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総体

高校総体。

それはスポーツをする高校生なら誰もが憧れる高校スポーツの頂点だ。


もちろんうちの部も参加する。

うちの部は三年生がちょうど五人なので、園田くんと一年生二人を控えにして出場する。


うちの部は弱小で、今まで一回も勝ったことがない。

進学校の部活なんてそんなもんか。


私はジュースを一杯買い込み、明広の自転車にまたがる。

背が高い明広に合わせてある自転車は、足がつかない。

わたわたしながら私は会場に向けて走り出した。

他のメンツはもう会場につく頃だろうか。

会場までは自転車で20分といったところ。

初夏の風に吹かれながら会場を目指す。


去年は興味ないからと言ってクラスメイトとカラオケに行っちゃったんだっけ…。

今年は気合いが入る。



会場につくとすごい自転車の数。

わからなくならないように目印になるものを探していると、一年生がやって来た。

『次試合です』

一年生も緊張しているらしく、興奮した口調で急いで、急いでと言う。

慌てて自転車を停めると会場へ急いだ。



ジュースを渡すと、二階応援席へと急ぐ。

正式なマネージャーではないので、一般と同じ扱いだ。


弱小なので、うちの学校からは誰も見に来ていない。

そんなもんだよね、と肩をおとす私。


ジャンプボールで試合が始まる。

ジャンプボールしたのは石原先輩。


やっぱり石原先輩かっこいい!!

ボールは取れなかったけど、それでもかっこいい!!

と私が目を離した時にはもう自陣に攻めこまれていた。


シュートを簡単にうたれる。

リバウンドだ!

明広がジャンプしてボールを抱え込む。

今度はこっちから攻める番だ!


敵は容易にはシュートをうたせてくれない。

というより、前に進ませてもらえない。

24秒が過ぎてしまい、相手ボールとなってしまう。


ルールブックを片手に見ているので、試合展開が早すぎてなかなか追い付けない私。


第一クォーターは10点差で相手チーム優勢。


私は気がつくと手を握りしめていた。

水分補給をして、次のクォーターに備える。

明広が使っているタオルにドキッとする。

実は、この前ショッピングデートをした時にプレゼントしたタオル。

石原先輩になんか目をやっていた自分を叱る。

そうだ、今日は明広の応援に来たんだ!


次のクォーターが始まる。

明広の速さに目を奪われる。

こっちのコートでリバウンドをとったかと思いきや、もうあっちのコートに戻っている。

この人、こんなに速かったっけ?と思うレベルである。


明広の身長は185センチ。

高校バスケではそこそこに高い方だ。


高さを活かしてシュートする。

リバウンドは誰にも渡さない。


でも、相手チームはスリーポイントをがんがん決めてくる。

あの人さえ止めれたら勝つかもしれないのに…!


私は気づいたらルールブックを下に落としていた。

かまわない。



明広は何度となく攻撃を受け止める。

内からのシュートは絶対うたせない、という具合に。


第二クォーター終了後は12点差で相手チーム優勢。

でも、差は広がってない。

まだいける!そう思った。


私は何度攻撃を受けても倒れない明広がかっこいいと思った。

いつものコートとは違う気迫を感じる。


第三クォーター。

相変わらず敵はスリーポイントを入れてくる。

ディフェンスしても、ディフェンスしきれていない。

しかし、うちのチームも負けず劣らずシュートを決める。

差は広がらない。それでも徐々にスリーポイントで差をつけ始める。


第三クォーターは終了後は18点差で相手チーム優勢。


明広にだいぶ疲れが見え始めた。

次でラストになる。


第四クォーターが始まってから、気づいた。

スリーポイント選手に三人もディフェンスをつけている。

さっきまではなかった光景だ。

でも…。と、私は気づく。

そうすると明広は三対一になる。

相当きついんじゃ…?


コートに戻った明広は先程までの疲れを一切見せない。


リバウンドを取り、石原先輩へパス!

石原先輩のスリーポイントが決まる。

相手チームはスリーポイント選手以外はシュートをうってこない。

いや、明広がうたせないのだ。

明広が相手コートのゴール下に回り込む。

石原先輩のパスが決まる。

最高の一瞬。


明広がシュートをうつ。

同時に終了のブザーが鳴った。


結果は…。



2点差でうちの部が勝った!!

後輩たちとハイタッチして喜ぶ私。

最後の明広のシュートで勝ち!

恋愛モノにつきものの、奇跡ってやつです!!


私達は駆けおりて勝利を喜びあう。

明広が笑いかける。

ドキッとする私。

『お前が見に来てるから、いいとこ見せないと』

と言う明広に、私は人目をはばからず抱きついて祝った。

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