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8 ゴブリンライダー爆誕

 ゴブキチが、行商人から買ったロバに乗って、村を闊歩する。


「ゴブリンライダー様のお通りだぞ!!」


 ゴブキチは気付かない、村人が白い目で見ていることに。

 ゴブコが言う。


「あの馬鹿に言ってやったほうがいいかしら?」

「放っておきましょう。すぐに現実を知ることになるからね」


 ゴブキチの乗っているロバはアレクサンダーという大層な名前をしているが、かなり臆病だ。当然、戦闘になると震えて蹲ってしまう。ゴブキチとしては、颯爽と先陣を切って戦うことを思い描いていたようだけどね。


 では、ゴブキチが全く使えないかというと、そうではない。

 アレクサンダーを守るため、必死で戦うからだ。それに誰よりも訓練に精を出している。なので、村一番の実力を身に付けてしまった。まあ、アレクサンダーから降りて戦うから、もはやゴブリンライダーではないけどね。

 また、戦闘面以外でも役に立っている。


「ゴブリンライダー様、資材の運搬を頼みたいのですが?」

「任せておけ、最強のゴブリンライダーであるゴブキチ様に掛かれば、不可能はないぞ」

「ありがとうございます」


 ゴブキチの性格を熟知している村人たちは、ゴブキチを煽てて利用している。

 ゴブコなんて酷いものだ。


「ゴブキチ、隣りの村まで行って、農作物を売って来て。それが終ったらすぐに討伐した魔物の搬送をお願い。これはゴブリンライダーの貴方じゃないと頼めないのよね」


 かなりの過密スケジュールだが、ゴブキチは引き受ける。


「仕方ない。他ならぬゴブコの頼みだ。少し厳しいがやってやろう。正義の騎士、ゴブリンライダー様がな」


 颯爽とアレクサンダーに乗って去って行くゴブキチを見ながら、ゴブコは言う。


「馬鹿とゴブキチは使いようって言うしね」


 いくら頑張ってもゴブコの評価は低いままのようだ。

 頑張れ、ゴブキチ!!



 一方、ゴブミはというと本当に優秀だった。

 最近、転職神殿は忙しい。というのも、近隣の村から噂を聞きつけたゴブリンたちが大勢やって来るからだ。彼らに対して、事前説明を行ったり、研修のカリキュラムを作ったり、会計業務をしてくれたりと大活躍だ。本当に助かっている。だって、雑務はすべてゴブミがしてくれるので、神官業務に専念できるからだ。


 別の村からやって来たゴブリンたちは噂をする。


「彼女は聖女見習いらしい」

「そうか、それであんなに聡明で、奇麗なんだな」

「エリート中のエリートしか、ここの見習いになれないそうだ」


 自分の仕事を評価されたゴブミは、張り切っている。なので、最近はかなり積極的だし、明るくなった。

 それに月に一度は「自分もゴブミのような聖女見習いになりたい」と言ってくる者がいるしね。


 ゴブキチのように「ゴブリンライダー」というレアジョブにありながら、そのスキルをほとんど生かせず、それでも頑張っている者。また、ゴブミのように未だ転職の糸口も見付からないけど、努力している者。二人に共通するのは、群を抜いて活躍しているということだ。

 人生は本当に面白いと、つくづく思う。



 ★★★


 そんな時、事件は起きた。

 ゴブミと一緒に研修を委託しているゴブアさんの元を訪ねた。ゴブアさんは中年の女性で、農業部門の責任者をしてくれている。ジョブは「ゴブリンファーマー」だ。元々姉御肌で、村人の信頼も厚かったので、研修の指導者としては打って付けの人物だ。


 そんなゴブアさんが、ブチギレている。


「おい!!自警団は何をしているんだ!?何で、大切に育てたスイカが喰い荒されてるんだ!?」


 ゴブアさんの怒りを一身に受け止めるのは、リーダーのゴブキチだ。

 実質的なリーダーはゴブコだが、こういった面倒事や雑用を押し付けるためリーダーはゴブキチが務めている。


「そ、それは・・・流石に夜まで警備は・・・」

「甘えるな!!一日中、畑に張り付いてろ!!」


 あまりに可愛そうになったので、仲裁に入る。今回のことは、ゴブキチが悪いわけでもないしね。


「ゴブアさん、これは魔物の仕業ですね。この足跡を見てください」


 足跡を見たゴブコが言う。


「これはフォレストウルフの足跡よ。フォレストウルフは臆病で、知能も高いわ。普通は絶対に人里には下りて来ないんだけどね。そうなった理由でもあるのかしら・・・」


 ゴブコが言うには、理由は分からないが、フォレストウルフに間違いないようだ。知能が高いので、村人が寝静まった夜間にやって来たのだろう。だったら対策もできる。


「夜間の警戒要員を配置してはどうかしら?それとゴブリントラッパーで、罠を設置するのもいいかもしれないわね」


 ゴブコが意見を言う。


「いい案だけど、奴らは、臭いにも敏感だから警戒員を配置していると、気付かれると思うのよね」

「だったら、薬師たちに言って、フォレストウルフの鼻をおかしくするポーションを作ってもらいましょうよ。村の為だし、喜んでやってくれると思うわよ」


「そうね。とりあえず詳しいことは、この後決めるとして、ゴブキチ、アンタがリーダーだからこの場は締めて」


 ゴブキチは、胸を張って言う。


「これは村の危機だ!!今こそ我々自警団は、立ち上がらなければならん。自警団の総力を結集して、作戦に当たるぞ!!」


「とうことで、ゴブキチはリーダーでもあるから、通常業務と訓練の他に夜間の警戒も犯人を捕まえるまでやってもらいましょう」


「う、うん・・・」


 誰よりもゴブキチの扱いを熟知しているゴブコであった。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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