ヴィーナス
掲載日:2015/02/23
子供騙しの痴態に札束が舞う。
腰をくねらせ一万。足を上げて二万。手ブラで三万。股を開いて四万。
私は春を踊る。謳歌しているのかと問われれば、答えはやっぱりNoだけれど。
それでも短すぎる春の瞬間を、お金に換えて私は踊る。衣装は私の趣味じゃないし、BGMも好きな曲じゃないけれど。
この春は、過ぎても夏を見せてくれないし、秋を感じさせてはくれない。いきなり冷たい冬を突きつける。だから―私の踊りが換金可能なうちに、春が過ぎてしまうその前に、私は踊りきってしまわねばならない。あの人にもこの人にもその人にも、本当は晒したくはないのだけれど。絵本みたいに本当は、好きな人にだけ見せてあげたいのだけれど。
ねぇ、誰か―誰でもいい、私の春を撃ち殺して。春が死ねばきっと、私は夢だけ見てられるから。絵本みたいに、王子様を信じられるから。
でも春が死んでしまったら、きっと王子様は私に見向きもしないのだろうけれど。




