元の世界の現状、彼を心配するもの達
今回はようやく玲真とガルゴ以外で普通の人が出てきます。
安藤玲真が異世界に転移してから約一週間、元の世界では一人の高校生の行方不明事件として大々的に報道されていた。しかしなぜいなくなったのか、全く原因が分からず、理由も分からないため、ネットでは人身売買の組織に捕まって売りさばかれている、誰も知らない所で自殺している、ただの家出など様々な意見が交錯していた。
安藤玲真が通っている高校
「なあ、安藤ってどうなったんだと思う?」
「さあ、学校に嫌気が差してどっかに消えたんじゃね?」
「でもあいつ誰かとトラブってるていう話無いよな」
「なんか、誰とも仲良くしようとしてなかったよね、少し気味が悪い所あったし」
(・・・・・・・・・・・・・・・違う、そんなんじゃ無い)
学校の中で唯一玲真の安否を心配しているのは、彼が剣道部に入る事になった理由、剣道部主将近藤真奈である。
(安藤は確かに変な奴だったし、練習にもあまり来なかったけど、理由も無くいなくなったりする奴じゃ無かった、絶対に事情があるはず……)
学校の誰もがいろんな予想を立てているが、まさか異世界に行っているとは誰も思わなかったのであった。
安藤玲真の自宅
「もう一週間か……玲真は何処に行ったんだ……」
「知らないわよ、別にいいじゃないあんな奴」
心配しているのが玲真の兄の庸助、悪態をついているのが妹の叶美である。
「またそんな事言って……三人しかいない家族何だからもっと心配して……」
「うるさい!!あんな奴どうだっていいのよ!!」
叶美はそう言うと自分の部屋に行ったのだった。
「ああ、叶美……何でこうなってるんだろうなぁ……」
「何処に行ったんだよ……馬鹿兄貴……」
叶美は自分の部屋で小さく呟いた。決して心配していない訳では無いのだが、常日頃から悪態をついていたので、本音が話せなくなっているのである。そんな事もつゆ知らず、玲真は異世界で生きていく事を決めたのだった。
兄である庸助は一応心配していて、叶美も心配していない訳では無かったんですが、それでも仲は良くないのでぎくしゃくしているんですよね。そして近藤真奈は玲真をなぜ剣道部に勧誘したのか、それはその内分かります。次回は七カ月後の玲真達です。