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サンディス王家の事情

一番働いているのはラウゼス陛下。その次は、アルベルです。

二人の王子は、過去のやらかしからあまり大きな仕事はまわってこないので、自然と比重がそうなります。



 堅牢なほどに警備が厳重なヴァユの宮殿で、最も守りが堅い一室。

 それは王太女であるわたくしの私室です。

 知らない人の気配に敏感なわたくしの為に、包囲網は広めにしてあるそうです。

 騎士は多くいるけど、ヴァユでは女性騎士を多く採用している。王宮ではダントツに高い比率で女性です。これも、わたくしへの配慮だ。

 といっても、私室に近いとラティッチェの古参騎士ばかりです。この方なら、男性騎士でも平気ですので。

 アンナ曰く、新参者を入れるとわたくしの眠りが浅くなるみたいなの。しかも、睡眠不足になって、顔色が悪くなるそうなの。

 わたくしって本当に手のかかる護衛対象ですわよね……。

 でも護衛騎士の方々曰く、一番のハズレはエルメディア王女殿下担当だそうです。一日に三回くらいはヒステリーを起こし、肉弾頭となって暴れるそうです。

 怖い。

 いえ、わたくしも実際に見たことありますが、あれはシャレになりませんわ。

 エルメディア殿下は、身長は一般女性ですが体重は二、三人分くらいありそうですもの。

 サンディス王国の数少ない王族の若い姫君ですし、未婚の女性です。強硬手段を取ることはできません。万一傷が残ったら大変です。ですが、巨漢クラスの我儘ボデーで怒りのままに暴れまわるのですから、抑えるのは大変でしょう。

 それに比べれば、わたくしは基本的に予定通りに動くし走り回らず我儘がないので護衛が楽だそうです。

 ……わたくし、急に思い立って図書館に行くこともあれば、フラフラとお庭を見て回っていますわよね? たまにコソコソ土いじりもしますが。

 え? これくらいなら我儘ではないと?

 王妃二人は基本互いをライバル視しているので、牽制しあってバチバチとしているのでストレスが多いそうです。

 あと機嫌悪いと、公務をストライキすることが有るそうです。

 エルメディア殿下はそもそも公務を殆どやらないそうです。辛うじて名前を借りた事業があるだけだそうです。王族が持っている孤児院に、定期寄付が入るとかそういう自動的な感じのタイプ。

 完全に惰性と慣例で行われているお仕事ですわね。

 大丈夫なの、サンディス王族。

 ストライキ常習犯の王妃二人と、そもそも仕事しない王女……それでも回っていたのは、王太子の座を巡り、ルーカス殿下とレオルド殿下が精力的に執務や公務を行なっていたからだそうです。

 それより以前は、メギル風邪の淘汰が起こる前だったので王族が沢山いたのでなんとかなっていたそうです……。

 わたくしも少し公務をやっていますが、喪中であるので外出は出来ない。

 病弱設定が張り付いているので、ガツガツはやっていません。もうちょっとやろうかなと思うとジュリアス、アンナやヴァニア卿からストップが入ります。

 大丈夫かしら、サンディス王国。ちゃんと回っているの?

 ラウゼス陛下はちゃんとしていても、周りはあんまりそうではないみたい。

 超有能なお父様の抜けた穴は大きそうですわ。

 後釜になったというか、させられたゼファール叔父様が頑張っているそうですが、お父様と違って気遣いな方なのでメンタルすり減らしていそうだとジュリアスは言っておりました。

 お父様の偽物感が強い方ですが、キシュタリアやラティお義母様に色々と便宜を図ってくださっている。もし、キシュタリアの対抗馬として担ぎ上げられ、旗頭となれば、分家中でも最もキシュタリアを脅かす恐れのある存在でした。

 ゼファール叔父様は既に伯爵地位もありますし、血統も経歴も人脈も申し分ない人です。

 結婚経歴の関係で、そのクロイツ伯爵としての爵位以外でも代理権限を持っているそうです。あの方、実は三度も結婚と離婚をしているそうです――全部女性の有責で。

 ゼファール叔父様の唯一の欠点は、女難の酷さと皆に言われるほどです。

 あの方の日頃の言動が悪いわけではないのですが、色々と運がないというか、ツキが巡ってこないと言いますか、生まれ持った間の悪さと言いますか……。

 駆け落ちをした長男、我が道を行く次男、空気を読みまくるお人好し三男なので、全力で前二人のツケがゼファール叔父様に被弾しているそうです。

 なんでも、酷い地雷女ホイホイらしいのです、ゼファール叔父様は。

 詳しいことは皆さん教えてくださらないのですが、わたくし以外のラティッチェに基本冷たいフォルトゥナ公爵家ですら優しくしてあげたくなるレベルだそうです。

 どれだけ酷いの?

 そんなゼファール叔父様に、いろんなありがとうを込めてお手紙と滋養に良い物を贈りしました。

 すると、三日ですっごい可愛い便箋が届きました。小さなブーケと魔よけのアミュレット付きで。しかも、これがまた可愛くて物凄くセンスがいいの。

 ……叔父様の女性関係の修羅場って、この痒い所に手が届きまくる細やかなところが原因で、世の女性を勘違いさせたのでは?

 ごく一部を除いた男のプレゼント査定が厳しく、基本は捨てそうなジュリアスやアンナですら即決許可でした。

 ブーケはチェストの上に飾り、アミュレットは定置型だそうなので、書斎や私室などと迷った結果、安眠できるようにと寝室に置くことになりました。



読んでいただきありがとうございました!

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