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欲求  作者: マロ
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序。その1

「眠い…」朝早くに起き、目を擦りながらつぶやく。私の名前は藍花(あいか)。なりたての高校生2年生で文理が別れてまだ慣れない生活を送っている。去年はとても楽しいクラスだったんだ。騒がしいけど皆仲が良かったからね。

「って、時間ヤバい。早く行かなきゃ。」

急ぎ足で学校に向かう。朝早くに起きて走っていくのには理由があった。(スマホ触ってたら遅刻なんてやばいよ〜…)

「はぁはぁ。遅れてすいません、桃花先輩」息を上げながら美術室の扉を開け、そこに居る先輩に言う。

「謝らないでいいよ。時間ピッタリだし、気にしないで。」画材の準備をしてる先輩が言う。

この人は桃花(ももか)先輩。黒髪のハーフアップですごく可愛い。サラサラで長い髪が非常に映える。

「準備なら私がしますから…」息を上げながら言う。

「いいのいいの、それより少し落ち着いて。ほら、深呼吸して?」小さく笑いながら先輩が言う。

「すぅ…はぁ。落ち着きました。ところで今日は何を描くんですか?」息を落ち着かせて先輩に問う。

「今日は校庭に咲いてるすみれの朝の状態を描こうと思うの。まだ肌寒いけど、外に出ましょ。」先輩も楽しいのだろうか、声が弾んで聞こえる。「はい!!」そう言って画材を手に、校庭へと向かう。

すみれは朝露で少し濡れていて、陽の光で光っている。小さなすみれだが輝いていて、生命の神秘というものを感じる。

この感動を伝えるために私は絵を描いているのだと思いながら、描きたいという欲求のままに絵を描く。

「紫と…橙、緑…青もいいね。黄色が映えるねぇ…少し赤も入れてみたりして…うん。いい感じ。先輩、ちょっと見てくれます?」私がそういうと「儚さと煌めきがまとまってていい感じだね。藍花ちゃんらしい、いい絵だよ。」可愛い顔でニコニコしながら言う。

「ありがとうございます。でも先輩みたいに表現の幅を広げたいです。とても繊細でリアリティがあって見てると感動できる絵を私も描けるようになります!!」少しうるさくしてしてしまったのか他の生徒から注目されて私は顔を赤らめる。「こっちが恥ずかしくなるくらいに褒めてくれてありがとね。そろそろ戻りましょうか。」またもクスクスと小さく笑う。

美術室に帰る途中に遥歩に会った。遥歩は私の幼なじみで、たまにしか学校に来ない。今はコーラス部で歌ってるそう。

「あっ、遥歩。久しぶり。」目が合ったので手を振ってみる。「藍花…久しぶり。」なれない感じで手を振り返してくる。「あのね、遥歩…」話しかけようとして遮られる。「ごめん、僕行かなきゃ。また今度話そ」急くようにして遥歩が言う。

「あっ…うん。また今度ね。」話せなかったことに落胆しつつ、美術室に帰る。描いた絵を撮り、スマホに保存して家に帰る。

「ただいまぁー。」返事は無い。「あれ?麻妃もいないのかな…」妹の麻妃(まき)も家にいない。遊びに行ってるのかな?と思いつつ、自分の部屋に行く。


夕暮れで少し暗くなった部屋で今日のことを思い出していた。遥歩に少し素っ気なくしてしまったことや恥ずかしかったこと。考えれば考えるほど心が沈んでいく。(いっそもういなくなっちゃえば…)「ダメダメ。こんなこと考えてもいいことなんかない」顔をひっぱたいて思考を上向きに戻す。

私はスマホ依存症だ。暇な時は常にSNSを触っている。

「あっ、いいねたくさん来てる。どれどれ…」今日あげたすみれの花が少しバズっているようだ。

『今回の絵もすごく素敵です。』『儚げだけど力強さもあるいい絵ですね。』

SNSは私を認めてくれる場所だから好きだ。

色んなコメントが私の承認欲求を満たしてくれる。

「もっといいねが欲しいなぁ…」そうつぶやくと「ただいまー!!」元気のいい声が聞こえてきた。

「おかえり、麻妃。」カジュアルショートの元気いっぱいの雰囲気を纏うこの子は麻妃。私の自慢の妹。

「今日ね、遥歩くんがね、公園で歌ってたからね、一緒に歌ってたの。」突然遥歩の名前が出てびっくりした。「そうなんだねぇ。何歌ったの?」少し悩む素振りを見せて、「うーんと、色々?」こういうところが可愛いのよ。「楽しかった?」そう聞くと元気いっぱいに「うん。楽しかった!!!」可愛いわぁうちの妹。

お察しの通り私はシスコンだ。妹がいれば私は生きていける。

お風呂も入ったしあとは寝るだけだなぁと思ってテレビを見てる妹に「おやすみ。」と伝える。

(遥歩は今何してるのかな…)そんなことを思いつつ布団に入って一日を終える。

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