death world (シノセカイ)
death world (シノセカイ)
俺の名前は神道進。目が覚めると謎の場所にいた。俺は昨日の夜、普通に家で寝たはずだ。おまけにこの空間はだいぶ変で白い世界が無限に広がっているだけだ。これは何だ、何かの実験か?だとしたらカメラがあるはずだが何もない。取りあえず誰かを呼ぼう。「すいません。誰かいませんか」そこそこ大きい声を出すが、誰にも聞こえないようだ。今一度辺りを見回したら、さっきは無かったはずのジュラルミンケースが置いてある。でも、何で?中に何か入っているかもしれない。開けて確かめてみよう。何となくやばい気がする。七十二時間。物凄い気になるな、これ。ここは本当に一体何なんだ。早くここから出ないと四日後は卒業式がある。何か手がかりがあるはずだ。考えろ、俺。「ようこそ。テーマパーク、シノセカイへ」急に誰かしゃべったぞ。「私はシノセカイの看守シラクと申します」何だ、ここテーマパークだったのか。なら死ぬことはないか。良かった。色々質問があるが、これを聞いてみよう。「おい、シラクお前は誰だ?」「それはお応え出来かねます。ただしただ今、一個だけ提供できる情報がございます。あなたの前にあるもの、爆弾となって。ハハハハハハ八ッ、ウヒヒヒヒヒヒヒヒ」あっ、通信が切れた。これ爆弾なのか。だとしたら本当に脱出しないと。上からICカードが落ちてきたぞ。これが使えそうな所はないか。「進様、気分はいかがでございましょう。さて、そろそろ人間界では昼ごはんの時間となっております。好きな物食べてよろしいのですが、しかしこれからの食事は一切無い上に、カロリーを摂取した分と時間の経過に連れて進様の思考力や聴力などの五感の能力は著しく低下いたします。少ししか口にしないか何も食べなければ通常の数十倍の空腹が進様を襲います。さあ、どちらを選びましょう」これが物語だったら、思考力などが奪われた方が面白いだろう。「シラク、俺の大好物のとんかつカレーの大盛りを用意してくれ」「本当によろしいのですか」「ああ、俺はどんなに状況が悪くなろうと絶対シノセカイから脱出してやるぜ☆」正直感覚が無くなっていくのは不安だが、まあ、いいだろう。「進様、とんかつカレーの大盛りの用意が出来たので転送いたします。では幸運をお祈りいたします」「ありがとう、シラク」美味い、やっぱりカレーは最高だな。でも、段々味が無くなってきたし、匂いも無くなってきた。こんな感覚は初めてだ。やっぱりこんなんで脱出出来るのか?やっぱり不安だ。眠くなってきた。飯を食った後は昼寝に限るなぁ。
いけないっ、寝過ごした。あれから何時間経ったんだろう。残り48時間。丸一日寝過ごしたのか?やっ
ぱり思考力は昨日に比べて十分の一位だし、視力もほとんど無いし、やっぱり死ぬのか。親友の夜月にだけでも最後の言葉だけは伝えたいな。あれっ。携帯電話が置いてある。留守番電話が入っている。「もしもし、進。お前こんな時期に何してんだ?早く学校来いよ。待ってるからな」夜月のやつ今何やってんだろう。電話したいけど、電話番号なんて意識したこと無いし、思い出せないよ。こうなったら通じるまで片っ端から掛けてやる。20時間後通じた。「もしもし、今ちょっとシノセカイっていうテーマパークに閉じ込められているんだ。こっちネット繋がんない初期のガラケーだからそっちでシノセカイ調べてくれないか。」「はいよ。とりあえず無事で良かった。じゃあ、分かったらまた連絡するわ。じゃっ」「ありがとう。俺も頑張ってここから脱出するよ」後、少しでここから出られる・・・。
そんなこんなで爆発まで残り一時間。夜月から電話がかかってきた。「もしもし、進。やっとシノセカイの正体が分かったぜ。これで明日の卒業式出れるな。で、シノセカイの正体は大きな重罪を犯したシラクっていう死刑囚が刑務所を脱獄して作り上げた仮想空間にあるテーマパークなのよ。で、お前の体に何かついてないか」あっ、そう言われてみれば何かあるかもしれない。上腕二頭筋の所にICチップがあったぞ。「ICチップあるぞ。でこれをどうすんだ?」「それをICカードに付けるんだ。そしてそれをジュラルミンケースのカードスキャンする所にかざせば爆弾のカウントダウンが止まり、脱出出来るらしいぞ。じゃあ俺そろそろ例の時間だから」「相変わらずリア充はうらやましいぜ」「じゃあ、そんなこんなでまた後で」「ほんとに助かった。ありがとう」よしっ、いっちょひと暴れしやすかね。ICチップをICカードに付けてそれをスキャンっと。よっしゃあ。これで爆弾のカウントダウンは止まった。「お見事、お見事。まんまと騙されたな。神道進君」えっ、何で夜月がシラクの放送を乗っ取んてんだ?「まさか、夜月お前」「そのまさかだ。俺がシラクだ。出会った時から俺はお前のことが嫌いだった。だから俺は、あえてお前と仲良くした。このdeath world、直訳してシノセカイ計画を実施するためにね。残念ながらその爆弾本当は止まってないんだ。その時間も噓なんだ。君に残された時間は後、一分だ」「何でこんなことしたんだ!絶対お前のこと信用してのに」「どうだ、親友に裏切られる気持ちは?お前の命は後15秒だ。最後に言う言葉はあるか?」さっきから涙が止まらない。もちろん最後に言う言葉は決まっている。「夜月、ありがとな。」爆弾は爆発した。
すごく長くて怖い夢を見ていた気がするが、ここはどこだ。白い世界が無限に広がっているだけの世界・・・。