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実家の転職神殿を追放されたけど、魔族領で大聖女をやっています  作者: 楊楊
第一章 追放、そして・・・

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10 ゴブリンライダー爆誕 3

 3日後、ゴブキチは無事に帰還した、絶望的な情報とともに。


 キラーグリズリーは群れを作っているようだった。

 そして、そのリーダーというのが変異種のようだ。通常のキラーグリズリーは体長が5メートル程だが、変異種はその倍の10メートル程だという。確認したところ、群れの規模は5匹、通常のキラーグリズリーであれば、討伐できないこともない。


 キラーグリズリーの特徴は圧倒的なパワーだ。そして一番の武器は鋭い爪だ。なので、基本戦術としては、罠に嵌めて、遠距離攻撃でダメージを与えていく。当然、時間は掛かるが最も安全な対処法だと推奨されている。変異種がいないのであれば、この方法で村の戦力を結集すれば何とかなるだろう。問題は変異種だ。体長が倍もあるんだから、罠にも嵌らないだろうし、ダメージも入りにくいだろう。


 私が現状を説明すると、一同が暗い表情になる。


「キュー!!」


 突然、ラビが鳴いた。

 通訳すると「私に任せて!!一突きにしてあげるわ」だった。最近、ラビは言語を完璧に理解しているし、自信もついたようだ。もちろん、グレートボアを一撃で屠るくらいに強いんだけどね。それは置いておいて、こうなったらラビに頼るしかない。


 村長が言う。


「このまま放置しても、群れの規模が大きくなるだけじゃ。決死隊を編成するしかないじゃろう。但し、希望者だけじゃ。当然儂も出る」


 こう見えて村長は結構強い。

 ジョブは「ゴブリンコマンダー」、人間で言うところの「軍師」と「将軍」を併せたようなジョブだ。


 早速、決死隊が選抜された。

 自警団は全員が志願したが、もし失敗に終わった時のことを考えて、戦力は残すことになり、40名いるメンバーの内、30名が参加することになった。当然、ゴブキチもゴブコ、そして私も編成される。


 出発は3日後、それまでに準備を整えたり、別れを済ませたりした。

 別れの日、ゴブミが言った。


「みんなが無事に戻ってくることを心から祈っています。絶対に帰って来てくださいね」


 もちろん、そのつもりだよ。



 ★★★


 半日後、キラーグリズリーの棲み処に到着した。情報通り、1匹の変異種と4匹の通常種が確認された。

 村長が最後の指示を行う。


「皆、訓練通りにやれば大丈夫じゃ。ゴブキチ、ゴブコ、お前たちはこの村の最強戦力じゃ。指揮は儂に任せて、思いっきり戦ってくれ」

「「はい!!」」


「そして聖女殿。貴殿には大変申し訳なく思っておる。村人でもないのに、こんな危険なことに巻き込んでしもうて・・・」

「気にしないでください。それに私は、もう村人ですよ。村の為に戦うのは当然です」

「そう言ってくれると本当に有難い。では皆の者!!作戦開始じゃ!!」


 戦闘が始まる。

 基本通りにゴブリンスカウトたちが、キラーグリズリーを挑発して、罠地帯まで誘導し、罠に嵌めた。そこにゴブコたちを中心に遠距離攻撃を開始する。通常種は罠から抜け出せなかったが、変異種は罠をすぐに壊してしまった。


「やはり、変異種に罠は効かぬか・・・ゴブキチ!!出番じゃ!!」

「任せろ!!」


 ラッシュに乗ったゴブキチとフォレストウルフたちが、一斉に変異種に飛び掛かる。

 これは彼らが仕留めようというのではない。通常種たちと距離を取るためだ。ゴブキチ、フォレストウルフ、私とラビで変異種に、後のメンバーで通常種との戦闘を行う作戦だ。

 ここからは、変異種との戦闘に集中する。


「みんな目と耳を塞いで!!行くわよ。閃光弾!!」


 私は、「錬金術師」の初期スキルで作った閃光弾を投げ付けた。強烈な音と光を出すだけの爆弾だが、初見では防ぎようがない。しばらくの間スタンするので、その間に変異種を仕留める作戦だ。ゴブキチたちが総攻撃を掛ける。

 変異種は、腕を振り回して大暴れしているが、ゴブキチたちには当たらない。これなら勝てる・・・


「硬すぎる・・・全くダメージが入らない」

「グルルルル・・・」


 変異種は次第に回復していく。いくら攻撃を与えてもほとんどダメージが入っていない。もう一度閃光弾を使おうかと思っていたが、結果は同じだろう。一度冷静になり、通常種と戦っているみんなに視線を移す。何とか戦えている。ただ、討伐までには、かなり時間は掛かりそうだ。


 問題は変異種をどうするかだ。ゴブキチたちもそうだが、私も初期スキルしか使えないので、火力が足りない。悩んでいたところで、突然、ラビが鳴いた。


「キュー!!」


「えっ!!一撃で倒せるって?それには・・・」


 なるほど・・・


 私は、ゴブキチたちに指示を出した。


「しばらく変異種を引きつけて!!私たちが不意打ちを喰らわさせるから」

「分かった!!みんな踏ん張るぞ!!」

「ワオーン!!」


 ゴブキチたちが必死で変異種と戦っているところで、私は「斥候スカウト」の「隠密」スキルを使って、ラビと共に変異種の背後に回り込んだ。ラビを地面に降ろす。するとラビは光り輝き、何と巨大化した。体長は5メートルくらいある。


 こんな事ができるなんて・・・


 そしてラビは、全く気付いていない変異種に背後から猛然と突進した。自慢の一本角で変異種を突き刺した。流石に一撃では仕留められなかったようで、何度も突き刺した。


 ラビって、見かけによらず、かなり狂暴なんだね・・・


 ラビの攻撃で倒れ込んだ変異種にゴブキチたちが総攻撃を掛けた。最後の最後まで、変異種は暴れていたが、何とか仕留めることができた。ゴブキチが歓声を上げる。


「やったぞ!!俺が変異種を倒したぞ!!」

「「「オオオー!!」」」


 他のみんなも、通常種を討伐し終えていたので、ゴブキチに合わせて歓声を上げた。みんな傷だらけだけどね。

 ゴブコがゴブキチに抱き着く。


「馬鹿!!ほとんど、ラビちゃんのお蔭じゃない・・・でもよかった・・・」

「ゴブコ・・・」


 戦闘後、キラーグリズリーの素材を採取したり、怪我をしている者の治療を行った後に村に帰還した。

 帰還すると、大歓声で迎えられた。特に人気があったのは、ラビだ。


「神獣様!!ありがとうございます」

「伝説の神獣様がいれば、この村は安泰じゃ」


 神獣?


 村長が言うには、その昔、村の危機を救ってくれた伝説の神獣がいたそうだ。ラビの活躍を受けて、村人たちが勝手にそう呼んでいるらしい。


 ラビは、いっぱい餌をもらえて嬉しそうだから、そのまま神獣でいてもらうことにした。

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