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麗しい婚約者様。私を捨ててくださってありがとう!  作者: 青空一夏


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44 ニッキーとセリーナの末路 

 ギャロウェイ伯爵はワイマーク伯爵邸の隣に別荘を構え、ギャロウェイ伯爵領とワイマーク伯爵領を頻繁に往来するようになった。ギャロウェイ伯爵家が手掛ける諸外国との貿易により取り扱われる希少な輸入品が、ワイマーク伯爵家直営の店にも並ぶようになり、店の品揃えはますます充実していった。さらに、ワイマーク伯爵領で生産される高級化粧品や医薬品、そしてアリッサが開発した安価な医薬品や化粧品も、ギャロウェイ伯爵家の広範な貿易ネットワークを通じて周辺諸国で販売されるようになり、ワイマーク伯爵領はさらに豊かさを増していった。



 しかし、これに激しく反発したのが、ニッキーだった。

「父上、アリッサに肩入れしすぎです。アリッサは勝手にライン卿に嫁いだというのに、どうしてそこまでしてやるんですか。ギャロウェイ伯爵家は私が継ぐんです。父上の勝手な行動で困るのは私なんですよ」

 

「いや、そうとも限らんぞ。ニッキー、最近のお前の行動には目に余るものがある。酒場に入り浸り、娼婦と関係を持っていると聞いている。即刻その女と手を切り、仕事に真剣に向き合え。お前がこの名門ギャロウェイ伯爵家を継ぐに相応しいかどうか、私は大いに疑念を抱いているのだ」

 ギャロウェイ伯爵は探るような眼差しでニッキーを見つめた。

 

「娼婦ではありません。私はセリーナと真剣に付き合っていますし、彼女に子供ができたんです。私の子ですよ! 祝ってもらいたいものです」


「セリーナだと?」

 ギャロウェイ伯爵の表情が一層険しくなり、さらにニッキーに問いかける。

「あのアーモンド子爵家を勘当されたセリーナか? セリーナは信用に値しない女性だし、もう貴族ですらない。そんな女性を妻に迎えることは許さないぞ」

 

「ですが、私の子供を身ごもっているんです。私は彼女と結婚します!」

 

「お前にはプレシャスとの間に、娘のクリスタルがいるではないか! クリスタルはワイマーク伯爵家に引き取られているが、クリスタルもシルヴィアスと同じギャロウェイ伯爵家の孫だ。私はこの二人以外を孫とは認めん!」

 

 ギャロウェイ伯爵は激怒した。伯爵の厳しい宣言にもかかわらず、ニッキーは毎晩のように酒場に通い、セリーナとの関係を断つことはなかった。ついにギャロウェイ伯爵は決断を下した。

「ニッキー、お前を勘当する。ギャロウェイ伯爵家の跡継ぎは、アリッサの息子シルヴィアスにする。また、クリスタルにも孫として相応の財産を残すつもりだ」

 

「え? どうしてクリスタルにまで財産を与えるんですか? アリッサが勝手に引き取ったんですから、アリッサが面倒を見ればいいじゃないですか。ギャロウェイ伯爵家とは関係のない子でしょう? それに、シルヴィアスはワイマーク伯爵家の跡取りですよ。彼がギャロウェイ伯爵家まで継ぐ必要はないはずです」

 

「無能な後継者に家を任せれば、何世代にもわたって築きあげてきた家名は一瞬で崩壊する。ニッキー、今までお前に期待をしてきたのは、お前がなんとか努力しようとしていたからだ。しかし、最近のお前はどうだ? 仕事もまともにせず、言ったことの半分も果たせていない。それに加えて、信用できない女性と結婚しようとする。そんなお前に、このギャロウェイ伯爵家を継がせるわけにはいかんのだ」


「アリッサばかり得をするのは不公平です! アリッサはもう十分な財産を持っているのに、さらにその息子にギャロウェイ伯爵家まで継がせるなんて、私はどうなるんですか? 妹が優秀すぎるせいで、私はずっと無能扱いされるんだ!」

 ニッキーは悔しさに声を詰まらせた。

 

「ニッキー、アリッサは確かに優秀だ。しかし、アリッサが成功したのは才能だけでなく、努力も重ねてきたからだ。アリッサは常に全力を尽くしてきた。お前もその努力をしていれば、こんな結果にはならなかったかもしれない。アリッサだけを恨むのはお門違いだ」

 ニッキーは納得がいかず、胸中に渦巻く悔しさを抱えたまま、アリッサへの嫉妬心を募らせた。


 ニッキーはその後、セリーナのアパートに転がり込み、賭博に溺れて借金を重ねた。酔いつぶれては酒場の片隅で寝るような荒れた生活が続いた。身重のセリーヌがいくら注意してもまるで聞かずに、手を挙げることも頻繁にあった。


 「うるせーー! 考えたらよぉ、元はと言えば全部お前のせいじゃないか? お前がサミー卿を誘惑しなければ、アリッサはウィルコックス伯爵夫人になっていたんだよ。私はサミー卿と提携してさらにギャロウェイ伯爵家を繁栄させられた。そうだよ! そもそもの原因を作ったのはお前だーー」


 セリーナを殴る音が部屋に響き渡り、ニッキーは歪んだ快感を覚えていた。この二人は子供が生まれた後もいがみ合い、喧嘩が絶えなかったのである。



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― 新着の感想 ―
いっそ流れてしまった方が幸せかもね。誰の種だろうと、あの二人の子供として生まれるのは地獄でしかないから。
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