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実家の転職神殿を追放されたけど、魔族領で大聖女をやっています  作者: 楊楊
第三章 正式に転職神殿を始めました

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47 エルフの里

 エルフの里の中央には、巨大な大木がそびえ立っていた。

 私を含め、同行者たちは、驚きの声を上げる。


「あ、あれは・・・まさか・・・」

「もしかして世界樹なのか?」


 エルンストさんが、解説してくれる。


「我らエルフは、あの世界樹を守るために存在していると言っても、過言ではない。そして、その重要な役割を担っているのが、神虫様なのだ。早速、神虫様の元へ案内しよう」


 案内されたのは、世界樹の生えている場所だった。

 近くで見ると、その大きさに驚愕する。更に世界樹の周囲には多くの光の玉が飛んでいた。世界樹に祈りを捧げていたエルフの女性が私たちに気付いて近付いて来た。エルンストさんによく似た女性だった。


「姉上、こちらの方々が?」

「そうだ。紹介しようこちらのエランシアは我が妹で、巫女をしている」

「巫女ですか?」


 そんな話をしているところに、光の玉がエランシアさんの肩に止まった。

 よく見てみると、小さな人型の生物で、小さな羽が生えている。

 ゴブコが叫ぶ。


「ま、まさか!!妖精?」


 おとぎ話でしか聞いたこともない、あの妖精だ。

 エルンストさんが言う。


「妖精?なんだそれは?こちらは神虫様であるぞ」


 ゴブコがツッコミを入れる。


「どう見ても妖精でしょ?」

「小さくて、羽が生えて飛び回るんだから、虫だろ?」


 一同が絶句する。

「神」とはつけているが、「虫」は流石に失礼ではないか?

 私なんて、もっとグロテスクなものを想像していたんだけどね。


 まあ、エルフの感性は無視して話を続ける。


「エランシアは、完璧ではないが神虫様と意思疎通ができるのだ」


 エランシアさんが言う。


「本日は、遠いところからわざわざ来ていただきまして、改めて感謝を申し上げます。早速ですが、こちらの事情を説明いたします。こちらへどうぞ」


 エランシアさんに連れられて、向かったのは世界樹の中だった。

 ゴブキチが驚きの声を上げる。


「世界樹って、中に入れるのか!?」

「そうですね。この中に神虫様が住まわれているのです」


 そのまま、世界樹の中を進むとそこには大きな繭があった。


「神虫様のお一人が昨年急にこのような姿になったのです。他の神虫様が仰るには、「このままでは大変なことになる」とのことです。いくら調べても何も分かりませんでした。ただ、繭からは「苦しい」「助けて」という感情が伝わってくるのです。私も神虫様の伝えたいことが、全て分かるわけではありませんので、どうすることもできず・・・」


 エランシアさんから悲痛な思いが伝わってくる。

 そんな時、ラビとスラ、そして小型飛竜のドラスが繭に駆け寄った。

 テイマーのミラが言う。


「もしかしたら、繭からの発せられる悲痛な思いを感じたのかもしれません」

「俺も感じるぞ。エランシアさん、俺たちも繭に近付いてもいいか?」

「お願いします」


 テイムしている魔物たちとミラとミロスが真剣に繭を確認する。

 ミロスが言う。


「どうやら、成長の途中で失敗したらしい。自分ではどうすることもできないようだ。俺たちも何とかしてあげたいが・・・」


 するとラビが私に駆け寄ってきた。そして、鼻を擦り付けてくる。


「どうしたの、ラビ?えっ!!転職させろですって?」


 どういうことだろうか?

 私にできることといったら、「ジョブ鑑定」くらいなんだけどね・・・


 私は繭に近付き手をかざす。

 あまりの驚きに私は声を上げてしまった。


「こ、これは・・・まさか・・・」

「どうしたのよ、エクレア?」

「この繭は妖精で、精霊に「転職」ができるみたいなのよ・・・それで助かるかどうか分からないけど・・・」


 私はエルンストさんとエランシアさんに説明をする。

 まず、他の神虫様を鑑定したけど、どうも虫ではなく「妖精」のようだった。そして、この繭は元々は妖精で、何かのきっかけで精霊に進化しようとして、失敗したようだった。私は「転職」をさせれば、助かる可能性もあるが、初めてのことなので、失敗する可能性もあることも説明した。


「これは我々では判断できんな」

「そうですね。族長である父上に伺いを立てよう」


 すぐにエルンストさんたちの父親である族長がやって来た。


「事情は分かった。神虫様が辛い思いしているのは分かっている。どうするかは、神虫様に決めてもらおう。頼めるか?」


 私はラビを通じて、意思確認をした。


「ラビが言うには、「この苦しみが続くなら、失敗してもいいのでやってほしい」とのことです」

「分かった。責任は我が持つ。やってくれ」


 私は大きな繭に手をかざし、集中する。


「貴方の覚悟は分かりました。私も全力を尽くします。転職し、新たな人生を歩みなさい!!」


 私が魔力を込めると繭からは、眩い光が溢れ出した。光が強すぎて、目を開けていられない。


 光が収まり、繭があった場所を確認すると、そこには5歳くらいの幼女が横たわっていた。その幼女は羽が生えていて、妖精に似た姿だった。


「・・・ありがとう・・・でも失敗・・・」


 この子は、言葉が話せるようだった。


 でも、「失敗」とはどういうことだろうか?

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