僕らはみんな、崖の上
僕らはみんな、崖の上
僕らは並んで崖の上
下には底なしの海があって
崖っぷちはボロボロだ
それでもみんな
目の前で宙に浮かぶ果実が欲しくて
周りを押しながら手を伸ばす
おし合いへし合い
誰かが落ちても気にしない
そうしてみんな手を伸ばす
果実を手にした者はよろこび
果実を食べながら
崖から離れて言うのだ
努力が足りぬ工夫が足りぬと
何様のつもりで言うのだ
でもみんなその言葉に踊らされて
よりいっそう崖っぷちに立つ
そして落ちてゆくのだ
けれどこうして押し合っていると
なぜだか安心するのだ
みなと同じように頑張れているのだと
しかしたまに雲に乗って
簡単に果実を手にしてしまう者も出る
そういうときはみなで非難するのだ
話が違うと
不公平だと
私も同じように非難し
同じ人を指差す
いけすかない野郎だと
雲に乗った人はだんだん下を見て
いつしか雲から降りて
海へと落ちていった
途端にみんなは喜んだり
もったいないと悲しんだりする
私も果実が欲しかったと憤慨する
けれどそんなこともすぐ忘れて
またみな一様に果実へと手を伸ばす
僕らは並んで崖の上
いつも
いつでも
いつまでも