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実家の転職神殿を追放されたけど、魔族領で大聖女をやっています  作者: 楊楊
第三章 正式に転職神殿を始めました

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36 指導者を探せ

 ショコラたちがやって来て2週間が経った。

「赤い稲妻」のメンバーはそれぞれが訓練に精を出している。

 ラドウィックとゴードンなんかは、ゴブキチに弟子入りしてしまった。オーガラたちには、全く歯が立たないので、少しレベルが上で、面倒見がいいゴブキチに懐いたというわけだ。


「まずは心を鍛えなければならないぞ。強い力を持つ者は、それ相応の責任がある。お前たちはセンスがある。これからも励めよ」

「「はい!!ゴブキチ師匠!!」」


 この後ゴブキチは、ゴブコに「調子に乗るな!!」と言われて、殴られていたけどね。

 ステラはというと、ステラよりも魔法が得意な魔導士がいなかったので、逆に魔族の転職者の指導をしてもらっていた。


「初心者に魔法を指導することを通じて、自分自身を見つめ直すことができたわ。最近、魔法に対する真剣さが足りなかったと反省したわ。エクレア先生、ありがとう」


 こちらも有意義な修行ができているようだ。


 一方テイマー兄弟だが、新しくランクアップした魔物の能力を把握することに重点を置いていた。ミロスは現在、3匹のドラゴンをテイムしているのだが、そのうちの1匹がランクアップした。小柄なドラゴンで、子犬サイズしかない。名前はドラス。


「ドラスは体も小さくて、足も遅かった。それが飛竜にランクアップしてからは、本当に楽しそうに空を飛んでいるよ。他の二匹に比べて、自分が役に立ってないと感じて、ずっと落ち込んでいたんだ。エクレア先生、本当にありがとう」


 魔物を転職させることでも、人を幸せにできるんだね・・・


 そして、ミラがテイムしているスライムのスラだが、アークスライムとなり、様々な能力を使えるようになった。私とラビが見に行くと、いつも自慢げに能力を見せてくれる。ミラにテイムさせるまで、ずっと私が面倒を見ていたから、私とラビにいいところを見せたかったのかもしれない。


「エクレア先生、見てください。スラはメタリックスライム、ポイズンスライム、メルトスライムの能力が使えるようになったんですよ。私は本当にエクレア先生とスラには感謝してるんですよ。あの時、先生やスラに出会っていなければ、今の私はありませんでした」


 何とも言えない気持ちになる。


 目の前では楽しそうにスラが、メタリックスライムになって、ラビとじゃれ合っていた。



 ショコラはというと、転職神殿の業務を手伝ってもらっていた。


「私はこういったことをやりたかったんです。ここでは「転職」のスキルは使えませんけど、転職者の悩みを解決したり、励ましたり・・・ランカスター転職神殿でも、私がもっと頑張っていれば・・・」

「それは違うわ。貴方がいくら頑張っても結果は変わらなかったわよ。大事なのは、過去を後悔することではなく、これからどうするかよ」

「はい」


 彼らが来て、改めて思ったが、転職神官という仕事は本当に奥が深く、やりがいのある仕事だ。もっと勉強して、立派な転職神官にならないとね。



 ★★★


 それから1週間後、ショコラたちは帰還することになった。

 ショコラが言う。


「帰還したら、必ずここに生産職の指導者を連れて戻ってきます。情勢は厳しいですが、何とかお願いして、連れて来ます」

「あまり無理しなくてもいいわよ」


 ラドウィックも続く。


「俺たちも戻って来るよ。ここには強い奴がいっぱいるからな。それにカールも来たいと言っていたしな」

「カール君は元気ですか?よろしくお伝えください」


 ミロスが言う。


「ここは土地が余っているし、強力な魔物が多いから、ここにテイマー専用の訓練施設を作ろうと思ってるんだ。まずは、テイマーギルドのギルマスに相談してみるよ」

「土地については大丈夫だけど、魔族に悪感情を持っている人間は多いからね・・・」

「まあ、何人かは賛同してくれると思うけどな」


 そんな話の後、彼らは旅立った。

 彼らを見送りながら、アルベールが言う。


「これで、生産職の指導者が来てくれればいいのだが・・・」

「ショコラは頑張るとは言っていましたが、現実は厳しいと思います。指導者が来ることをみんなには知らせないほうがいいかもしれません。ぬか喜びさせてしまっても・・・」

「それもそうだな・・・ではこちらも、別の方法を考えておく」




 ショコラたちが旅立って1ヶ月後、再びショコラたちがやって来た。

 同行者を見てびっくりだった。実家でお世話になっていたギルマスたちが勢揃いしていた。


「皆さん・・・揃いも揃って、一体どうしたんですか?」


 鍛冶ギルドのギルマス、ドグラスさんが言う。


「そんなの決まっている。指導者が必要なんだろ?だったら俺たちがやってやるって話だ。俺の指導は厳しいから、耐えられる奴がいるかどうかは分からないがな」


 薬師ギルドのギルマス、ジャミルさんも続く。


「ショコラちゃんがね。こっちには、珍しい薬草やキノコ類があるって言うからね。研究を兼ねて来たのよ。指導はするけど、私は研究がメインね」


 商業ギルドのギルマスは利益が見込めると思って、冒険者ギルドのギルマスは冒険者の新たな活動拠点の構築に、テイマーギルドのギルマスは、訓練施設の建設計画のためと言っていた。


 ドグラスさんが言う。


「みんな素直じゃねえな!!エクレアの嬢ちゃんが心配で来たって素直に言えねえのか?」


 みんな私のことを思って来てくれたようだ。

 胸が熱くなる。


「本当にありがとうございます。こちらの転職者はスキルこそ、まだまだですがやる気があり、真面目です。どうかよろしくお願いします」


 ドグラスさんが言う。


「だったら早速、工房に案内してくれ。心構えから指導してやるぜ」



 こうして、最高クラスの指導者が勢揃いしたホープタウンは、大発展を遂げることになった。

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― 新着の感想 ―
かつてエクレアちゃんが一生懸命、頑張っていたことを知っているからこそ、ギルマス達が来てくれて……苦労が報われたみたいで良かったです。 魔族と人族の間のわだかまりや偏見、そういうものが少しずつでも消えて…
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