6話
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俺こと天月優斗は屋敷の庭を歩いていた
姫乃に拾われ住む場所も記憶も身寄りもない為、彼女の屋敷で過ごしている
姫乃からは別に外出してはいけないとは言われていないが彼女のお世話係の美琴さんから「お嬢様が心配なさるので」と言われ、外の空気を吸いたい時は、この広く豪華な庭で水やりをしたりして過ごしている
そんな時、一台のリムジンがやってきて夫婦なのか男女一組の2人が降りてきた
1人は男性でスーツを綺麗に着こなし優しさの中に静かに威厳を漂わせる雰囲気をまとっていた
もう1人は女性でレディースのスーツを着ていて男性同様優しさがあるが、仕事が忙しかったのか少し疲れているようだった
「君が、姫乃の命を自分の命を投げ出してまで助けてくれた青年かな?」
「あなたは…」
男性に問いかけられ俺はただ震えその一言を振り絞るのが限界だった
当然といえば当然だ、記憶を失い全てを忘れただこの屋敷という箱庭にいる事しか許してもらえなかったのだから
俺は空白の人生を埋めたくて新しく出会えた人とただ外の世界に触れたかっただけなのに…
そう思っていると姫乃がこっちに走ってきて
「お父様、お母様お帰り!!」
「えぇえっ!?」
「初めまして、姫乃の父親の蒼井風悠介です」
「母の愛海です」
俺はただ驚く事しか出来なかった
姫乃の話だと両親それぞれ多国籍グループの会社の社長を務めていて滅多に帰ってこないというのを聞いたからだ
「姫乃、長く帰って来れなくてごめんな、せっかく姫乃が助かったのに…そして君も君自身の危険も顧みず助けてくれたとはいえ自分の記憶を失ってしまって辛いだろう、なんとお礼を言えばいいか…」
「本当にごめんなさいね、貴方の事は姫乃や美琴から聞いてるわ。本当にありがとう。そして辛い思いをさせてしまってごめんなさいね…」
2人に頭を下げられ俺は心の中で深呼吸をして一拍して
「僕はあの時、心から自分のやりたい事を一生懸命にしたんだと思います。頭を下げてもらうような事は何一つしてませんよ。それに身寄りがないので引き取って貰えて本当にありがとうございます」
悠介さんの威厳漂わせる風貌に圧倒されつつも
これまでの自分の本心を涙ながらに言うと…
「そう言ってくれてありがとう。君のような勇敢な人がいてくれれば普段家にいない私としても頼もしい」
「私からもお願いするわ、普段私も夫も仕事で家を空けてばかりで姫乃には寂しい思いをさせてばかりなの。君のような子が来てくれればと前から思ってたの、誰も反対はしないわ、君が良ければ家族に迎えたいの」
2人ともお礼を言ってくれたばかりか俺を家族に迎えたいと言われて少し動転してるが…
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
「そう固くならなくて大丈夫だよ、是非お父さん、お母さんと呼んでくれて構わないよ」
「これからよろしくね、優斗君」
喜んで引き取りを承諾すると悠介さんからお父さん、お母さん呼びで固くならなくていいよと言われ
愛海さんから疲れてそうでもそれを隠しながらよろしくねと歓迎の言葉を貰った
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