第三十四話
「ギルマス~。何で手紙に来いって書いてあったのがグレイなのよ~!?」
「おい、何でお前酔っぱらってんだよ。」
「うるさ~い!だから、何であたしが留守番しなくちゃいけないのよ!」
「お前よりグレイの方が今回の依頼に向いてるからだ。ま、アーヴィングの方がいいんだがあいつは違う依頼だからな。」
「あんなハーフエルフのジジイよりあたしの方が役に立つっての~!」
「そう言うお前もそんな若い外見してるが龍人で100歳超えてんだろうが。あいつは126歳で大して変わらんだろ。」
「やっかまし~!」
「召喚、黒騎士。そこの五月蠅いのを部屋に連れて行って俺とミズキの班の副班長を連れてこい。」
4体の黒騎士が現れ2体は副班長達を呼びに、もう2体は俺の命令通りミズキの両腕を取って引きずっていこうとする。黒騎士がミズキの腕を取ろうと触った瞬間、2体ともの兜がミズキの拳によって叩き潰されその場に鎧がガシャガシャと耳障りな音を立てて落下して塵となって消えた。
「おいおい、召喚だってタダじゃないんだぞ。」
「あによ~?無理やり連れて行こうするのが悪いんでしょ~。」
「龍人のお前には50体くらい必要か?」
「やるっての!?かかってきなさいよ~!」
「お~お~、いい度胸だ。お前ごときにやられる俺じゃないんだよな~。」
「あたしを舐めんな~!」
ミズキは叫んで一歩踏み込んで全力の鋭いパンチを繰り出してくる。酔っているせいでいつものキレはないがそれでも当たりどころが悪ければ死ぬ。それをあっさりと避けてカウンターに顎を狙って拳をかすらせてミズキの意識を刈り取って黙らせる。と、黒騎士が副班長達を連れって入ってきた。
炎の様な淡い青髪で顔立ちの整った魔人がクラム、黄色みを帯びた薄茶の髪で左目の上に切り傷のあるダークエルフがカインだ。
「何の用です?」
「ギルドマスター、ウチの班長見ませんでしたか?って、ミズキさん何ぶっ倒れてんですか!?」
「ああ、カインとクラム。それな喧嘩売って来たから買ってやったまでだ。カイン、お前も酒飲むの止めろよ。」
「あ~、サーセン。でも、この人が俺の言うことを聞くと思います?」
「体を張って止めろ。」
「俺に死ねと!?」
「班長、どこを探すかの相談ですよね。早くしませんか。」
「わかった。今回は班を4つに分ける。1班は俺、2班はそこで転がってるの、3班はクラム、4班はカイン。各班10人ずつ。残ったやつ等は艇でお留守番だ。ドラゴンの潜んでいそうな場所を明日中に発見し、出来れば撃滅する。」
「ドラゴンの種類は結局何だったんすか?」
「将軍の話によると新生龍だったらしい。」
「らしい…と言うのは?」
「視界が悪く、混乱状態でそれどころじゃなかったそうだ。」
「新生龍っすか。本当にそうなら他に魔物の取り巻きがいるはずなんすがね。」
「それは言っていなかったな。ま、取り巻きがいた場合はそいつ等はお前たちに任せる。」
「ギルマス1人で倒すんすか?独り占めはずるいっすよ。」
「きつくなったらお前に任せてやるよ。」
「ならいいっす。」
「それで、どの班がどこを捜索するかだか…」
この後はミズキを叩き起こし、各班の捜索エリアを割り振って解散。暴れるミズキをカインに押し付けておく。
今夜中に火山までニルヴァーナで行き、翌日の早朝から探索となっている。
PV10000回突破しました!意外と見てくれている人っているモノなんですね。
正直10話くらい書いたところで挫折するかと思っていましたが頑張って続けられています。これからも私の書く話を呼んでくれると、とても嬉しいです。