21話《ウォッシェル大魔法大会→新たな魔法》
21話です!
楽しんでいってください!
「あるじさま見て見て! だいまほうたいかい? だってー!」
全員で買い物がてらに王都内を散歩していると、アイネから声がかかる。
何事かと張り紙を見ると、「ウォッシェル大魔法大会」と大きく書いてあった。
「そういえばそんな時期か。早いものだな。ちなみに私は参加を見送るべきだと思うのだがどうだろう」
「そ、そうだよね。荒らしは良くないしね」
「え? 俺出てみたいけどだめなの?」
レラや飛鳥にやんわりと止められ、不思議そうにユグドラシルを見る匡近。
「出ても良いと思うぞ? 今やマサチカは有名じゃからな。その魔法を一目見たいと思う魔術師もいるじゃろうて」
「アタシ、ごしゅじんさまのかっこいいところ、見たいです!」
「ほら、みんなもこう言ってるし」
ユグドラシルにアイネやクライネも匡近の参加を望んだ。
その様子に渋々頷くレラと飛鳥。
思い立ったが吉日と言わんばかりに、張り紙に書かれた受付の場所に向かう匡近一行。
会場はコロッセオのような円形の闘技場であった。
「え、『創賢者』・・・!? 『創賢者』マサチカだ・・・!」
「あれが? ぱっと見の魔力量は常人以下だけど」
「お前! あのパーティーメンバーを見ろよ! 人間サイズの精霊に現Sランク冒険者レラ・フェルゴールだぞ!? それに後ろについてきてるちっこい子も誰かわからんがとんでもねぇ魔力量だ!」
「てことはやっぱりあの人が『創賢者』!?」
受付所に入った途端に建物中がざわめく。
『創賢者』エンドー・マサチカという名やパーティーメンバーのことは噂に流れているためであろう。
集めたことのない注目に緊張しつつも、アイネに頼まれた以上はという思いから受付へ進む。
「ご参加ありがとうございます、『創賢者』エンドー・マサチカ殿。噂はかねがね伺っております。ですが特別視はできませんのでね。まずは選手情報をお願いします」
魔法学会という腕章をつけた男が紙を差し出してくる。
項目通りに記入し終え、紙を返すと、注意事項の書かれた紙を渡された。
「この大会は魔法学会会長、アルメス・フォレスによって開催され、優秀な魔術師を見出すために行われます。その紙に書かれた注意事項をよくお読みください。大会一次予選は一週間後の9時の鐘より開始されます。大会3日前に1次予選の選手番号が張り出されますのでご確認を」
一通りの説明を聞き終え、一度家へと帰る。
その後はいつものように、レイやアイネ、クライネと遊んだり、ギルドから簡単な依頼を受けたりし、大会までの一週間を過ごした。
「俺の番号ってなんだったっけ」
「91じゃぞ。お主ならば予選通過など簡単すぎるとは思うが、頑張ってくるのじゃ」
ユグドラシルの激励に背中を押され、飛鳥たちにも手を振りながら会場へと入っていった。
「よく参加してくださった! 年に一度の大魔法大会、主催はわし、アルメス・フォレスだ。今回の大会の戦績によっては、魔法学会への推薦も考えておる! 存分に実力を出し切るのだ! ではここに、第89回ウォッシェル大魔法大会の開催を宣言する!」
ウオオオオオオォォォォォーーー!!!
9時の鐘が王都に響く中、会場奥の壇上に立ったアルメスが開催の宣言をした会場の選手たちや観客席の人々が大きな歓声を上げる。
開催宣言のあとすぐ、アルメスに代わって出てきた進行らしき人が指示を出す。
「まずは一次予選! 今回はくじで選ばれる条件にあった魔法を使ってもらう! 順番に一人ずつ見ていく故、順番を待つ選手は会場内にいること!」
おおよそ1000人はいる会場に、1番から番号を呼ぶ声が響く。
会場の中心で行われる予選の様子を、取り巻くように順番待ちの選手たちが見ている。
聞く話によれば、この一次予選で上位100人が二次予選に。次の二次予選で半分の50人になり、その2つの予選を通過したものが本戦へ挑めるという。
「次! 19番! ルナ・フォレス! お前には自然治癒持ち近接攻撃の敵が現れた場合の瞬間火力に特化した魔法を使ってもらう! 魔法の種類は問わず、詠唱時間も気にしなくていい。では、はじめ!」
順番に呼ばれていく選手の名前の中に、聞き覚えのある名前を耳にした。
気になって見てみると、小柄な女性が、現れた人形に向かって詠唱をする姿が見える。
「あれ、大賢者の孫なんだってね。本戦出場は確定だろ」
「ちっちゃいのにすごいわねー。でもどうせアルメス会長の孫自慢なんだろうけど」
聞こえてきた話から賓客席に座るアルメスを見ると、こちらに向かってドヤ顔をしてくる。
その様子に匡近は辟易しながらも、改めてルナ・フォレスを見た。
「(魔法の発動は遅いけど練度はすごいな。丁寧に詠唱してるのに敵の攻撃を避けれてるし、実践慣れしてるって感じだ。魔力の扱いが上手い)」
詳しく見ていくと、魔法に対しての考え方の丁寧さが見えてくる。
ルナが詠唱していた魔法が発動すると、剣を振りかぶった人形の脳天に一筋の光が突き刺さる。
その勢いに人形が吹き飛ばされると、そのまま動かなくなった。
「うむ。素晴らしい火力だ。魔力の無駄もない。よし、もういいぞ。次! 20番!」
どこか安心したようにルナが無い胸をなでおろすと、会場をあとにした。
しばらくすると賓客席に出てきて、アルメスと話し始める。
するとアルメスがこちらを指差し、何かを話しているのが見えた。
「(なーんかやな予感するなー。あの爺さんのことだからアイテムボックスの開発者がどーこーとか創賢者がどーこーとか言ってるんだろうけど)」
そんな風に匡近が考えていると、ルナもこちらを見て目を輝かせたように見えた。
「(ま、自意識過剰か。別のすごそうな人のことかもしんないし人もいっぱいいるしな)」
そう思い直していると、自分の番が近づいていることに気がついた。
「次! 91番、エンドー・マサチカ! お前には多対一の状況における魔法を使ってもらう! 一体ずつ倒していくもよし、範囲魔法で一気に全員倒すもよし。いかに少ない被ダメージで敵を全員倒せるかだ! では、はじめ!」
審判の合図で10体ほどの人形が生み出される。
前衛後衛のバランスが整った人形たちの中から、剣を持った人形が攻撃を仕掛けてきた。
「バフからかけてくかー『《プロテクト》』『《エウロギア》』っと。やべ『《アテナ》』」
自分に近づく剣を見ながら、バフを重ね掛けし、防御力と魔法攻撃力を底上げする。
バフを掛けたところで眼の前に剣が迫っていることに気づき、防御魔法で対処する。
「『《アテナ》』だって!? あんな人形相手に特級魔法を!? しかも詠唱破棄!?」
「さすが『創賢者』! レベルが違うわ!」
匡近と剣の間に現れた盾を見て大騒ぎする選手たち。
過剰とも言える持ち上げにやりにくさを感じながらも、前の敵を倒すことに集中する。
「(広範囲で一気に倒すかー。奥の魔術師とか抵抗高そうだけど火力あればいいだろうし、んで綺麗に倒すなら詠唱とかもしたいよなー。長い詠唱とかもロマンあるし)」
「『絶対の守り。意思ある限り守り続ける壁よ、今ここに顕現せよ《アルマテイア》』」
匡近の周りにドーム状に張られる結界。
人形が何度攻撃してもびくともしない結界の中、匡近は魔法の詠唱を始める。
「『輪廻を宿し天より呼び起こす救いの死よ。我が手に薔薇の刺を宿し、その芽に次代の宣告を刻む。永久の眠りに誘う香りを《花園》』」
会場中に高密度の魔力が満ちる。
本来ならば圧倒的な圧力に意識を手放してしまうほどだが、その魔力に包まれた人々は皆安心感に満ちていた。
匡近の結界を攻撃していた剣士の人形や後ろから支援していた魔術師の人形の動きが止まり、足元の魔法陣から出た蕾に全身を包まれる。
蕾が開くと、大きく綺麗な薔薇が満開に咲いた。
その花の上には先程の人形が横たわっており、それらは二度と起き上がることはなかった。
「この、魔法は・・・? い、いや、なんでもない。素晴らしい魔法だった! 見せてくれてありがとう! 次! 92番!」
会場の中心に咲く10本の大きな薔薇に圧倒されながらも、次の選手を呼ぶ審判。
次の選手が来る直前、それぞれの薔薇が会場を埋め尽くすほどの花びらに変わり、降り注いだ。
そのあまりの美しさに会場中の全員が心を奪われる中、呼ばれた選手が気まずそうに前に出てきた。
「お帰りなのじゃ。良い魔法じゃったぞ」
「ごしゅじんさまー! すごかったよー! 綺麗で、かっこよかったー!」
「ありがとう、ユグドラシル、アイネ。あとは予選の通過者の張り紙に期待するだけかな」
観客席にいたユグドラシル達の下へ戻ると笑顔で迎えられる。
ユグドラシルが近づいてくると、匡近にしか聞こえないような声で聞いてくる。
「マサチカ、お主、妾の魔法をパクったじゃろ」
「あ、バレた? 話聞いたら綺麗で派手な魔法なんだなって思ってやってみたんだよ」
「やっぱりな」と微笑むユグドラシルについ見とれる匡近。
そんな甘ったるい空気を壊したのは、嫌な笑みを浮かべながら近づくアルメス・フォレスであった。
また匡近無双回です。多分大体3、4話くらいで大会編は終わると思います。短いかな?
いやー匡近くんも大変だね(他人事)
読んでいただき、ありがとうございました!
次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!
ブックマーク、及び下の☆☆☆☆☆評価もお願いします!
面白い。
次が楽しみ。
などなど評価いただけますと、作者のモチベーションが爆上がりしますので、ぜひ! お願いいたします!




