16話《家→関係》
16話です!
楽しんでいってください!
「いらっしゃいませ。どのような家をご希望でしょうか」
ウォッシェル王国内、一等地エリアにある不動産屋。
質素な店内を見渡して、匡近は希望を伝えた。
「ゆったりのんびり暮らすのにちょうどいい広めの家ってありますか? 値段は特に気にしないので」
「そうですか。あ、なら、いいところがあるんですよ! 最近建った家で、井戸と広い庭付き、郊外エリアと少し遠いですが丘の上にありきっとゆったりとした時間を過ごせるでしょう!」
伝えるとすぐに思い当たるところがあったようで、見に行くこととなった。
「どうです? かなりの景色かと思いますが」
「これはいいですね。ウォッシェル全土を見渡せるほどの景色ですよ。敷地もかなり広いですし」
実際に着いた家は、2階建ての木造建築、ハーフティンバー様式の作りで若葉色を基調としており、あたりに広がる草原と相まってまるで家が自然と一体になっているかのように感じた。
聞くと、庭もかなり広く、丘とその下の平原の一部までが敷地であるという。
小さな村でも作れるかのような広さに、匡近らは圧倒されるばかりであった。
「ここにします。いくらですか?」
「おお! お買い上げありがとうございます! 値段に関しては店に戻ってお伝えいたします」
景色を見て即決した匡近。すぐに店へ戻り、値段を聞いた匡近。
「お支払いに関してですね。一括ですと2億ギメル、毎月に56万ギメルづつ、30年ほどで支払うことも可能ですがいかが致しましょう」
「一括で払っちゃいます。これでぴったりですかね」
金貨にして2万枚を机の上に積み上げる匡近。
顔の大きさほどの革袋を10袋分、ピッタリ2万枚を渡すと、魔術契約書と鍵を渡された。
「こちらの契約書に魔力のサインをお願いします。詠唱は《コントラクト》でお願いしますね」
「『《コントラクト》』」
詠唱をし、契約書が光ると、購入完了であると伝えられ、匡近らは店を出た。
ウォッシェルの町並みを眺めつつ自宅へと戻っていく匡近たち。
途中、いつも泊まっていた宿、小鳥の巣箱に行き、家を買ったことを伝えた。
「あら! 家を買うなんてお金持ちさんだね! 寂しくなっちまうけど頑張るんだよ! ここは飯屋もやってるからたまには顔出しなね!」
女将、ユースやその夫クレイに見送られ、匡近らは改めて帰路へついた。
「家、かぁ。自分で買うことになるなんてね。家具とかは全部あるって言ってたっけ」
「うむ。そうじゃな。それも含めて2億ギメルなら安いもんじゃ」
自分の家。
あまりに非現実的な光景に呆ける匡近。
だが、飛鳥から「とりあえず入ろうよ」と声をかけられ、玄関の扉を開けた。
「てか、レラさんは宿じゃなかったっけ? どしたの?」
「ハッ! すまない、ついいつものクセで。最近私はマサチカたちについていくことしかなかったからな。そのせいだろう。私は戻るよ。明日はどうするんだい? 休むかい?」
飛鳥に指摘されて慌てるレラ。
すぐに宿へ戻ろうと、外へ出た。
「あ、そういえばそろそろあいつのところに顔を出さないといけんのじゃ。近々旅行じゃぞ、マサチカ」
「レラさんはどうする? 旅行らしいけど」
「ちなみにオリブ皇国におるジークに会いに行く。巷じゃ剣聖とか言われておるの」
ユグドラシルの補足に目を輝かせて食いつくレラ。
レラの希望もあり、1週間後にパーティー全員でオリブ皇国へ行くこととなった。
その後は家の中を整理し、一息ついた頃。
『もう我慢ならん! マサチカとか言ったか! 貴様、我の存在を忘れているであろう!』
どこかから、なんとなく懐かしい声が聞こえてきた。
匡近が声の主を探すと、アイテムボックスにあるという感覚があった。
それに従ってアイテムボックスを見ると、見慣れない武器がリストにある。
「あ、『サイクロン』か! 討伐報酬的な?」
『言い方に腹が立つが、まぁ、そうだ。我は貴様を認め、武器として意志を宿したのだ』
アイテムボックスから出した武器、『吹き荒ぶ嵐』は、見事な刀を形どっており、風の波のような形の刃紋、緑を基調とした柄はあまりにも美しかった。
「でも俺後衛職だから刀とか使わんのよなー。 レラさんに渡すか。あの人刀使いでしょたしか」
『レラ? あの剣士か? いや、あやつはまだ認められん』
サイクロンの『まだ』というイントネーションに引っかかる匡近。
だが、とりあえずとサイクロンはアイテムボックスにしまうことにした。
『おい! またあの異空間に封印しようというのか! それくらいなら飾れ! それくらい我が創ってやる!』
アイテムボックスの口を開いた匡近に文句をつけるサイクロン。
サイクロンはすぐに刀掛台を作り、ゆったりと収まる。
いつの間にか鞘もできており、まるで美術館に展示されているかのような完成された美があった。
「生意気なのに見た目はいいのが腹立つのじゃ。仕方ないから飾ってやろう」
結局、『吹き荒ぶ嵐』はリビングに飾ることにし、本人にも納得してもらった。
そこから依頼を受けつつも時間は流れ、出発まで2日を数えた頃。
「のう、マサチカよ。話があるのじゃが」
1人先に寝ようとしていた匡近をユグドラシルが引き止め、いつものように2人で寝室へ行く。
どこかソワソワしているユグドラシル。
だが、ベッドに腰を掛ける頃には決心がついたような表情となっていた。
「ま、マサチカよ。えっと、その、妾らのこれからについてじゃ」
頬を染めて目を逸らしながら話すユグドラシル。
どれだけ鈍感な匡近でも、この雰囲気は読み取れた。
つられて顔を赤くすると、それに気がついたユグドラシルは安心したのかいつも通りに話し出す。
「マサチカよ、急ですまない。妾は、お主のことが好きじゃ。いや、愛しておる。なかなかタイミングがなくて今になってしもうたがずっと前からそうだったのじゃ。妾と、結婚してくれ!」
真っ直ぐな眼差しで告白するユグドラシル。
今までにこんな経験など一切なかった匡近は一瞬、どうすべきか迷い、躊躇った。
だが、真剣に告白しているユグドラシルへの感謝も込め、自分に従って返事をする。
「ありがとう。ユグドラシル。ぶっちゃけ俺はユグドラシルをそんな目で見たことはなかった。でも、ユグドラシルの気持ちはよく伝わってきたよ。俺も、好きだよ、ユグドラシル」
匡近の返事に感極まったのか涙を流してしまうユグドラシル。
急に泣き出したユグドラシルに慌てる匡近だが、ユグドラシルが匡近を抱きしめると、柔らかな表情で抱き返した。
しばらく抱き合ったまま、ユグドラシルが落ち着くまで待っていた匡近。
すぐに、ユグドラシルは落ち着いたのか身を離す。
上目遣いのユグドラシルを見て、匡近は今更になって改めてユグドラシルに心の底からの愛おしさが湧いてくる。
どちらかからということもなく、また体を寄せた。
その後は、お互いの愛を確かめ合い、夜は明けた。
「(ユグドラシルって千年以上生きてんのに処・・・)」
夜は、明けた。
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