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兄妹戦争物語  作者: RENTO
1/1

薬から始まった物語

前書き

適当思いつき小説注意。

どうしてこうなったのかは神様でも分かるまい―。世界が誰か一人のために回るなんて、神様ですら考えたことないだろうに。でも、私の世界ではいる。いやいたんだ。あんな身近にいたとは誰も予想していなかった。何回も言うけど神様だって。そして、そいつが何故か私の『兄』だった。


「もーちゃーん」

「兄」


もーちゃんは私のあだ名だ。本名を忘れるくらいに呼ばれ続けている。だから本名を教えなくてもあだ名で呼んでくれ。呼んだのはあの『兄』だ。ただの兄だ。名前など覚えたくもない。とっくに消した。


「そう兄!兄ね、マシュマロ買ったあ」


だからどうしたと言うのだ。とリアルで言いたいが、兄は一つ傷つくような言葉を言われるとすぐに泣く。高校3年生にもなって本当にだらしない。あれだな、父親に似たんだな。うん。


「よかったな、兄」

「そりゃもう苦労したさあ」

「ほう……どんな苦労を?」


何て聞いてみた。答えは分かっている。答えは盗んだだろ。犯罪者め。これで何度盗んだ。50回くらいはマシュマロ盗んだのではないのか?責任は妹の私なのに。


「もーちゃん食べる?」

「盗んだものを食べる趣味なんてない」

「……そっか……兄一人で食べるよ」


……騙されるなっ!これは作戦だ。もし捕まった時にこいつも食べたから同罪だとか言い張るんだろう!うろたえるなもーちゃんよ!私は食べない。食べない。第一マシュマロなんて大嫌いだ。しかし兄のしゅん顔は最恐だ……最凶なんだ!


「た、食べればいいんでしょ!?」

「え……なあんだ、もーちゃんも食べたかったんだ」


うぇ、甘い。喉が渇く。水が欲しい。でもこの家には兄が学校で貰ってきたと言う変な液体しかない。でも……でも……。頭の中でマシュマロが踊っている!?


《マシュッマシュッマッシュマロー》


聞いた事ない歌だぞ!これはまさか……兄が作ったオリジナル曲!マシュマロが好きすぎで脅してまで友達に作らせたあの曲!何で……一回しか聞いた事ないのになぜこんなにも頭を横切るのだ!


「もーちゃん大丈夫?もーちゃあん」

「あ、兄……たふけてくらふぁい」

「……もっと頼んでくれたらいいよ」


な、何を言い出すか。妹が苦しんでいるのにこの態度。最悪な兄だな。こんな兄、世の中いない!いるかもしれないけど……。でも珍しいぞ!てゆかこんな兄を人間と認めたくないわい!しかし!マシュマロはまだ口の中で踊っている。そして頭の中ではまだ合唱している。逃れるすべはやはりもう一度兄に頼むしかないのか……。屈辱だがこれもこんな兄をもった妹の運命。やるしかない……。


「ふ……ふぅ君……助けて?」


やってしまった……。兄のあだ名を呼んでしまった。何と言う屈辱。兄の名前すら5歳で呼ぶのを止めたのにランクアップしてあだ名で呼ぶなんて!でももし逆らったらやばいオーラだすからな。


「うーん。電車の音で聞こえないなあ」


貴様あああ!その手を使うなんて卑怯極まりない!てゆか電車なんてここ通ってないし!さっき物音一つ聞こえなかったぞ……。はめやがったなあ。これは拷問だ。しつけされてる犬みたいではないか。てゆか私はお前の何なんだよお。


「ふ……ふぅ君お願い」

「……良く出来ました。ハイこれ」

「? 何これ」

「お水だよ」


嘘吐くなドあほ。と言う侮辱はやはり心の中でしかできない。こんなの何かの薬に決まっている。てゆか普通に薬って書いてあるし。


「薬って書いてある」

「気のせいだよ」

「いや、本当に」

「早く飲んで」

「いや……でも」

「もう一度言うよ?飲・ん・で」

「はい」


負けた。また負けた。0勝56敗。兄の目力は半端ない。穏やかで爽やかな顔している奴程危険なんだ。てゆか男は皆危険なんだ。うむ。神様。もーちゃんはもう死ぬかもしれないです。死んだら転生とかやってくれるとうれしいです。復讐したいです。てゆかもう家族になるの嫌です。出来ればこんな兄じゃなくて優しい兄が欲しいです。



ゴクリ――


「……どう?」

「……何もしない」


5分待った。何も起こらない。自分の体に異変は無い様だし、多分風邪薬とか何かだろう。残念だったな兄よ。でもすっかり殺されるかと思った。多分神様が違い薬に変換してくれたんだ。やっぱ日ごろの行いだな。


「うーん……やっぱり駄目かあ」

「兄、これって何の薬だったの?」


一応気になるので聞いてみた。


「あーこれ?神様が願いを叶えてくれる薬」

「嘘だ」

「嘘じゃないよー!仙人から貰った」

「冗談はよせ、私はもう眠いから寝る」

「おやすみー」


何故か眠かった。

そして私は深い深い眠りについた。




《あなたの最後の願い、叶えてあげるわ》


《確か、優しいお兄ちゃんが欲しいって言ってたわよね》


《だったら、ちょっと暗いけど妹思いの優しい人》


《それが私からのあなたの誕生日プレゼントよ》



初めて天使が出てくる夢を見た。懐かしい声。


「起きろ、おい」

「ん……え……」


目を丸くした。そこには兄そっくりの制服姿の男が立っていた。雰囲気は違う。顔も兄の顔をきつくした感じだった。私はベッドから跳ね起き、椅子の後ろに非難した。男は?マークを頭の上に乗せながら私に近づいてくる。


「えちょ……だ、誰ですか!」

「? お前の兄だけど」

「わ、私の兄は一人しかいません!」


てゆか隣に寝ている兄は何故起きない!叫んでるのに……。こいつまた遅くまでゲームやってたな。全く高校3年生にもなってハムスター育成ゲームだ何てどんだけだよ。


「お前、こんな兄でいいのか?」

「いやですけど」

「……」


あ、思わず即答してしまった。でもこれは本当の事だ。誰に聞かれようとこんな兄を好きになれるはずがない。私を下僕みたいに扱う兄なんて。


「なら俺がお前の兄になってやる」

「何をいきなり」

「天使様の贈り物と思え。俺はこれからお前の兄だ」

「夢、本当だったの?」

「そういう事だ。お前、名前は?」

「もーちゃんで……」

「俺はじゅんだ」


何がなんだかあまりよく分からないけど、あの寝ている兄に比べればどうって事ない。きっと天使様の贈り物だから優しい兄なんだ。私の人生、捨てたものじゃないわね。それにしても兄にはどうやって説明しようかな。見知らぬ男といきなり過ごすなんて兄は承知してくれるだろうか。


「心配するな。記憶を変えた、こいつは俺を実の双子の弟だと思っている」

「そ、そんな事できるの?」

「ああ」

「す、すごい……」


そんな事言って、あまり本気ではなかった。ありえない。人の記憶を書き換えるなんて、アニメでしか見た事がない。でも、分かるのは兄の目が覚めた時だ。


「どこで寝るの?」

「ここ」

「布団無いよ?」

「お前と同じ布団で寝る」

「え!?」

「いいだろ?兄妹なんだし」

「……分かったよ」


きつかったけど、じゅんが抱きしめながら寝てくれたのできつくわなかった。暑かったけど。






「おい」

「……」

「おい、起きろ桃恵」

「ん……」


兄の声がした様な気がした。この声は、機嫌が悪い声?でも何で?寝起きはいいはず。怒るときはいつも私が男の子を家に連れて来た時のはず……あれ。何か抱きしめられてる感じがする。あれ?ちょっと昨日……。


「!」

「……」


私を抱きしめていたのは昨日突然現れたじゅんだった。み、見られた。だって目覚ましちゃんとセットしたし。兄は怒っている。じゅんはまだ起きない。


「ご、ごめんなさい……」

「……お前、何でじゅんと寝てたんだ」

「お布団が足りなかったから……」


体が震えて声がかすれる。怒る兄は一番怖い。にらんだ目はまるで獲物を捕らえようとする猛獣の様だわ。まあじゅんが弟と思っているのはやっぱり本当みたいだけど……。


「……じゅんを起こせ」

「うん」


私はじゅんを起こした。じゅんは寝ぼけている。じゅんを睨む兄の目はもうやばい。


「ああ、兄」

「おいじゅん、桃恵から離れろ」

「……はいはい」

「あ、じゅん……」


会ったのは昨日のはずのじゅんについて行こうとしてしまったのが間違い。私は兄に摘み上げられた。文句を言おうとしたが、兄の怖さは半端じゃなかったから言えなかった。私は兄の思うがままにテーブルへと向かった。こんな兄、本当に嫌いだ。自分勝手で、私の事を考えない奴!私は膝の上でぎゅっと拳を握った。


「私いらない」

「だめだ」

「お腹空いてない」

「食べなさい」


今日の兄はおかしい。いつもならすぐに機嫌が直るはずなのに、ずっとこんな感じだ。どうしちゃったのだろうか。どうして変わっちゃったの?こんな兄だったら前の兄の方がましだ。


「私、じゅんが来たら食べる」

「……」


途端に兄が食器をテーブルに置いた。下を向いていたから兄の表情は見えない。怒っているかな。


「あの……」

「桃恵、俺の事好きか?」

「……」


兄の言葉に驚いた。こんな事聞くのは初めてだった。ちらりと兄の顔を見た。真剣な顔。でも、どことなく寂しそうな顔をしている。また作り顔なのだろうか。それとも本当に。でも、はやりこの兄には嘘をつきたくない。だから言った。



『嫌い』



***




その言葉を言った瞬間、世界が闇へと包まれた。


『嫌い』


俺はその言葉を妹から聞いた瞬間、何かが俺の中で動き始めた。両親に虐待を受けていた俺達は誕生日の日にその両親を強盗に殺された。父親は格闘技で何度か優勝しているため、ナイフだけの強盗一人なんてすぐにやっつけたはず。でも、強盗は父親を殺した。その理由は俺にあった。俺はその時中1。妹の桃恵は小3だった。妹は虐待されている事を知らなかった。だから余計に恨みが増した。だから俺は強盗がやられそうになった時、父親の足を棒で思い切り殴った。多分強盗は俺の存在を見えていないだろう。母親は強盗をとめようとして巻き込まれた。そして俺は身を隠し、桃恵と共に遠く離れた田舎に住んでいる。俺は『じゅん』て言う男を知らない。けれど、夜に桃恵が話しているところを盗み聞きしていた。現実、人の記憶を書き換えるなどありえない。でも、桃恵のうれしそうな声を聞いた。


「じゅんは好きで、俺は嫌いか」


俺の質問に頷く妹は泣きそうな顔をしていた。俺だって泣きたいさ。嫌われていたのは気づいていた。でもハッキリ言われると、本当に傷つく。昨日会ったばかりの『じゅん』負けるなんて、やっぱ最低だったかな俺って。


「でもお前は俺の妹だ。それ以上でもそれ以下でもない」


ずっと守ってきたんだ。ずっと見てきたんだ。例え嫌われようが、お前が俺の妹だって事には変わりはない。お前が望まなくても……。


「……でも、俺のせいでお前が幸せじゃないなら俺は家を出る」

「え……?何を言ってるの?」

「じゅんならお前を守ってくれるよ」


本当に何を言っているのか分からない。でも、俺は妹の幸せを願ってずっと育ててきた。だからこそ俺のせいでお前が幸せになれないというのなら離れるべきなのだ。


「今日、昼くらいに家を出る」

「どうして……そんな事」

「さっきも言ったはずだ。泊まるとこはもう決まってる、お前は学校行け」

「うん……」


俺は妹の姿を見送った。多分、最後だろうな。




***



突然、家を出るって言い出した。冗談に決まってるよ。いつものからかいだ。信じられないもの。

「いいのかよ……」

「冗談に決まってるよ!」

「……そうかい」

「てゆかじゅん、あんたどうしてここに!?」

「兄と一緒にいるの怖い」

まあ確かにね。それにしても兄。本当に出て行ったらどうしよう。……って、嘘よ嘘!だって妹を置いて出て行くなんてそんなのありえないわ!でも奴ならありえるかも……。いやいやありえない!

「あいつは本気だぜ」

「な、何言ってんのよあんたまで」

「あの薬。あれって願いが叶う薬。お前はあの兄に復讐したいって言ったろ?」

「確かに言った……」

「多分、これからやばい事が始まるぜ」


本当に、やばい事が始まった。



***


帰ったとき、兄は本当にいなかった。兄の書斎を見た。空だった。冷蔵庫に貼ってあった写真は兄の姿だけいなかった。私は泣かなかった。本当にいらないと思っていた。だから悲しくなかった。私はじゅんと一緒に生きていける。でも、寂しかった。そして裏切られた感じだった。


***




そしてその夜、変な夢を見た――


《夢が叶って良かったわね。それじゃあ私にお礼をしてもらうわ。大丈夫よ、ちゃんと決まってるわ……それはね、ちょっときついけど勝てば大切な物を返してあげるわ……何をやればいいかって?それわね……『兄弟戦争ごっこ』よ》

《まあ、黒天使ったら残酷な遊びを……でもこれがあの薬を飲んでしまった子の使命。庇えませんわ》

《ルールはパートナーに聞きなさい……それじゃあ、スタートは7月29日、深夜の12時よ?》

《あなたの夢が、叶いますよう白天使は祈っておりますわ》



***



「それじゃあルールを説明するよ」

「ちょっと、本当にあの夢って本物だったの?」

7月25日、朝の9時頃。私が朝ごはんを食べているところを突然上半身裸のじゅんが言ってきた。夢を見たら必ず俺に言ってくれといわれたので言ったらこんな事を言い出したのだ。

「本当さ。だから兄の存在も君と俺以外もうしらない」

「……兄はどこへ?」

「俺にも分からないよ」

大嫌いでも一応家族だ。ただの家出かと思ったけど。

「それじゃあ『兄弟戦争』のルールを説明するよ」

「うん……」


兄弟戦争とは仲が悪い兄弟の一人の存在を身内をパートナー以外消させる。パートナーは俺みたいな奴。そしてその兄は君達の敵になるわけ。例えば君が飲んだ薬。あの薬は招待状なんだ。あそこであの薬を兄が飲んだら、今ここにいるのは兄なんだ。だから差別とかはないよ。まあ薬の他にもジュースとか、水とか。そういうも世界中の兄弟が持っている。参加者は多数さ。じゃあルールね。


一つ、誰かの兄を倒せば1コインもらえる。ポイントみたいなものさ。

二つ、逃げ出そうとしたら殺されるよ

三つ、協力はいいよ。だましもありだ。

四つ、これは殺し合いだ。死んだら負けだ。





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