3話《救世主→チート(?)》
3話です!
楽しんでいってください!
「目が、目がぁぁっ!」
あまりの眩しさに匡近も、匡近を追いかけていたイノシシらも目を押さえてうずくまる。
するとそこに、声が響いた。
「こいつの魔力に当てられたか。転生直後じゃからな、妾が払うとするか。『火属性中級5等魔術』!」
美しい。それが声を聞いた瞬間の匡近の感想である。
慣れてきた目が捉えたのは、イノシシを襲う真紅の炎と、匡近の前に浮かぶ一人の女性だった。
炎が晴れ、イノシシの死骸と共に草原がまた見えたとき、その女が振り返る。
「大丈夫じゃったか? ぬしまで炎は行ってないと思うが・・・」
古風な口調とは裏腹に、外人のような金髪とアイドル顔負けの美貌、整ったスタイルに、状況を忘れて見惚れる。
ふと思ったことが、匡近の口から漏れた。
「か・・・」
「か?」
「カッケェぇぇぇ!! 何だ今の!? 魔法? もしかしてここ、異世界ってやつ!? やったぜ! テンション上がるぅ! イェェアァ!」
全身を使ってガッツポーズを取る匡近に、その女も軽く引いているようだ。
状況を説明しようとしたところで、それを遮るように匡近が声を上げる。
「もしかして俺も魔法とか使えんのかな? いくぜッ! 『火属性中級5等魔術』!!」
「あっ、ちょ、まっt」
手を真上に上げ、決めポーズらしき姿勢で先の魔法を唱えた匡近。
その女が止めようとした、瞬間。
世界は、紅い炎に包まれた。
幸い、匡近に敵意は無く、どの生物にも実害はなかったが、動物は怯え、人々は慄き、匡近は腰を抜かした。
数瞬世界を赤く染めて消え去った炎を見て、匡近は一言。
「なぁにこれぇ・・・痛って!」
と、名も知らぬ女からげんこつを飛ばされた。
「なに馬鹿なことしとるんじゃ! 妾が逸らさなければこの世界まるごとこんがりだったんじゃぞ!」
その日は、未だ自己紹介もしていない人に説教をされて、日が沈んでいった。
読んでいただき、ありがとうございました!
次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!
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