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麗しい婚約者様。私を捨ててくださってありがとう!  作者: 青空一夏


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38 シメオンとサミーの断罪

 レイモンの活躍によりアリッサたちは、ギルドの長たちが領内の物流や商業の独占を維持するために、彼らに都合の良い取引を続けていたことを突き止めた。

 王都や他の貴族の領地で化粧品や医薬品を売る場合も、特定の商人や貴族と結託し価格を不当に吊り上げたり、物資の供給を意図的に遅延させることで自己の利益を増やしていたのだ。


 さらに、商業ギルドと運輸ギルドが密かに結んでいた契約において、不正なキックバックを受け取っていたことも分かった。これにより、ワイマーク伯爵領内で製造される医薬品・化粧品の愛用者は、不当に高額な値段で商品を買わされていたことが発覚する。


 決定的な証拠として、レイモンは彼らの密談の内容を記録した書類をいくつも手に入れていた。そこには、アリッサの改革計画が彼らの利益に対する最大の脅威であり、アリッサを排除するために刺客を送り込む決定がなされたことまで詳細に記されていたのである。この書類は、彼らの罪を公にするための重要な手がかりとなった。


 次に、アリッサとラインは領民たちの前で真実を明かすため、公開の場を設けた。大広場に集まった領民たちの前で、ギルドの長たちの不正行為を一つ一つ暴露していったのだ。不当な取引、秘密裏に行われた汚職、そして刺客を送り込んだ計画まで。アリッサたちはこれらの証拠を公開し、領民にギルドの長たちがどれほどの悪事を働いていたかを示した。

 また、アリッサは領内で起きた重要な出来事や領民全員に知らせておきたいことを掲載するワイマーク新聞を新たに刊行し、領内のすみずみまで配布されるように手配した。


 これにより、領民たち全てにシメオンらの悪事が知れ渡ることとなった。彼らは激怒しこれまでの苦しい生活の原因がワイマーク伯爵家ではなく、ギルドの長たちの独占的な利権にあったことを初めて知った。

 また、その真実は全国展開する新聞や雑誌にも掲載され、大きな犯罪事件へと発展した。伯爵夫人を亡き者にしようとしたのだ。それは貴族社会全体への挑戦とみなされる「大逆罪」なのだった。


 

 シメオンとその取り巻きたちである大商人らは、王の御前裁判で国王が直接審理を行うことになった。

「シメオン、お前が刺客にワイマーク伯爵夫人に致命傷を負わせるように命じたことは明白な証拠がそろっておる。貴族を亡き者にするという計画をたて、それを実行させたことは重罪である。よって、絞首刑を言い渡す。それに賛同した大商人らも同罪とする!」

 シメオンはレイモンの入手した証拠により、一切の言い逃れはできなかったのであった。



 また、サミー卿の関与もシメオンが残していた記録により明らかになったので、大々的に新聞を賑わした。サミーの場合はウィルコックス伯爵家当主の立場であるため、王が主催する評議会形式の審議となった。これは王が最終判断を下すが、彼の側近や重臣たちが意見を述べる形式である。


「サミー卿、そなたはワイマーク伯爵夫人の元婚約者であったな。なぜシメオンに手を貸したのだ?」

 王は顔を不快にしかめ、厳しく問いただした。


「それは……アリッサは私の妻になるはずだった女性だからです。しかし、王太后陛下のご意向でそれが覆り、ライン卿の妻になってしまった。さらに、新たな婚約者(クリスタル)まで匿い……そんな女を恨まない男がいるでしょうか?」


 サミーの質問に国王の側近の一人が、冷ややかな笑みを浮かべながらサミーを追及する。

「だが、サミー卿がワイマーク伯爵夫人――もといギャロウェイ伯爵令嬢を捨て、アーモンド子爵令嬢と結婚した事実があるのは明らかです。それも、アーモンド子爵令嬢が妊娠したと思ったから、という証言が多々あります。先に浮気をしてギャロウェイ伯爵令嬢を捨てておきながら、あまりに都合が良すぎる解釈ではありませんか?」


「そっ、それはアーモンド子爵令嬢が私を騙したからです! 私はアリッサを捨てる気などなかった! ですが、アーモンド子爵令嬢が騒ぎ立てたせいで……それに、新たな婚約者(クリスタル)まで奪われたのですよ? こんな不運が他にあるでしょうか!」


「それはワイマーク伯爵夫妻が養女にした令嬢のことだろう? 二人の年齢差を考えてみろ。サミー卿、仮にあなたにまだ生まれてまもない娘がいたとして、20歳以上も年上の男の妻にしたいと思うかね?」

 重臣のひとりが呆れた顔をしながら、話をつづける。

「プレシャス様には心から同情する。ワイマーク伯爵夫人を頼り、あちらで出産し亡くなられたと聞くが……もし、サミー卿が不釣り合いな婚約話なんぞ持ちかけなければ、今もプレシャス様はご存命だったかもしれん」

 

「うっ……うるさい! 余計なことを言うな! あの婚約話はニッキー卿から持ちかけてきたんだ。私は少しも悪くない。国王陛下、私はほんの少しだけ、アリッサが恐怖を感じれば良いと思っただけなのです! 彼女を殺してほしいなどとは微塵も思っていませんでした。本当です。かつて婚約していた最愛の女性なのですから!」

 サミーは国王の前でそう弁明したのだった。



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