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俺のギルドの活動日誌  作者: 幻夢
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第五話

サモナーにも色々なスタイルがある。

使い魔を戦わせて後ろで指揮をとるスタイルが一般的でサモナーでもないと普通それしか知らない。だが、使い魔と一緒に戦うスタイル、使い魔にサポートをさせて自分が戦うスタイル、中には使い魔を自分の体に憑依させるサモナーもいる。


見張り番にも飯を届けに城壁に来ていた。


「おーい!晩飯だぞ!」

「ありがとうございます。ギルドマスター。」

「どうってことねえよ。俺が見張りやっとくからゆっくり食べてな。」


オオカミを十数匹召喚して砦の周りに放ち巡回をさせているとしばらくしてオオカミのうち1匹が何かを発見したようだ。更にヘルハウンドを5匹召喚して現場に向かわせていると最初に何かを発見したオオカミとのリンクが切れた。

何かいるな。敵か?


「おい。お前ら飯食べ終わったか?」

「はい。食べ終わりました。」

「全員持ち場に戻れ。ああ、そこのお前俺についてこい。」


俺が呼んだのは昼間グレイが指導していたメンバーだ。

赤毛で若いが精悍な顔つきをしている。


「お前名前は?」

「アレックスです!」

「よし。アレックス。辺りに異変が見られた。それを調査しに行く。」


走って現場まで行くと全身に炎をまとった犬、俺のヘルハウンドが何かを取り囲んでいた。

あれは…ドラゴンか?こりゃまた珍しいのが来たな。

よく見るとそれは翼に傷を負った漆黒の新生龍だった。最強である古代種の炎龍でないにしても仮にもドラゴン。下手をすれば俺でも死ぬが、向こうは飛べない上、重傷を負っている。


「おい。アレックス。お前、大丈夫か?」


隣を見るとアレックスは茫然とした顔でドラゴンを見つめている。

いいこと思いついた。


「アレックス。お前あいつと契約して来い。」


ドラゴンとの契約は至難の業だ。プライドが高いから対価として差し出すものもそれ相応のものではなければいけないし、かなり強いので力でねじ伏せることも容易ではない。説得なんてもっての外だ。


「どうした?ビビッてんのか?」

「あ、すいません。ついあのドラゴンに見とれてしまって。」

「あいつと契約して来い。」

 絶望的な顔をするかと満面の笑みで

「本当ですか?!喜んでやらせていただきます!」


そう言ってアレックスは茂みから出ていった。入れ代りにヘルハウンドを下げ、邪魔が入らないように周囲を警戒させた。

さーて。どうやって契約するのやら。


「や、やあ。一体どうしたんだ?こんなところにお前たちドラゴンが来るなんて珍しいな?」


嬉しいんだろうけど緊張して少しぎこちないが大丈夫だろう。


『貴様人間か…?何しに来た?我を殺しにでも来たか?よろしい、ならば戦争だ。』


ドラゴンがブレスをする体制をとるとアレックスが慌てて止めにかかった。


「ちがうって!戦いに来たんじゃない!落ち着け!ってか、戦争って規模がでかいな!」


一方、俺は茂みで内心びくびくしていた。

ひょえ~。いきなりブレスとかあぶねぇーな。俺のとこまで焼かれちまうよ。あいつツッコんでるとこ見ると結構余裕あるな。


『ならば何の用だというのだ?要件を早く言え。』

「お前、傷ついているようだが一体どうした?ドラゴンに傷を負わせる奴なんてそうそういないだろ?見たところ剣で切られたように見えるが…」

『ふん。貴様ごときに教える必要はないな。』

「そう邪険にするなよ。お前、俺と契約してくれないか?」

『なぜ貴様ら人間などに従わねばならぬ!』

「見たところお前、相当弱っているみたいだしこのままの状態だと死ぬと思うんだよ。それに、俺はお前が欲しいんだ!」


おお~。あいつ面白いな。

アレックスはしばらくドラゴンのここが美しいだのあそこに惹かれるだの語っていた。


『…』

「…それに、俺の所属しているギルドのギルドマスターは腕がいいから時間はかかるだろうが元通りに飛べるようになるだろうから。」

『…仕方ない。貴様と契約してやろう。』

「ありがとうな。それじゃあ少し血もらうぞ。」


使い魔との契約の儀式は色々あるがアレックスのは俺と同じで互いの体に互いの血で契約の魔方陣を書く方法のようだ。因みに俺とヒルダは右手の甲に刻まれている。


「これでよし。」


魔方陣を書き終わったようだ。すると魔方陣が赤く光り、その身に刻まれていく。


『貴様のようなことを言ってきた人間は初めてだ。大体の人間は我を見ると襲い掛かってくるか逃げ出すかのどちらかだからな。』

「そうなのか~。お前みたいに綺麗なやつに刃を向けるとか訳わからないな」


ドラゴンの目が最初に比べると幾分か優しくなったように見える。


『我が名はアナンタ。我が主。一時とはいえ貴様に我が牙を貸そう。』

「ああ。これからよろしく!」


流石にもう出て行ってもいいか。


「アレックス。もう終わったな?」


そう言って出ていくとアナンタが敵意のこもった眼で俺を睨み付けてくる。


「アナンタそう睨み付けるな。あの人がさっき言ったギルドマスターでお前の傷を治してくれる人だ。」

「アナンタって言ったな。治療は家に帰ってからする今日はもう遅い今は応急処置だけしてしておく。」


話している間ずっと睨まれたままだった。

俺、何かしたっけ?

この後、砦にもどり暴れまくるアナンタに応急処置を施してとっとと寝た。

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