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216(日刊連作小説No.001)  作者: BATCH
第1章「カウンセリング」
7/8

第5話:#木曜日クライエント 氏名【桐谷トオル 様】

  −− 懐疑 −−


 比較的高身長な姿に対して違和感を覚えないシンプルなポロシャツ姿、セットがめんどくさいからととりあえずで被っていそうなキャップ、よく履き込んでいるジーンズ。何かを探し続ける視線。なにか四角いものを閉まっている使い古されたバッグ、歩き尽くした感のあるハイカットスニーカー、半袖からと時計のズレから見える半袖焼け。微かに残る指のペンダコ。落ち着かない指先、数分ごとに伸ばす背筋、我慢している貧乏揺り。すべてフェイクの動き。


 #氏名【桐谷トオル 様】 27歳 O型

 <キリタニトオル>27歳にしては落ち着いているな。見た目は歳相応だが、視線や何かを考えている様な雰囲気はいろんなモノを見てきている目だ。これはこれでまためんどくさそうな気がする。


 #職業【会社員  】

 サラリーマンって言うことか。どういう職種なんだろう。


 #家族構成【両親(別居)  】

 ということは一人で暮らしているということか。実家は別の土地なのか?


 #自分自身についてなんでも書いて下さい。【まずはお話で  】

 描くのが面倒なのか、なんなのか。話したほうが早い、もしくは記録として残したくないということかな。


 なんだろう、この不穏な空気。見られている、私のことを? 何かを探っているのか? 同業者とかそんなところだろうか。新手のストーカーかもしれない。それならエイルだろうか。まずは要注意ってところだ。距離をとって話そう。


 8月7日、カウンセリング開始。

 この男が何を考えているか全くわからない。純粋に助けを求めているのだろうか。それとも、怪しい同業者なのか。なぜここに来たかもこれから聞きながら彼のしたいことを探っていくんだが、不気味さの漂うこの空気にエイルが影響されなければいいのだが。

 まずはわたしが彼の事を聴き続け、本当に思っていることだけを探りだしてからエイルにフェーリングしてもらおう。彼女に危険を及ばせるわけにはいかない。


  −− 便利な名刺 −−


「それでは桐谷さん、カウンセリングを始めます。まずは、ここに来た理由……というか、あなたが改善したいことはなんですか?」

 さあ、開始だ。彼は何を考え、何を答えるのだろう。いざとなれば追い返す。

「ええ、そうですね。アンケートには答えていませんでしたね、すみません」

 丁寧な口調で返してくる。本性はまだ見えない。話は続いた。

「あのー、まあいきなりですが、いろんな噂がありましてね、こちら。なんともほぼ100%の確立で客の要望に答えるって言うんですかね、相手の悩みの依頼を全部助けてくれるって言うんで評判なんですよ。そりゃー来るしかないですからね」

 もうこの仕事を始めて約2年だ。そう言われてみればそうなのかもな。私達は特殊な力を使えるわけだ、治せて当たり前なところはある。そこまで完璧だと変に疑わる場合もあるかもしれない。みんなが口を揃えれば怪しい宗教とでも言われかねないな。それは今度考えなければ。いい情報をもらった。

「それで……あなたのご依頼は?あなた自身のお悩みや過去との対峙している事、教えてください」

「えーもしかして相手の悩みなんか当てちゃったりもするんですか? はー!みたいな感じで」

 少し茶化すような話し方をしてきた。そんな占いみたいな事はやってはいない。やはり霊感商法みたいな噂でも立っているのだろうか。しかし気に入らない態度だ。私はつい顔に出てしまった。

「あれ? もしかして何か失礼なことでも言ってしまいましたかね? 気分を害されたなら謝りますよ」

 こいつ、わざと挑発しているのか? なにかこちらのミスを誘発しているような気がする。ナニモノなんだ一体。新手の冷やかしかもしれない。ネットで騒ぎ立てる陰湿な奴らかもな。話が進まないなら帰ってもらおう。

「もし冷やかしであれば帰って頂いて結構、代金は頂きませんのでどうぞ、あちらへ」

 思わず大人げない返し方をしてしまった。が、なにか実害が出るよりマシだ。

「いやいや! そんな怒らせるつもりはないんで。申し訳ないですね」

「なにか改善したいことがあるならまだ話を聞きますが?」

 怒鳴り散らしても今後のしごとにいいことは無い。柔軟な対応だけはしておこう。

「真面目な人ですね。じゃー担当直入に聞いちゃいますよ」

 また言い返そうとした時にすぐに話しを重ねてきた。

「あなた達、なにものです? あ、ワタクシこういうものです」

 間髪いれずに質問してきたついでに名刺を渡された。

『(株)愛創社 週刊RISE NEWS 記者 桐谷トオル』

 桐谷は他の名刺も見せながら続けた。

「週刊誌の記者です。って言ってもフリーのですけどね。取材しやすく各媒体名義の名刺作ってもらってるんで。新聞社とかともやってる者です。ワリと優秀なんですよ、私。だから結構融通利くもんでね」

 桐谷はフリー記者だった。また面倒なやつが来たな……。しかし、なんでこんなところに。私達みたいな小さな企業にどんな用があるっていうのだ。

「あ、私ね隠し撮りとか嫌いなんで心配しないで下さい。録音する時はちゃんと言いますから。相手の前で録音日時入れて取材の了承吹き込んで貰ってるんで。その辺安心して下さい」

 安心も何も、こっちは犯罪者でもなんでもないんだ。別に録られるような事もない。好き勝手に次から次へと話すやつだ。

「ここに来た理由はね、別に変な理由は無いんですよ。さっき言った通り優秀だって噂が立っててね。普通カウンセラーとかコンサルティング関係の人とかはね、噂となると50%:50%ぐらいの評判なんですよ。その批判のうちは何%かはライバルからですがね。それが誰に聞いてもあっという間に悩みを解決するなんていうんでそりゃ行く価値もあるでしょ?」

 軽いんだか真面目なのかわからないが、とにかくめんどくさい奴だな。どうしようか。まともな相談が無ければ警察呼んででも追い返していいんだが。

「でもね、ただの噂だけで来ないじゃない普通。取材して記事に出来そうじゃなきゃでしょ?」

「こちらには取材に答える義務はない。大事な一日なんだ、アンタの仕事に付き合っている時間はない。順番待ち呼ぶから帰って下さい。言うこと聞かなければ警察呼びます。」

 といいつつ、問答無用で携帯電話から緊急通報にダイヤルしようとした。

「ちょっと! 誰もまだ客じゃないなんて言ってないでしょ? 慌てないでくださいよ」

 それでも電話の動きを止めない私の手を抑え、桐谷は言った。

「もう……。本当にごめんなさい。怪しいところなら揺さぶれば焦って色々話してくれるかななんて思っちゃって! ちょっと迂闊でしたね、ちゃんと1から順に話しますから、ちょっと電話置きましょ?」

 仕方ないが、事を大きくしてもこちらもめんどくさいので電話は一度やめておいた。

「全部順を追って話します。冷静に聞いてほしい」

 桐谷が落ち着いた口調で話し始めたのでこちらもエイルをそばに座らせて冷静に話を聞き始めた。

「まず、噂がたってるのは本当です。ここの客で喫茶店のマスターいたのわかります? 彼からここの話聞いたんだ。いろんなカンセリングとか精神科医行ったけどあんまりいい方向に進まなくて悩んでたそうだ。でもここに4回通っただけで治ったからビックリしたって」

 そうか、隣町の古い喫茶店をやっている50歳手前の細い体型のマスターだ。彼は亡くした息子の事で精神的に参ってた。

 私達の仕事は何種類か方法がある。過去にさかのぼり本人に関わる事件や時間の流れを直接正して、本人の実際の経歴と記憶を本来の時間軸に戻す方法。それは記憶をすり替えるのではなく、実際あった過去が変わっているから、本人の記憶は『それ』しか存在しない方法だ。

 他には、過去を覗いて悩みや苦しみの原因を知る。それを現時間に戻ってから、彼に問題を問いかけながら記憶を誘導していく。その先は本来の心理カウンセラーのやり方と大体同じだ。自己肯定させて自分で思い出しながら悩みを解決させる方法だ。これはある種、暗示をかけるようにやる。ちょっとした催眠術効果だ。

 桐谷はまた冷静に話を続けた。

「そのあとさ、違う日にその喫茶店であった客が、マスターが紹介してここに来た常連客がいたんだ。詳しい内容は聞いてないんだけど、やっぱり4週間で終わったって」

 確かにそんなことはあったな。基本的に紹介がメインだ。マスターも他の人と同じだ。一度関わった相手の方がお互いに信頼できるのでお客が紹介で来てくれる。

「で、その4週間っていうのは、たまたまそこのポリシーだろうからすごいもんだなっておもったくらいだったんだ。でも、不思議に思ったのはもうひとつ」

「不思議に思った? そんな要素はないような気がするが。」

「そうかもしれないけど、同じ答えが何人も聞けちゃうとね。その常連客の話で気になってから何人かに聞いて回ったんだ。そこから取材開始だったんだけどさ。その結果自分で確かめにこようと思ったのさ」

 私達を検証する何かがあるっていうのか?何か失敗したのだろうか? それとも……。

「あのね、話を聞いた人数の半分もいかないくらいかなー。咲坂さん、お客さんたちが『昔あの先生に会ってた』って言うんだよ」

 ……! 私に会ってる? そうか、タイムシフトして過去のクライエントに会った記憶か。カウンセリング中には話題に上がることが少ないからまったく気づいていないのかと思っていたが……。

「でさ、みんなが口をそろえて『あの先生ずっと変わらなくて羨ましい』って言うんだよ。可笑しいだろ?そんなの」

 失敗した。おそらく、20年も遡れば世代も違うので、まさか私が過去にあった女性と同一人物なんて思わないだろうという気持ちから、雰囲気や話し方を変えながら近づいていけば変なふうに思われないと思いやっていた。しかし長くて10年、短くて5年前〜最近ぐらいのジャンプだと、どうしても記憶が鮮明だ。極力接触しないようにはしていたが、5年前のクライエントに近づけば『あの時の?』となってもおかしくはないか。少し迂闊だった。

「でさあ、話は変わるけどオレがねなんで優秀って言われるかって話なんだけど。あ、自慢なんかじゃないよ? オレね、やたらと『勘』が働くんだよね。なんか臭うなって思って取材すると大体スキャンダルなんだよ。向いてるんだろうねこの仕事」

「何を嗅ぎつけたって言うんだ?」焦っているように思われないよう答えを求めた。

「うーん、オレが察するにね、咲坂さんは何か特殊な事しているってのはほぼ確定なんだ。ただそれはどういった類なのかわからない。なにか仕込みがいて、客を惑わせてこのカウンセリングを受けさせに誘導してたりとか……。それとも強烈な催眠術とかでマインドコントロールしちゃってるんだとか。それかやっぱ宗教みたいな感じ、とかね」

 あまりツッコまれたくないところを探られてきた。どうするか。めんどくさいやつだ。はぐらかして帰らせるか。

「でもさ、咲坂さんと話してて感じるのは『ズル』はしてないなって思うんだよオレ。だったらどんな風にして昔の咲坂さんは客に会っているんだ? その意味は? とか、昔会った人を客に仕立てているのかなんて考えちゃってさ。あ、別に悪い意味じゃなくて「昔のツテを営業掛ける』って考えれば自然なことでしょ?」

 クライエントが昔会っていると言う話は桐谷の中で確定事項なんだな……。それをどうやって証明するかってことなんだろう。本当に厄介だ。

「で、やっぱりわからないから直接聞いて、なんならオレが客になっちゃえばいいなと思ったんだよ。咲坂さん、オレの事診てくれないか?」

 自分を実験台にしてでも答えを探ろうって言うのか……。そんな得体のしれないモノによくかかろうと出来るな。

「ちゃんと悩みがあれば問題無いでしょ?」

「そんなに自分で色々出来るのに悩みなんかあるのか?」ぶっきらぼうに聞いてみた。

「そうね、悩みっていうか開放されたいって思い出はあるよ?」

 自分で調査する能力があるだろうに。心の病までは記者でもどうにも出来ないか。といっても、ウチは医者じゃない。病は治す気はない。

「はずかしいんだけどさ、昔付き合ってた彼女に謝りたいんだよ。浮気がバレて別れたんだけどさ。でも今さら合うわけにもいかないし、連絡取れないし。こんな事探偵でも使えば直接謝りにいけるし、最悪自分のツテでも出来そうなんだけどさ。会いたいんじゃなくて、自分の中でちゃんと反省して心で謝れればそれでいいんだよ、相手は顔も見たくないだろうしね。でも、自分でそう思ってやっても実感ないでしょ?だから咲坂さん、ちゃんとカウンセリングしてオレを悩みから開放させて下さい」

 そんなことか……。別に自己満足すれば解消される悩みじゃないか。しかし、記者の能力がある人間が頼るくらいだ、自分でどうにも出来ないこともあるんだろう。しかし……どうすればやり方として正解だろう。逆にむずかしい。昔の事を言い当てたりしたらやはり怪しまれる。過去に接したりしたらなおさら騒ぎにもなりそうだ。どうすればいいものか。普通にカウンセリングすれば済むだろうか? いや、あくまで疑ってかかってるんだ、何も起こらなくておかしいという話になってしまうだろう。それよりも、なにより桐谷は昔の彼女のことなんかどうでもいいんじゃないか? こちらの事を知れればそれで済むんだろう。


「桐谷。これから起こること、なにがあってもまずは黙って理解できるか?そして、アンタに良心があるなら、出来れば黙っててほしい」

低めの声で凄んでみながら問いかけた。

「え?とりあえずはいいけどなにかとんでもないことが起こるの? なんか怖いな」

そこに慌ててエイルが割って入る。

「あおいさーん……本当にだいじょうぶー? この人が悪人だったらこれからめんどくさいことになっちゃうよぉ。ネットの掲示板とかさぁ」

「エイル、大丈夫だ信じてくれるか?最悪な時の事は考えてあるからさ」

 ちょっと悩んだエイルは仕方ないと言う顔でコクリと頷いた。

「じゃあ、これからカウンセリングする。昔の彼女を強く思い出して、私の合図に合わせて『彼女に謝りたい!』って叫んでください」

「え? それだけでいいの? ……わかりましたよ、お願いします」

 エイルにアイコンタクトで確認を取り、桐谷の感情が高ぶったところで合図を出した。


 『さあ、今!』


  −− 暴露 −−


 桐谷の過去にジャンプ出来たようだ。

 面倒な事はごめんだ。ダラダラやっても仕方ない。桐谷をまずは探しだした。


 すぐに彼女と歩いている桐谷を探しだした。待ちゆくサラリーマンが持っている新聞の日付は……2012年4月。つい最近のことだったな……やれやれ。しかたないな。こっちも腹をくくろう。

「桐谷トオルさん」

 歩いている桐谷を呼びつけ振り向かせた。もう仕方ない。本性を見せるしか解決は無い。

「……誰ですか? あれ? この前取材してもらった高ーー」

「隣の彼女さん。彼浮気してるかも。だから気をつけてね」

 ちょっとアレだけどイジメておいてもいいだろう。こっちも探られたんだ、仕返しとしておこう。

「はあ? 何言っちゃってるのお姉さん?」

そこにとなりの彼女が怒りだした。

「やっぱり? あたしねー知ってたんだよ! あんたが浮気してるの! 家帰ってしっかり話聞かせてもらうから! どこの人だかわからないけど、ありがとー。 アンタが浮気相手?」

予想していなかった問いかけにビックリして顔を横に振って否定した。あぶない、そうなると歴史がおかしくなる。

「とにかく! 桐谷さん。あなたと2年後の2014年8月7日、私の事務所であなたと再開すると思うからよろしく。『これで分かった?』って問いかけるから。それで思い出さなかったらもう一度来てあんたの人生の時間軸をぶっ壊してやる」

 相手にとっては意味のわからない話だろうし、最後の意味のわからない捨て台詞には出来るだけ不気味さを持たせて印象つかせた。これで思い出すだろう。


 元の時間に帰ってきた。といっても周りにとっては刹那的な一瞬だが。


「桐谷。私の事覚えているだろう? そういうことだ」

 彼の時間軸をたいして変えていないし、直接別れさせたわけではないので、彼の人生は何一つ変わっていない。今回の記憶も残したままだろう。このセリフでハッキリ思い出すはずだ。

「これで分かったか?」

「……あ!アンタあの時のわけわからない女だったのか! ……え?じゃあ他の客の言ってた事って?昔会ってるのは事実なのか?なんでこんな偶然おこるんだ!」

 なんだか混乱しているようなので詳しく話してやった。今さっき過去に遡ったこと。エイルも能力を使っているということ。

「そうか……まったく信じがたい話だけど、辻褄はあうようだし、言ってることは本当みたいだな。たしかに他の客がみんな偶然会っているわけないんだよなあ。うん、納得したよ、その能力はまだ信じがたいけどね」

「そうだ。で、どうするんだ?話を黙っておけないなら、無理矢理にでももう一度遡ってアンタの人生めちゃくちゃにしてやってもいいんだけど。どうする?」

 桐谷は青ざめながら首を振って言った。

「いや!大丈夫! 記事にはしないよ。だってこんなこと書いたら頭おかしいって言われてオレ記事書かせてもらえなくなっちゃうよ。オカルト雑誌ならいいけどさ、オレもやりたい雑誌とかジャンルあるからね。クビにはなりたくないんだわ」

「じゃあ、どうする? とりあえず解決したいこともたいしてないだろ? 月契約だから全額払って欲しいところだけど、今回の事誰にも話さないなら金は要らない」

 口止め料にでもなるかと思い取引を持ちかけてみたが、返ってきた答えは意外なものだった。

「あのさ、協力させてよ咲坂さん。オレも一応自分なりの正義があって記者やってるところあるし、そんな面白い話、数十年後にフィクションSFでも書けば面白いだろ? それにアンタの調査にさ、必要な情報とか持ってこれるし、そのタイムワープみたいなのじゃわからないことは任せなよ」

 少し、迷った。が、後ろを振り返ってエイルの顔を見るとニコニコしている。エイルが大丈夫ならいいだろう。口止めにもなるし情報も手に入りやすいならラッキーだ。リスクが減る。

「そのかわりって言ったらあれだけど、ちょっとまた相談乗ってよ。もちろんタダでね、へへ」

「しかたない。その代わりこっちもこき使わせてもらうからな」


 突然の話で完全に信用はしないが、もう一人仲間が増えたようだ。まあいい、出来る限りの人を助けられるように、そしてエイルの負担を少しでも減らせるように。

 桐谷は私とエイルによろしくと言い帰っていった。


 −−。


「特殊能力か……あのことも解決できるかな……。」

夕日の差す国道の帰り道、運転している桐谷は真剣な眼差しで想いにふけながら呟いた。ミラーに映る夕日が眩しかった。

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