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毒蛇の姦計4

ジュリアスはドロッドロです。いろんな意味で。特定のこと以外にはドライですが。


 ジュリアスへ「怖い人」といいながら安心しきった様子で身を預けるアルベルティーナ。

 少しは肩の荷が下りただろうか。表情は柔らかい。

 不安な時、恐怖を感じた時、寂しい時、アルベルティーナはそれを埋めるように誰かにすり寄る癖がある。

 ただし、それはごく一部の信頼している人に限るという注釈は付くが。

 アンナは女性であり華奢だからか、身を預けない。重いだろうと遠慮が働くのだろう。

 だが、アンナにしか頼まない世話もあり信頼の深さはどのメイドたちとも一線を画している。

 恐らく長年グレイルやキシュタリアが猫可愛がりのようなスキンシップをしてきたからだろうということは解っている。

 ジュリアスも幼い頃からのお守り役でもあったし、落ち着くのだろう。

 甘ったるい眼差しでアルベルティーナをあやすジュリアス。

 そんな義弟を見ながら、黙りこくっているクリフトフ。いつもなら邪魔をするがそれどころではなかった。

 クリフトフは一見単純ながらも綿密に計算された罠に寒気がした。家督は残っている。あの愚かなオーエン・フォン・マクシミリアンなら再起できると勘違いしそうなギリギリの地獄に沈めた手腕に舌を巻いていた。

 謝罪の前に恥の上塗りを重ねたあの一族がアルベルティーナと懇意になろうなど、奴らが望んでも周りが許さない。

 ただでさえ、今までデカい顔をしていたのだからさらに引き摺り落としにかかる連中も湧いてくるだろう。

 それらの相手をしていれば、暫くこちらに顔を出せないはずだ。

 オーエンがアルベルティーナを脅しに使っているモノが金銭価値のある品なら、隠れて質に出す可能性がある。あの愚か者のことだ。あとで金に余裕ができたら取り戻せばいいなどと高をくくって考えていそうである。

 そうでなければ、何かしらを使ってアルベルティーナに接触をして援助を強請にくる。だが、ここまで失墜したマクシミリアン侯爵家に手を貸す奇特な人間はそうそう出てこないだろう。可能性はかなり低い。


(あとはキシュタリア様の調べがどこまで進んでいるか、ですね)


 だが、アルベルティーナがマクシミリアン侯爵家を語る時の表情はまだ硬い。あれは許していない。

 それが憎悪でも、あの連中を気に掛けることは面白くない。


(まだ、終わっていない。連中の脅しのネタが判明していない)


 だからこそ、アルベルティーナは安心しきってはいない。

 これ以上、アルベルティーナに爪痕を残す真似などさせてやるものか。

 ジュリアスは得意の紅茶を振舞いながら、さらなる策をいくつか考えていた。

 




読んでいただきありがとうございました。


ギリギリクリスマスに間に合いました……お話のキリの都合で少し短めです。

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