7話《国を揺るがす→最速》
7話です!
急いで書いたから文章変かもしれません。
楽しんでいってください!
王都ウォッシェル、冒険者ギルド内、測定室での出来事。
異世界に転生した匡近は、ユグドラシルと出会い、王都ウォッシェルで冒険者となることを決めた。
「では、この紙に手を乗せてください」
受付嬢の指示に、素直に従って手を乗せる匡近。
すると、白紙だった紙に文字が浮かび上がってくる。
Lv,1 遠藤 匡近 (16)
ジョブ 魔法使い
HP 100/100 MP 計測不能
ランク
STR:75 |D
VIT:0 |C
AGI:200 |D
INT:計測不能 |✕
MND:999 |SSS
LUK:120 |D
DEX:320 |B
スキル
[超・消費魔力軽減|極]
[超・自然魔力回復]
[被物理ダメージ増加|上]
[超・能力低下耐性]
「おぉー! ステータスだ! テンション上がるねー!」
自分の能力が可視化する。そのことにテンションが上がる匡近。
だが目の前の受付嬢は、しばし呆然とし、次の瞬間に大慌てで立ち上がる。
「え、ちょ、ちょっと待っててください! マスター!」
匡近に一言断り、部屋を出ていく受付嬢。
マスターなる人を呼ぶ声が聞こえると、受付嬢と共に、筋骨隆々な大男が部屋に入ってくる。
「おうおうどうした。逸材か?」
低く響く声に、どこか喜色を感じる。
受付嬢が、匡近のステータスが記載された紙を男に渡すと、男は大声で笑った。
「ガハハハ! これはこれは! とんだ掘り出し物じゃぁないか! ちょっくら来てもらうか。俺が直接見たい!」
そう言って男が匡近を奥の部屋に呼ぶ。
ドアをくぐると、学校のグラウンドのような、開けた場所に出た。
「本当なら試験官が見るが、今回はギルドマスターである俺、ランガが試験監督をしよう。得意武器はなんだ?」
「えっと、魔法、ですかね? 一通り使えますよ」
その言葉にまた男が笑う。
まるで童心に帰ったような表情で、「一つ、自分ができる最大威力の魔法を放て」と命じた。
「わ、わかりました。上に向かって撃ったほうが良いですよね。・・・よし! いきます! 『緑、翠、碧。命の芽吹く緑。悪しきを寄せぬ翠。破壊へと導く逆襲の碧。畏怖され、崇拝される相反する緑。守るべきモノを侵す者への罰として、天より出づるは雷神龍。森との盟約に従い、敵を灼き討つ力を我に授けたまえ《激昂する雷神龍》』!」
瞬間、空が暗転する。
空一面に雷雲が広がると、その雲の隙間から光り輝く雷を纏った龍が降りてくる。
神帝御雷龍 天翔大御神。そう呼ばれる龍が降臨した。
国中が混乱した。だが、騒ぎ、逃げようとするものはいない。
否、できないのだ。
匡近の魔法は魔法の域を超えていた。
まさに神降ろしといえる所業を安々とやり遂げた匡近。
具現化した龍の、圧倒的な重圧に、誰一人動くことができない。
ゆったりとした動きで降りてきた龍が、匡近の上に浮かぶと、厳かに口を開く。
「やっほーまさちー。どしたん? なんかあったのー?」
「いや、なんかギルドの実技試験って言われて。最高威力の魔法って言われたからこの魔法かなーって」
「えー嬉しいw やたー。ばるたんに勝ったー」
あまりも打ち解けた様子の2人に、目の前で見ていたランガたちは空いた口が塞がらない。
なんとか我を取り戻して匡近に質問しようとしたランガ。
だが、神帝の言葉に遮られる。
「んー、じゃあなんかやんないとねー。そこに雷の一つでも落とせば良いのかな?」
「そだね。よろしく頼むよ」
「よーし、張り切っちゃうかー」
「え、ちょ、やめ・・・」
ランガが止めようとするも時すでに遅し。
「えいっ」と気の抜けた声が聞こえると、試験場に雷が落ちる。
それは王都中の大地を揺らし、雷の落ちた箇所を深く抉る。
「わー! やっぱすごいね! 迫力あるなぁ」
「ふふん。でしょー」
「お、やっとるやっとる」
驚きで言葉が出ないランガたち。
匡近たちが出てきたドアからユグドラシルが出てくると、知ったような様子で言う。
「ユグちゃんやっほ。災難だったねー。まぁ、まさちのとこに来れただけマシなのかな?」
「そうじゃのう。お陰で安泰じゃよ」
談笑を始めるユグドラシルと神帝だが、ふと横を見ると、腰を抜かしたランガが目に入る。
するとユグドラシルが、何かを思い出したように神帝に提案する。
「のう、カケルよ、人の姿になってはどうじゃ。ここの民が動けぬようじゃて」
「あ、忘れてたー。楽しくてついね。んむぅ・・・ほいっと」
神帝はそう言うと、煙を纏う。
煙が収まると、先程の龍は姿を消し、代わりに一人の女性が立っていた。
龍が消えると、空の雷雲が晴れ、王都中にかかっていた重圧が解ける。
未だに混乱していた王都だったが、原因である人物は気にせずに話を続ける。
「こっちだと不便なんだよなー。弱くなるし」
愚痴を吐くその女性は、口調に見合わない容姿をしていた。
妖艶な流し目に、腰まで伸ばした髪を先の方でまとめている。
薄い紫色かかった羽衣を羽織り、頭の後ろに浮かぶ光背がその女性をただの人間でないと示す。
美しいと、思わず声が溢れてしまうような容姿端麗な顔をへにゃっと崩して、先の龍と同じ声を発した。
「ま、まさちといっぱいくっつけるから得だけどねー」
「やめんか。反吐が出る」
「なになにー。嫉妬ー?」
「違うわ! 勘違いするでない!」
ランガにとっては見知らぬ二人が話している。
その様子を遠目に見ている匡近が目に入り、質問を投げる。
「おい、マサチカだったか。あれはどういうこった。試験は合格だからとりあえず教えてくれ」
「え? あ、ありがとうございます。えっとですね、あっちの緑っぽい髪の方が自分の仲間のユグドラシルで、一緒に話してる銀髪の子がカケルですね。さっきの魔法で召喚しました」
「なるほどわからん。カケルってなんだ、さっきの龍神様か?」
ランガの言葉に匡近が頷くと、ランガは手に負えないとばかりに空を仰ぐ。
「じゃあ」とランガが続けようとすると、またもドアを開けて何者かが試験場に入ってくる。
騎士のような凛々しい顔つきを興奮したように赤くして、ランガのもとに駆け寄る者は、先程のSランク冒険者、レラであった。
「おい! ギルマス、先程の魔法を放ったのはどこのどいつだ!? ここらへんにいるのだろう! さぁ、教えろ!」
あまりの勢いに若干引きながらも、「こいつだ」匡近を指差すランガ。
バッと音がつくほどの勢いで匡近の方を向くレラ。
匡近の手を取り、矢継ぎ早にまくし立ててくる。
「この出会いは運命だったのか! 私はなんと恵まれていることだろう! マサチカ! というわけで、ぜひ私と・・・!」
「え? なんか怖いですよ? レラさん」
「ちょちょちょ、待って待ってー。まさちは渡さないよー」
レラの声が大きく、先程の神帝、カケルにもこの会話は聞こえていたようだ。
何やら勘違いしているのか、慌てて止めようとしてくるカケルを無視して、レラは続けた。
「手合わせをしてくれはしないか!」
「アッ、ハイ」
一連の出来事を呆然と見つめていた受付嬢は、ふと言葉をこぼした。
「なにげに新人最速ですね。レラさんに手合わせ挑まれてるの」
読んでいただき、ありがとうございました!
次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!
改善点などあればぜひ!
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