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19話《ハネムーン→手合わせ②》

19話です!

いつもよりちょっと長いです

楽しんでいってください!


「とりあえず一週間はくレ。それだけあればいいとこまで強くなるだロ」


 ジークにレラ達を預け、どうしようかと悩んでいると、ユグドラシルが話しかけてきた。


「ならば一週間の間新婚旅行じゃな! マサチカ〜妾が案内してあげるのじゃ〜」

「私もついてくからね! ユグドラシルちゃんには負けないから」


 夫婦水入らずで新婚旅行をしたいと言うユグドラシル。

 最近大人数でいることが多かったためか匡近はすぐに了承した。


「そうと決まれば早速行くのじゃ! こっちじゃぞマサチカ〜」


 満面の笑みで匡近の手を引くユグドラシルとそれを追いかける飛鳥。

 その様子を見てジークはついといった様子で言葉を漏らした。


「あんなデレデレしたユグドラシル初めて見たゼ。あのマサチカとやらは一体何者なんダ・・・?」


 ジークの独り言は、誰にも聞かれず消えていった。


 

「まずはここ、オリブ皇国の首都レブラじゃ! ちなみにここオリブ皇国は魚が多く取れてのう。飯も美味いし景色も良くてのう。巡っても巡りきれぬほどよい場所があるのじゃ! さあこうしてはおれぬ! さっさと行くぞ!」


 ジーク宅からしばらく歩き、一度見た都市に訪れた匡近たち。

 ユグドラシルの案内で城壁の門をくぐると、驚く景色が広がった。

 中央の噴水へ続く街道の横に咲く満開の桜。

 その桜街道の奥には、純白の壁でできた日本風の城がそびえ立っていた。

 まるで時代劇の世界観に入り込んでしまったかのような感覚に襲われる。


「すごいな・・・。江戸みたいだ」

「ね〜。あ! あれお侍さんじゃない?」


 あまりにも昔の日本に似た町並みを見て、興奮して話す匡近と飛鳥。


「そうじゃろうそうじゃろう! オリブはすごいのじゃ! 特にカタナがすごくてのう! あんなに美しい刀身はここの鍛冶師しか作れんのじゃよ!」


 感動した様子の二人を見てテンションが上っているのか、ユグドラシルもいつになく饒舌になる。


「とりあえず宿を取ってくるのじゃ! その後はオリブ巡りなのじゃ!」



「とりあえずお腹すいたから飯食うのじゃ。ここの飯はそれはもう美味いのじゃ。一口食べれば飛び上がってしまうほどなのじゃよ。他の国では食べられん美味さなのじゃ」


 思い出しているのかよだれを垂らしながら歩くユグドラシル。


「ここなのじゃ! この「真心(マゴコロ)」が一番美味いのじゃ!」

「いらっしゃいませ。って、お久しぶりですねユーさん」

「? ユーさん?」


 店に入ってすぐ、店員に声をかけられるユグドラシル。

 その呼び名に匡近が首をかしげると、「ここでの呼び名じゃ。ユグドラシルであることは言っておらん」と小声で答えが返ってくる。


「今日はお連れさんと一緒ですか。ご関係は・・・、なるほど。おめでとうございます」

「察しが良いのう。怖いくらいじゃ。が、そうじゃな。今日は夫婦で楽しみに来たのじゃ。いつものを三人前で頼むのじゃ」


 「承知しました」と笑顔で厨房へと入っていく店員。

 ユグドラシルの案内でボックス席に座った。


 しばらく待ったあと、店員が料理を持って来た。


「待ってたのじゃ! ふふふ、楽しみじゃのう」

「はい。お待たせいたしました。まずはこちら、寿司ですね。天麩羅はただ今揚げております。揚げたてをお持ちいたしますのでもう少々お待ち下さいね」


 あまりにも聞き慣れた単語が聞こえてきた。

 実際に渡された料理を見ると、日本のそれにそっくりな寿司であった。


「なんかでかいね。あれみたい。江戸時代のお寿司。あのめっちゃでかいやつ」

「そうだね。でかい。ま、うまそうだしお得だしいいんじゃない? いやー寿司なんていつぶりだろうね」

「ふふふ、このショーユをつけて食べるのじゃよ・・・って、匡近たちは知っておるのか?」


 「エド?」と不思議そうな表情をしながらも寿司を頬張るユグドラシル。

 匡近と飛鳥も大きな寿司を頬張ると、感動したのか身を悶えさせる。


「美味い!! なんか日本で食ってた寿司の10倍は美味く感じるよ!」

「美味しーねー。美味しーねー。贅沢だねー」

「それはありがとうございます。ただいま天麩羅が揚がりましたのでお持ちいたしましたよ」


 皿に山盛りになって渡されたいろいろな種類の天ぷら。

 「こちらをつけてお召し上がりください」と言って天つゆと塩をおいていった。


「メインの鋤焼(すきやき)ももう間もなく出来上がります。それまでは天麩羅をお楽しみください」

「すき焼き!? すき焼きもあるのか! 楽しみだけど食べきれるかな」


 伝えられたすき焼きの登場に驚きながらも嬉しさを隠しきれていない匡近。


「天麩羅じゃ天麩羅じゃ。揚げたてが一番美味いのじゃよ! ほらほら、食べるのじゃ! マサチカの金じゃが(小声)」

「? ユグドラシルちゃんなんか言った? ま、いいか。天ぷらだよ匡近! 私は何個か天丼にしたいんだけどタレってあるのかな」

「俺は天つゆだね。大根おろしがほしいところだけど」


 匡近が店員を呼ぶ。


「はい。いかがなさいましたか?」

「えっと、天ぷらにつけるタレとご飯、あと大根おろしがほしいんですけどありますか?」

「ご飯はご用意できますが、タレに大根おろし? は少々お待ちください。料理長を呼んでまいります」


 匡近の提案にまた厨房に戻っていく店員。

 しばらくするとほっそりとした料理服姿の中年男性が出てきた。


「こんにちは。料理長のササキと申します。タレと大根おろし? をご所望とのことでしたが、詳しく教えていただいてもよろしかったでしょうか」


 ササキと名乗る男性に説明をしていく匡近。

 だんだんと話は盛り上がっていき、ついに匡近はササキと共に厨房へと歩いていった。


「遅くなったね。はい、これご飯とタレ。作ってきちゃった」

「なぬ!? マサチカ、まさか天麩羅の新しい食い方があるというのか!?」


 そうして天丼や大根おろしの天つゆを楽しむユグドラシルたち。

 ちょうど食べ終わる頃に、ササキが鍋を持ってきた。


「おまたせしました。鋤焼ですね。そのまま食べても美味しいですが、マサチカ殿、まさかこれもなにか食べ方が?」

「そうですね。卵とかどうですか?」

「卵、確かに濃い目のだしが効いた鋤焼をまろやかな卵にくぐらせて食べる・・・。最高じゃないですか!」


 「すぐに持ってきます!」と走って厨房へと戻るササキ。


「ちなみに俺は食べ終わったときに残った卵と出汁をご飯にかけて卵かけご飯風にして食べるんだよね。ちょっと汚い食べ方かもしれないけどこれが一番美味いんよ」

「ほうほう! それは良いことを聞いたのう! 試してみるのじゃ!」


 そう言ってすき焼きを食べていくユグドラシル。

 ご飯茶碗の最後の一粒まで綺麗に食べ、ユグドラシルは箸を置いた。


「美味かったのじゃ! やっぱりここは最高に飯が美味いの! マサチカのひらめきも最強じゃ!」

「ご満足いただけて何よりです。私共も更に美味しい料理を提供できるようになり、嬉しい限りです。この度はありがとうございます、マサチカ殿。お礼としてはなんですが今回のお食事代は無料とさせていただきます」

「そんな申し訳ないですよ! ちゃんと払いますから」


 そのような問答を繰り返し、最後に折れたのは匡近だった。

 何度も頭を下げながら店を出ていく匡近。


「宿に戻るのじゃ。もう時間も良いしのう」


 そうして一日目は終わった。


 二日目からはユグドラシルおすすめの観光名所を巡り、美味しいご飯を食べ、日は過ぎてゆく。

 ついに一週間が過ぎ、ジークとの約束の日となった。


「よし、ジークさんのとこ行くか。今日で一週間だもんね」

「そういえばそうじゃのう。忘れておったのじゃ」


 宿をあとにしてジーク宅へ歩いていく匡近達。

 郊外へ出て暫く歩くと、一週間前に見た家が見えてきた。


「おウ! 待たせたナ! しっかり出来上がってるゼ!」


 外で待っていたジークに連れられ、さらに奥、ジークの家の中庭に出る。


「アイネとクライネは持ってた力をそのまんま伸ばしてやったゼ。吸収が速いから教え甲斐があったゼ。レラは、まぁ、変にゃなってないが変わっちまったかもしれねぇナ」


 歩きながら話を聞く。

 レラのことを話してるとき、やけに歯切れの悪いジークに心配になる匡近。

 奥で訓練していた3人にジークは声をかけた。


「おーイ! マサチカがお迎えに来たゾ!」

「あるじ様ー!!! お久しぶりです!!!」

「ご主人様、私達強くなりましたよ」


 ジークの呼びかけにすぐさま駆けつけるアイネとクライネ。

 別れたときと変わらない様子に匡近の口角も上がる。

 遅れてやってきたレラは、かなり疲れた様子に見えるが、それでもかなりのオーラを感じた。


「マサチカか。久しいな。と言っても一週間らしいが」


 「らしい?」と首をかしげると、答えは別の場所から聞こえた。


『久しぶりだなマサチカよ。我が剣聖と共に直々に稽古をつけたのだ。やっと神格を授けられるレベルまで鍛えられたのだよ。500年のときを経てな』

「サイクロンか。ついてきてたのは知ってたけどレラさんに装備してもらいたかったんだね。そっかー500年かー。大変だったね、レラさんも」

「ずいぶんと呑気だナ。500年に驚かねぇのカ。ま、そういうこっタ。とりあえず手合わせでもしてみりゃどうダ?」

読んでいただきありがとうございました!

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