第1話 わたしの過去
私は学生の頃から孤独な日々だった。
人見知りで弱くて。だから、友達もほとんど0に近かった。
こんな私でも『友達』って呼べる存在ができるのかな、という不安しかなかった。
それが変わったのは高校生になった時だった。
当時は携帯電話を持っている同級生が少なかった中、高校入学と同時に買ってもらったスマホ。それが私を大きく変えた。
それがSNSだった。
顔も本当の名前も知らない相手と、文字や写真だけで繋がれる世界。
最初はおそるおそるだったけど、同じ趣味や考え方を持つ人と出会えることが新鮮で、毎日がどんどん色づいていった。
誰かが「おはよう」って言ってくれるだけで、その日がちょっと特別になる。
くだらないことで笑って、夜遅くまで話し込んで、気づけば「また明日ね」が当たり前になった。
いつの間にか、スマホの中のその人たちは、私の世界の大きな一部になっていた。
夜遅くまで他愛のない話をしたり、落ち込んだときに励まし合ったり。
「友達って、こういうものなんだ」って初めて思えた。
でも同時に、SNSは魔法みたいな優しさだけじゃないことも知った。
言葉ひとつで深く傷つくことも、信じていた関係が一瞬で壊れることもあった。
画面の向こうの人の本当の気持ちは、どんなにやり取りを重ねても全部は分からない。
それでも、あの頃の私は必死に繋がろうとしていた。
孤独から抜け出したい一心で、手を伸ばし続けた。
それが、私にとっての「居場所」だったから。