13話《新たな戦力→騎士》
13話です!
楽しんでいってください!
「我が国の存続と、英雄の誕生を祝って! 乾杯!」
王城前の大広場。バルコニーに立ちジェトルが乾杯の音頭をとると、揺れを感じるほどの歓声とジョッキを打ち鳴らす音が国を埋め尽くした。
緊張した面持ちの匡近の背中をジェトルが押すと、表情をこわばらせながらジョッキを掲げた。
その瞬間に、乾杯の際の歓声を超える歓声が王城の窓を揺らした。
「この度は本当にありがとうございました! 明日は勲章の授与を行いますので。まずは楽しみましょうぞ!」
大声で笑うジェトルは、バルコニーを降りていく。
匡近がついていくと、そのまま大広場へと出た。
匡近を見た国民たちはあっという間に匡近を取り囲んだ。
「英雄様! ありがとうございました!」
「英雄様! お陰で家族が助かりました! あなたは命の恩人です!」
「英雄様!」
「英雄様!」
見渡す限りの人からもてはやされ、恥ずかしさのあまりに顔を赤くする匡近。
だがその心のなかには、確かな達成感と嬉しさが満ち溢れていた。
「いやはや! よい宴でしたな! して匡近殿よ! 明日の勲章式の前に、御礼の品を準備しておりますゆえ、そちらを受け取っていただきたいのです。ささ、こちらへ」
宴会の騒ぎも静まり、大広場から人気がなくなった頃、ジェトルに呼ばれ匡近は王城の地下に来ていた。
「この部屋から3部屋分が御礼の品が入っていますぞ」ニッコリと笑って言うジェトルに、匡近は慌てて拒否しようとする。
しかしユグドラシルの説得によって渋々受け取ることとなった。
「まずはこの部屋ですな。ここは主に金品や装備類ですぞ。この他に現金で白金貨30枚、3000万ギメル程も用意しております。次に隣の部屋、ここから2つは人事的な面でのお礼ですな。戦力的には必要ないかと思いますがどうしてもついていきたいということで募りました。何なら全員でもいいのですぞ!」
もはや匡近には止められないほどの勢いで御礼の品を紹介するジェトル。
金品の量に圧倒されていた匡近は、部屋を埋め尽くす人に反応が遅れた。
「いやいや! もう本当に大丈夫ですから! さっきもあんなにもらったのに! こんなのって言ったらすごい失礼ですが本当に間に合ってますから! 皆さん家族とかあるでしょう!?」
「いいじゃろほんの1人や2人くらい」
「そうですぞ! こちらも超が付くほどに自慢のものを集めております! 皆の了承も得ておりますし!」
「いや本当に大丈夫ですから!」
あまりにも全力で断ろうとする匡近に、ジェトルはとどめの一言を放った。
「そんなに拒むと皆が泣きますぞ? ほら、悲しそう」
「脅しに来やがったよ! ・・・くっ、わかりました! 善処します」
「ありがとうございます。では一人ずつ紹介させていきますので、気になった者がいればお声がけください」
そう言うとジェトルは、一部屋目から1人ずつ匡近の前へ呼んでいった。
「アルヴァント王国第3区出身のゼリアです! 戦闘面でのサポートはできませんが、その、よ、夜のお供にぜひ私をお使いください!」
「うん。そんな気はしてた。でもごめんね。そっちは気にしてなくて」
そう言うと、ゼリアはしょんぼりとして戻っていく。
どんどんと次に行く紹介。だが戦闘面で役に立てる人がおらず、ほとんどが拒否されてしまっていた。
「次で最後ですな。双子の姉妹で、この二人は1人として考えてやって欲しいです。まだ小さいですし、私の方から紹介しましょう。この子らはアルヴァント王国第5区出身で双子のアイネとクライネです。親が亡くなったあと、なんとか冒険者として生活していましたが、先日の大侵攻の際に危うかったところを助けていただいた恩としてここに来たそうです」
待ちに待った戦闘経験者の獣人が紹介された。
ここまでの中では最有力候補であることから、匡近はジェトルにより詳しく質問をする。
「二人の戦闘スタイルは?」
「アイネが短剣でのヒットアンドアウェイ、クライネは弓での補助です」
「冒険者としての功績や年数は?」
「個人ではアイネがCランク、クライネがDランクです。年数としては2年くらいですな」
聞きたいことを聞き、ユグドラシルへ目配せする。
その後ユグドラシルやレラ、飛鳥から了承を得、決断した。
「では、最後の二人を。他の人達には今回の報奨金を分けてあげてください。俺はいらないですし、今回倒した魔物さえ貰えればいいですから」
「なんと・・・! ですが、報奨を受け取られないと面目が、しかし魔物の所有権は渡しますし・・・」
匡近の提案に考え込むジェトルだが、しばらく悩んだあとに提案を飲んだ。
翌日の勲章式の説明を受け、アイネとクライネを受け渡される。
「お受け取りいただきありがとうございます! あるじ様! これからよろしくお願いしますね!」
「よろしくお願いします。ご主人様」
赤髪で明るく活発なアイネと青髪の静かで落ち着いたクライネ。
ご主人様と呼ばれることにむず痒さを感じながらも、笑顔で二人を迎える匡近。
その後はそれぞれ当てられた寝室へ行き、一日が終わった。
翌日。王城前大広場にて。
「皆のもの! 本日はよく集まってくれた! 先日の大侵攻では、多くのものが被害を被ろうとしていたであろう。 しかし! 侵攻から一週間、隣国ウォッシェルに助けを呼んだその日に、奇跡は起きた! Bランク冒険者でありながら無属性特級魔術を完璧に操り、瞬く間に国を覆っていた魔物を倒してしまったのだ! 純龍すらも瞬殺するその能力は、まさに英雄であろう! だからこそ! 今ここに英雄の誕生を祝い! アルヴァントを救った、このマサチカ・エンドーに! 『アルヴァントの騎士』の称号を授ける!!」
国王、ジェトルの口上に、大広場に集まる国民は拍手と歓声で匡近を讃えた。
一時的に建てられた表彰台の上で、ジェトルから騎士の象徴である勲章を受け取り、身に付けると、より大きな拍手と歓声に身を包まれる。
勲章式も終わり、国中の熱気も落ち着いてきた頃、匡近はウォッシェルへ帰ることを伝えた。
「もう帰ってしまうのですか。ま、引き止めるのも無粋ですな! 冒険者である匡近殿は旅が目的であるでしょうから! この度は誠にありがとうございました! 以降我らアルヴァントは、匡近殿への支援を全力で行っていきますぞ!」
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