履修してしまったけれど、歴史の裏話や考察をアレコレ教えてくださるのでカルマン女史の知識の豊富さや、話題の引き出しの多さには感心させられたものです。

 快気を願ってカルマン女史にもお手紙を書き終わる頃には、太陽も傾き始めました。

 今日はミカエリスを含む勇士たちを称え、王宮で慰労の宴が盛大に催されると聞きました。

 ジュリアスをはじめとしたフォルトゥナ一家も参加しているので、久々に寂しいお食事となりそうです。

 あんまり寂しくて、チャッピーやハニーたちとお夕食を共にしていいかと聞いたら、余程情けない表情をしていたのでしょう、アンナもベラも許可してくれました。

 使用人である二人は、同じ席に就けない。チャッピーとハニーは、不思議な妖精ポジションなので、その辺の王侯貴族ルールには抵触しないのでギリギリOKです。

 大きな食堂ではなく、私室でいただくことにしました。

 普段はティーテーブルに使うことが多い丸テーブル。ちょっと狭いですが、一人と二匹であればなんとかなる。

 ベビーチェアなどはないので、椅子に箱とクッションを置いて底上げした席にチャッピーたちは座ります。

 普段はあまり貰えない御馳走が自分の前に並べられ、はしゃぐ姿が可愛い。

 でも、人間用のカトラリーはちっちゃなお手々には少し余るみたい。でもわたくしと同じように食事がしたいのか、一生懸命真似をする姿がまた可愛い。

 大きなお口を開けて、パンをあぐあぐと食べる姿も可愛い。

 うーん、凹んでいたけどテンションがブチ上がりですわ。

 やっぱり可愛いは最強ですわね。

 とりあえず、ローズ商会の工房に特注でカトラリーを頼むことにしました。

 人並みどころか、わたくしよりいっぱい食べるからお皿やカップはそのままでいいけど、銀食器関係はあったサイズが必要ですわ。






読んでいただきありがとうございました。

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