表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

はじまり

「「「探しています」」」

「「「お願いします」」」

朝の空気は、東京にしては静かすぎた。

車の音も、人の話し声も、なぜか遠い。

事故も天気も、特別なことはない。


友達と通学路を歩きながら、わたしはひとつ先の駅あたりに住んでいる祖母の話をした。

話すつもりはなかったけど、なんとなく口から出た。


「うちのおばあちゃん家にビニール傘が増えてるんだって」


「傘が増えるなんて、よくあることでしょ」


こわいのはまだこれからなのだ。


「おばあちゃん早起きだからさ、早朝にお酒飲んで街を徘徊してるんだって、」


彼は目を大きく開いて、「ええ!」と目から言葉が出るようにこっちを見てきた。


「それで、ビニール傘を拾ってきちゃうらしいのよ」


彼はにやにやしながら


「それもうビニール傘コレクターだろ

  朝からつよいな」


わたしは、はははと笑い流す。


そこで会話が途切れた。

わざわざ話を広めるほどの話じゃない気がした。


「ボケてるとかじゃないの?」


彼は軽く言った。

責める感じはなくて、

都会でよく聞く“整理された結論”みたいな声だった。


「たぶんね」

私もそう答えた。

それで話は終わるはずだった。


でも、

「おまえのおばあちゃんに会ってみたくなった」


って言う彼の、本当の気持ちなのか、気を遣われただけなのか。

その一言があるせいで、余計に心の居心地が悪くなった。


お父さんがおばあちゃん家に先週行ったとき、まず玄関に大量に置かれたビニール傘が目に入ったらしい。

聞いてみると祖母は首をかしげて、

最初から無かったみたいな顔をする。


「まあ、年だし」


彼はそう言って笑った。

その笑顔を見て、

私は安心したふりをした。


学校に着くころには、

その話題はもう消えていた。


ただ、

今日はいつもより暗い一日になりそうだな

とだけ思った。


理由は分からない。

分からないままで、

いい。

短い一話でしたよね。できることなら、もうすこし書きたかったです。

でも私には時間がないんです。

この物語は、中学生の頃の実体験をもとにしています。

もう昔の話です。終わった出来事のはずでした。


私は自分の中学生時代に関わる探し物をしています。

この話を一気に書き終えることができない理由も、そこにあります。


私が探しているものは、個人的な記憶であると同時に、

もしかしたら、あなたにも無関係ではないものかもしれません。

もしこの物語を見つけたなら、続くたびに読んでいただけると幸いです。

少しずつですが、続きを書いてゆきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ