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盗賊に遭遇、殲滅する

今回、初の異世界での人が現れます。

「なあ、軽く三時間は走ってるけどいつ着くんだ?」


(あと一時間も走れば着くわい、大体どれくらいの速度で走ってると思っとる)


現在、異世界に来てから初めての人の町に行こうとしている。ずっといた森から全力で走り続けているからそろそろ疲れてきた。


「少し休憩でもするかなぁ~………ん?」


(どうかしたんか)


「馬車がいるんだけど、何かに襲われてるような気がする」


よく見ると、馬車の一部が壊れている。そしてその回りには人が複数人倒れていて赤い水溜まりが出来ていた。


(ありゃあ……盗賊じゃな、さして珍しくも無いのう)


「よくある理由だと、何処かの国の令嬢でも乗ってるんすかね」


(いや、あの程度の護衛を雇っているとなると……業者じゃな、何のかは知らんが……)


業者か、多分積荷でも狙われたんだろうな。そして護衛は皆殺しと、よくある話だ。


「しかし俺は優しい青年なので見捨てないのでした。さて助けるとしますか」


(・・・・・・・・・本音はなんじゃ?)


「業者とかと仲良くなっておけば後々助かるかなって」


(お主はいつも通りじゃな……正義感は無いんかい)


そんな幻想持ち合わせていない。まあいいか、馬車に近付くとしよう。




「おい!!荷物はこれで全部か?ええ?」


「こ、これしかない、全部渡すから、命だけはぁ!!」


私は、しがない商人をしていた。隣の町から注文があり、冒険者を雇い護衛させて隣の町を目指していた。だが、盗賊から奇襲を受け雇った冒険者は全滅し、私は命乞いをするしかなかった。


「ああ?駄目に決まってるだろうが、無駄に抵抗しやがって、殺せ」


「へい頭、すぐに」


私はこの時、命を失うのだと思った。生まれて45年、こんな終わりかと諦めた……その時だった。


「おお、魔法ってすげぇな、本当に言葉が分かるよ」


見たところまだまだ子供と言える年齢の青年が、ボロボロの服を来て近付いてくる。盗賊の仲間か、とも思った。


「なんだガキ、見せ物じゃねぇぞ!!」


だが盗賊のこの感じでは、どうやら仲間では無い様子だった。


「頭見てくだせぇ、ぼろっちい服を来ていやすが、珍しい剣も持っていやすぜ」


「ほほう……おいガキ、その剣を置いて消えろ、そしたら命だけは助けてやるよ」


「へえ、これ置いて行けば命は助けてくれるの?」


「ああ、命だけは助けてやるよ、約束だ」


「ふーん……嘘つきは泥棒の始まりだぜ?おっさん」


「何だとこのガ……!?」


その瞬間、私は何が起きたのか確認出来なかった。気付けば盗賊の首が刎ね飛ばされていた。


「複数人いれば有利と思っているのは駄目だな、それは油断につながるぜ?こんな風にな」


「か、かしらぁ!!てめぇ一体何しやがっ」


ヒュン、ゴトリ


今度は風切り音がしたと思うと、青年はいつの間にか私の隣に移動していて、盗賊の体は切断されていた。


「なぁんか、もっと罪悪感感じるかと思ったけどそこまでだなぁ……相手が悪党だからかな?さて、後三人」


「ひい!?な、なんだこいつ!!」


「逃げようぜ早く!!」


「こいつはやばすぎる!!」


そして、残った盗賊は逃げだそうとした。その瞬間


ヒュン


また風切り音がした、それと同時に、グチャリ、バキッ、と、骨が砕けたような音がした。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「あ、あ、足、足がぁぁぁぁぁぁ!!」


「な、なんだよお前ぇ!!何でここまで」


「なんで?人の命と金品奪って生きて来たんだろ?それが相手が少し強いからって、逃げていいわけねぇだろうが、因果応報、ここで終わりなんだよ、お前らは」


スパン、と、見事なまでの太刀筋は逃げだそうとした盗賊三人の首を一度に斬り落とした。


「さて、大丈夫ですか?」


そして盗賊を全て倒した青年は、私の方に向かってきたのだった。





いや弱すぎるだろと、なんで護衛はこんな奴らに皆殺しにされてしまったのか、もっと頑張るべきだろう。ちなみに最初に仕留めた奴は赤いオーラが出てたので嘘だとすぐに分かったから攻撃した。


(いやそれなりではあったのだぞ?今のお主に比べればカスみたいなもんじゃが)


こいつらでか……まあいい、楽に終わったし、おっさんに話を聞くか。


「さて、大丈夫ですか?」


「・・・・・・あ、ああ、大丈夫です」


少し紫色のオーラが出てる。困惑しているんだろうな。そりゃそうだ、突然現れた若造が自分の護衛殺した奴ら一瞬で片付けちゃったら。


「しかし、運が無かったですね、こんなのに襲われるとは」


まあ本当に運が無かったのは雇った護衛がマジで弱かった事だろうな。危うく死ぬ所だったんだから。


「ありがとうございます、お陰で助かりました、私はミデルノという町で商人をしています、バントスといいます」


紫に緑色が混じってる。困惑してるけど感謝もしている。一応俺も自己紹介するか。


(玲真、名乗るなら姓は言わずに名前だけにしといた方がいい、後々面倒なのでな)


姓を名乗ると面倒?よく分からないが、ここは言うとおりにしておく。


「俺は玲真といいます、訳あって旅をしています、以後よろしく」


まあ旅を始めたのは最近だけど、そこは言わない。どうでもいいだろうし。


「本当にありがとうございます、レイシンさん。あなたが助けてくれなければ私は殺されていました、どうかお礼をさせていただきたい」


お、狙い通りだな。このおっさんいい人かも知れない。


「お礼ですか……それじゃあ服でも持って無いですか?見ての通り今着てるのはボロボロになってて」


「服ですか……それでしたら大きさの合う物がございます。少々お待ち下さい」


そういうとおっさんは馬車に近付き積荷をあさり始めた。


(お主の狙いは服も手に入れる事もあったんかい……ちゃっかりしとるのぉ)


ただ働きはしないのが俺の流儀でして、貰える物は貰います。


(そうかい………)


「ありました、これなんてどうでしょう」


おっさんが持ってきたのは、黒いTシャツと茶色の長ズボンだった。うん、動きやすそうでいい感じだ。


「ありがとうございます、それ貰います」


「いえいえ、しかし、これで良かったのですか?」


またオーラが紫になってる。まあ、普通の人だったら金品をねだるだろうけど、今はそれより服が欲しかった。


「それで、出来ればお願いがございまして……」


お願いか、予想通りだな。恐らくこの後言うことも何となく理解出来る。


「この先にある町に、商品を卸に行くのですが……よろしければ、護衛をお願いしたいのです。もちろん、それ相応のお礼はいたします」


ふむ、悪くない、この世界の金が欲しかった所だし商人とのコネも欲しかったし、受けてみるか。


「いいですよ、俺もこの先の町に行く予定だったんで、そこまでなら」


「おお、それはありがたい、よろしくお願いします」


そして俺はこのおっさんの護衛をしながら町に向かった。馬車が俺の全速力より遅いので退屈だった、無事に町に着いたのは6時間後だった。

ちなみに死んだ盗賊や死んだ護衛の死体は野生動物が食べるので無くなります。町とか人の名前は適当です。

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