第十二話
「アーヴィング。銃はどのくらい残ってる?」
「えー。現在は46丁です。」
「まあ、全体の三分のニが受け取ったってことか。どうよ?ミズキ。」
「そんなドヤ顔しなくてもわかったわよ。」
まだ負けていないといった顔で不貞腐れている。
「いい加減に諦めたら~?みんな自分の意志で決めたんだからさ~。」
「グレイ。あんたはどうしてそう呑気なのよ。」
「私には関係ないことだし~?でも、私も使わないけどね~。」
「一体どっちの味方してんのよ!?」
俺たちは銃の標準装備化の結果と今後の活動方針の決定するため会議中だ。
銃を標準化してから依頼を効率的にこなせるようになり、銃の保管庫やメンテナンスをするための施設や機材に出費した分は既にもとを取っている。
「ミズキ。お前は一回でも銃を使ってみたのか?ギルドマスターがわざわざ調達してきた物なんだから使ってみろ。」
「アーヴィング。あんたはもともと銃を使っていたでしょうが!」
「まあな、銃を見てみたら最新式だったからもとから持っていたのと一緒に使ってるぞ。多分、小さいお前でも使えるはずだぜ。」
「小さい言うなー!」
「はいはい、議題を戻すぞ。アーヴィングもミズキをからかうな。」
「サーセン。以後、気をつけます。」
「結果として装備の新調はやってよかったわけだから、この件についてはこれで終わりだ。続いて今後の活動方針だ…。」
「はい!依頼は軍事関係をメインに受け付けてはどうでしょうか?」
お、ミズキのくせにまともな意見だな。
「ほら、前みたいに大きい戦場じゃないけど小さいのとかだと幾つか依頼が来てたし軍からの依頼だと報酬もいいからね!」
ふむ。メンバーも増やすから稼ぎのいい依頼が必要なのは確かだが、リスクがでかいからな。
じゃあ、次はグレイ…は飛ばして。
「アーヴィングは何か意見あるか?」
「ミズキの意見には賛成ですが…。」
「何よ?なんか文句ある?」
ミズキとアーヴィングとの間に不可視の光線がぶつかり合って火花を散らしている。
「軍事関係の依頼を中心に活動していくなら、モノにもよりますが二人以上で受け付けることを義務化したらどうですかね?」
「ふむ。いいアイディアだ。んじゃ、早速実践してみるか。グレイ、しばらく留守にするからよろしくな。」
「ふぁあ~、わかったよ~後のことは任せてね~。」
少し心配だが、いざというときは何とかしてくれるだろう。こいつは、見た目によらずやる気を出したときは誰よりも有能だ。
「ギルマス、いってらっしゃい。」
「ギルドマスター、頑張って来てくださいな。」
「は?何言ってんだ、お前らがコンビで依頼をこなしてくるに決まってるだろ?俺は付き添い兼、トラブルを起こさないかの監視役だ。」
二人ともポカーンとした顔で微動だにしない。
「言いだしっぺがやるのは、当たり前だろが。それに、幹部同士の仲が悪いんじゃ下の者に示しがつかないだろうが。」
しばらくして脳の処理が追いついたのだろうか二人とも我に返ると同時に「「はー!?」」、「「断固拒否する!!」」と言っていたがギルドマスター権限で押し切って有無を言わせずに引きずって行った。