頭をパカンと割ったら、ぽんこつすぎる創作論が溢れてきた
エッセイ、ぽんこつ創作論の旅へようこそ!
今年の四月に、なろ活三周年を迎える私。
これまでに沢山の創作エッセイを読ませていただき、学ばせていただきました。
お礼に私も何か書けないかな……と頭を割ってみたのですが、お役に立てそうな知識は何もなくて。代わりにぽんこつすぎる創作論が溢れてきたので、記録に残してみようと思い立ちました。
まずはじめに、私は頭がよくありません。
国語の成績はそれなりに良かったと思いますが、文法のあれこれは全く分かっていません。実は活字もそんなに好きではなかったことが最近判明。(漫画は大好き♪)
計画を立てることが極端に苦手なのでプロットも作れず、勘と感覚で小説を書いています。
上手く言えないのですが、私の場合創るというよりは、勝手に動くキャラや物語の後を筆が追いかけていく感覚です。(細かい部分は創りますが)
子供の頃から夢はいつもカラフル。数字や月日の並び方にも、頭の中に特殊な絵がありますし、日中も妄想だらけ。何故か突然物語が降ってくることもあります。
これは、そんな少し変わった作者の創作論です。
① 波に乗って船を漕ぐイメージで
起承転結は考えず(難しいので)、とりあえず良い波に乗るイメージで描いています。
まずは、読者様に乗ってみたいと思っていただけるような船を用意する。その船を作者が良い波に乗せ、どんぶらと漕いでいくイメージです。
荒々しすぎると船酔いしてしまうし、穏やかすぎてもつまらない。
凪いだ海に空の星を映すことが出来る方もいますが、それは文章力の高い方。残念ながら私にはその力がないので。どんぶらと波に乗っていきます。
この波は、長編の時は特に意識しています。
読者様に次話も読みたいと思っていただけるように、一話の中にも波を意識するのです。
たとえばただ食事をしているシーンや、ただ世間話をしているシーンで一話が終わってしまわないように。食事や世間話をさせるなら、そこに印象に残るような演出を絡めます。
(キャラの意外な性格が見えるとか、伏線を張るとか)
戦闘シーンや断罪シーンを描く時も(あまり描いたことはないのですが)、読者様が疲れないように、心理描写で休憩ポイントを作るとかでしょうか。
一話の最後はもちろん、続きが気になる~という高波の途中で終わりたいので、多少長くなってもそこまで描ききってしまいます。心地好い波であれば、文字数は気にならないはずですから。
② 読者様が乗りたい船とは?
主にタイトル、あらすじ、冒頭部分です。
タイトルとあらすじは、長文か短文かよりも、読みたいと思わせることが重要。ネットニュースの見出しとか、キャッチコピーを作成する感覚で。
電子書籍でもなろうでも、最近は常にタイトルというタイトルに目を光らせています。
あらすじも詳しく書くより、興味を引けるかが大事。私はあらすじを書くのが何より面倒なので、出来るだけシンプルにしています。
さて、素敵なタイトルとあらすじを用意したら、読者様を船旅にご招待します。
安心して乗船していただく為には、冒頭部分(長編なら一~三話くらい?)が、タイトルとあらすじからかけ離れていてはいけません。
(恋愛だと思ったのにハイファンっぽい! とか、ほのぼのだと思ったのに乱暴! とか)
タイトルとあらすじを受け止める、ふかふかのクッションでお迎えしたいものです。
これが良いのか、参考になるのかは分かりませんが、日間ランキングの表紙入りした私の船(異世界恋愛、ほのぼの、ややせつない短編の旅)を載せてみます。
☆タイトル
『二番目にしかなれない私』
☆あらすじ
『二番目にしかなれない、そんな令嬢が王太子の側室になったなら……』
☆冒頭部分
『二月二十二日、侯爵家の次女……すなわち二番目の女児として、この世に生を受けた私。
今度こそ男児をと祈っていた父は、私の性別を聞いて大層がっかりしたそうだ』
……どんぶらとかふかふかとかすみません。
これでも脳内イメージを必死に言語化しております。
③ 『そこな』を大切にする
またまたすみません。
ええと、これは舵を切ったり、帆を張るタイミングのことです。
つまりはここでアクシデントを起こそうとか、ここは尺を短めに、逆にここは丁寧に描こうとか。
私は基本地図もコンパスも持たないので、自分の勘を信じて操縦します。『そこな』と思う方向に光が差しているので、そこへ向かっていく感覚です。
(はい。その結果、航路を誤って読者様からクレームを頂いたり、転覆したこともしばしば……)
小説だけじゃなく、ドラマや漫画でも。物語に触れている時、誰でも『そこな』と『そこじゃない』を感じたことがあるのではないでしょうか。
自分のタイミングに合えば心地好いし、合わなければもやっとする。
地図やコンパスを見るのに疲れてしまった方は、一度自分の勘に頼って冒険してみるのも面白いかもしれません。
どんなに快適な船旅を用意したつもりでも、全ての読者様にご満足いただくことは無理なので。
④ 操縦はリズムよく♪
冒頭にも書きましたが、私は文法のあれこれが分かりません。ただ、操縦(文章)のリズム感はすごく大切にしています。
たとえば、
『ザブザブバシャン!ザブン!バシャンザブリザブン!、どんぶらこ。』
とか、
『どんぶらこ、ザブザブバシャン!ザブン!バシャンザブリザブン。』
みたいな文にならないように。
『どんぶらこっこ~どんぶらこ、どんぶらどんぶらどんぶらこ。』
の方が気持ちよくありませんか?
なんか気持ち悪いけど、直し方が分からないしそのまま投稿してしまえ~と思った文は、日にちを空けて読み直した時も、必ず『ん?』となります。
書いている内に操縦の腕も上がるはずですので(多分)、定期的な見直しは必要です。
あと、船旅によって操縦方法は変えます。
ラブコメなら、ただ水飛沫をテンポ良く浴びてもらう感覚で走らせますが(台詞、構成重視)、せつない恋愛ものなら、水の色や泡の状態、温度やにおいまで細かく描き込みます。(心理描写、情景描写重視)
⑤ 船旅を楽しんでもらう為、最高のプランを用意する
甘いお話なら虹色の海に潜ってもらい、せつないお話なら流氷が纏う空気を吸い込んでもらう。
優しいお話なら船を停めて星空を見上げてもらい、ラブコメなら乙姫様とうつぼの漫才を楽しんでもらう。
恋愛もの一つでも、こんなに色々なプランがあるなんて。海は広いのです。
自分だけが知る素敵な場所へ、読者様を連れていってあげましょう。
⑥ 串がなければ肉は刺せない
ごめんなさい。船は一旦置いといて……
これは美味しい焼き鳥を作る為に、自分の串を持ちましょうということです。
『串』とは、創作における自分の芯です。個性や、創作への想いとも言えるでしょう。
ダーク(砂肝)でもコメディ(ぼんじり)でも甘々恋愛 (レバー)でも、それを支える『串』は変わりません。
なので『串』がしっかりしていないと、肉も野菜も上手く刺さらないし、焼き具合にもムラが出る。
串に合わない流行りの肉を無理やり刺して、重みでポキリと折れてしまうことも。
私には私の『串』があります。
『実家で虐げられてたけど、嫁いだらスパダリ夫に溺愛されちゃいました』系のテンプレ(定番のもも肉?)に挑戦した時は、自分の串に合う方法で刺し、自分の火加減で焼きました。
結果、大台(一万ポイント)には届きませんでしたが、長編の中では一番平均ポイントが高い作品になりました。
調理するのも楽しかったし、きっと読者様も、美味しく味わってくださったのではないかと思っています。
⑦ 自分の個性を知る方法とは?
……私にもよく分かりません。
何度も転覆して踠いている内に船の構造が見えたり、航路のクセに気付いたり。(おっ、船に戻せた)
『あなたの操縦は辛いので途中下船しますが、こんなに揺さぶられた船旅は初めてなので星を5個お支払いします』なんて、読者様が有難いお言葉で教えてくださることも。
あとは他の方の船に乗せてもらうことで気付いたりします。
私はこちらに登録した当初、『読むのではなく書きたいんだ! 読み合い? 評価? なんだソレ』と尖っていた時期があるのですが、今ではそんな自分を殴りたいです。
なろうでもなろう以外の作品でも、沢山読んでみてください。
⑧ 自分の船を大切にする
沢山沢山創った船。
中には人気のなかった、船旅どころかあまり乗ってもらうことすら叶わなかった船もありますよね。
それでも、誰かにとってはまた乗りたい! と思ってもらえるような、素敵な船だったかもしれない。
その誰かが、他の誰かを連れて来てくれるかもしれない。
私がコミカライズのお話を頂いたのは、まだ目立つ作品など一つもなかった頃。当時ランキングにも載らなかった、数百ポイントの船でした。
どうか自分の船を大切にしてください。
自分が一番愛して磨いてあげてください。
(乗組員もね)
⑨ 自分だけの創作論を
ここまで色々書きましたが、私、創作論なんてあってないようなものだと思っているんです。
もちろん基本的な文章の書き方とか、プロットの作り方とか。『コツ』はあるのでしょうけど。
創作は学生時代の勉強に似ていると思っています。
自分の得意と苦手を把握した上で、自分なりの学習方法を編み出ださなければ意味がない。
『みんなが塾に行ってるから自分も行こう』という安易な気持ちでは、決して成績は伸びないように。
もし私が、『流行りに乗れ』という誰かの創作論をそのまま受け取り、婚約破棄ざまぁの海ばかりを漕いでいたとしたら。永遠にランキングに載ることは出来なかったと思います。
流行りものを上手に調理される方もいれば、児童虐待など重いテーマを扱った異世界恋愛でランク入りする、私みたいなタイプもいるのです。
ですからこの創作論も、『へえ、そんな船の創り方もあるんだな』『変なの』程度にとどめていただければ幸いです。
私自身もこれを数年後に読んだら、『???』となるかもしれません。
ご乗船いただき、誠にありがとうございました。