6話《王都→ステータス》
6話です!
この話から少しずつ本格始動していきます!
楽しんでいってください!
ユグドラシルから魔法を教わりながら歩いてゆく。
1つ1つ試しながら歩いていく。
そんな毎日を5日も続けると、まさにファンタジーに出てきそうな城壁が見えてきた。
「お、何か見えてきたよ! ラストスパート! 一気に飛んでこう! 『風よ、翼となり我を飛ばせ《フライ》』」
「仕方がないのう。『風属性初級二等魔術《フライ》』」
覚えたての魔法を使って、低空をかなりのスピードで駆けていく。
その速さは、現代社会で言うところの自動車に遜色ないだろう。
おおよそ15kmも離れた道のりを、30分もせずに飛び切った。
正面に風を放ち、反動で減速すると、緩やかに着地する。
「なんかさ、魔法使いなら箒とかで飛びたいよな」
「あるぞ? 魔力効率も良くなるのじゃ」
「まじか! いいね〜浪漫だね〜」
と、何事もなかったかのように歩く2人を、槍を構える門番が差し止めた。
「ちょ、ちょっとまってくれ。えーと? あんたらは旅人かい?」
「そうじゃ。幸運なことに二人とも風魔法に適性があってのう。妾が元々使えたからこいつにも教えたのじゃ」
慌てたような様子の門番からの尋問に、サラリと答えるユグドラシル。
半分信じられない様子だが、無理やり自分を納得させた門番が、槍を下ろして質問を続けた。
「魔法使いか。なら納得・・・か? まぁいい。すまなかったな。身分証になるものは持っているか? 持っていないなら金を取るが」
「持ってないのじゃ。金も無いのじゃ。一文無しじゃ」
「いや、自信満々に言うことじゃ無いでしょ」
匡近等の言いようについ笑ってしまう門番。
なら、と、門番は言う。
「冒険者になってみるなんてどうだ? 魔法も使えるようだし、ギルドに加入するなら通行料は免除するぜ?」
門番の提案に、それは良いと手を打つ匡近達。
答えると、門番はどこかへ行く。
戻ってきた門番は、水晶のようなものを持っていた。
「なんですか? それ」
「あ? 知らないのか。まーあれだ、犯罪やってるヤベー奴がこれを触ると黒くなるからな。ちょっとした入国審査みたいなもんだ」
説明を聞くと、匡近は興味津々に水晶を見つめる。
子供を相手にしたような心境の門番は、笑みを浮かべると水晶を差し出して手を乗せることを催促する。
2人が順に手を翳すと、柔らかい光を出し、白い光を放った。
「こりゃ珍しいな。真っ白とは。引きこもってたのか?」
「や、そうゆうわけじゃないですけどね」
「まあ良い。危ないやつでは無いってわかったしな。それじゃ・・・」
そこで門番は大きく息を吸うと、決まり文句を告げる。
「ようこそ旅の者よ! 水と中心の王都、ウォッシェルへ!」
その言葉で匡近たちは、王都の門をくぐった。
門をくぐり、真っ先に見えるのは、まるで中世ヨーロッパのどこかの国にタイムスリップしたような都市景観であった。
まっすぐ伸びる石畳の道、その道に沿うように並ぶ露店の数々。
レンガ造りの建物に、遠くに見える豪華な噴水とそれを彩る草木。
そして一番に目立つ純白の城が、匡近たちを迎える。
さらに聞こえてくる、露店の呼び声、馬車の車輪が石畳に鳴る音。
人々のざわめきと相まって、テーマパークに来たかのような高揚感が湧き上がる。
「うわぁ~ すごいな! ユグドラシル!」
「そうじゃのう。人々の国には来たことはなかったがまさかここまで居心地の良いものとはな」
あまりの景色に足が止まる2人。
しばらく惚けていた2人だが、後ろから掛けられる声に慌てて横に避ける。
「すまんねー! 通るよー!」
「あ、すみません」
「ありがとよー!」
馬車の手綱を持った恰幅のいい男が、過ぎ去ってゆく。
そういえばと、匡近は思い出して言った。
「ギルドってどこにあるんだろ。入んないといけないはずだよね」
「あぁ、そうじゃったな。誰かに聞けばわかるじゃろ」
門番に言われたことを思い出した匡近等は、近くにいた人に声をかける。
「あのー、すみません。自分たち初めて来た者でして。ギルドの場所ってわかりますかね」
「ん? 冒険者か? ならちょうどいい。私もギルドに用があってな。向かっているところだったのだ。一緒に行くか?」
高い位置で一本にまとめた髪に、凛々しい顔つきをした女性。
まるで騎士のような人の言葉に、いいタイミングだと匡近たちはついていくこととする。
女性のあとについていき、噴水のある広場に出ると、まっすぐに一つの建物へと歩いていく。
そのままの足で入っていった建物は、一見すると酒場のような、3階建ての建物だった。
「ついたぞ。ここが冒険者ギルド、ウォッシェル支部だ」
「ありがとうございます。あの、お名前は? 何かお返ししますので」
そう匡近が言うと、その女性は驚いたように目を見開き、笑う。
「くっはは! 変なやつだな! お返し、か。別にそこまで気を回して貰わなくても良いぞ。私はレラ。レラ・フェルゴールだ。しがない冒険者だよ」
「しがないわけないでしょうが。Sランク冒険者さん」
レラが自己紹介をすると、匡近達の後ろから声がかかる。
RPGで見たような受付嬢の格好そのままな姿の女性であった。
「こんにちは。見ない顔ですね。登録ですか?」
「あっ、はい。そうです」
掛けられた言葉につい反射的に答える。
すると受付嬢はニッコリと笑って、カウンターへ匡近たちを促した。
「新規ですね。ではこちらの紙に必要事項を書いてください。この紙は魔法紙となっていますので知っている文字でいいですよ」
渡された紙には、名前、年齢、性別など基本的なことから、使用武器、戦闘経験など、見慣れない項目もあった。
わからないところはユグドラシルに教えてもらいながらも、なんとか埋めてゆく。
「できました! お願いします」
「はい、承りました。では次にステータスの測定ですね。ここからは個人情報になりますのでこちらにどうぞ」
そう言われ一人ずつ部屋に案内される。
一度ユグドラシルと別れ、別々の部屋に入ると、先に部屋に入っていた受付嬢が、先程とは別の紙を持って待っていた。
ステータス。その響きにワクワクを隠せない匡近はまだ知らない。
この後、地図からとある森が消え去ることを。
読んでいただき、ありがとうございました!
次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!
改善点などあればぜひ!
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