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10話《討伐→再会》

おまたせしました!

10話です!

楽しんでいってください!


名持ち(ネームド)ってのはその種の中で特出して強い個体に付けられる名前だ。今回はワイバーンの『頭領』だな」


 王都から依頼の地、ウロボロス山岳へ移動する馬車の中、レラが匡近に教える。

 魔法もすぐに覚えた匡近だ。覚えは早い。

 そこから更に、名持ちにも階級があること、それぞれの危険度を教わっていると、御者から到着の声がかかる。

 馬車を出ると、過去に見た富士山が小さく見えるほどの山があった。

 頂上は雲に隠れ、むき出しの岩肌が険しさを物語る。


「途中からワイバーンが出てくるはずだ。まずは登るぞ。見た目より険しくないからな」


 レラの先導で、山を登っていく。

 しばらく休憩を挟みながら上り、おおよそ五分目といったあたりで、風を纏う黒い肌のドラゴンが空から飛んできた。


ギイイィィアアァァァ!


 自分の縄張りに入られたことに怒ったのか、咆哮によって匡近らを威嚇する。

 初めて見るドラゴンに興奮を隠せない匡近は、夢中になっておりすぐには戦えない。

 それを見たレラは、呆れ半分に刀の柄に手を添える。


「『月影流《新月の常闇》』」


 匡近の隣から、レラの姿が掻き消えるとワイバーンの首がずれる。

 ゆっくりと動きが止まり、重い音を立てて落下していく。

 

「カッケェェェェェ!!! え!? ヤバ! やっぱ刀ってかっけぇなー!」

「お、そうか? んふふ。なんか嬉しいな。そこまで純粋に褒めてもらうと」

「むぅ・・・。 ほれ、次が来たぞ。マサチカ、やってみるのじゃ」

 

 何故か不機嫌なユグドラシルから声がかかり、上を見ると、もう一匹のワイバーンが飛びかかってくる。


「『《フレ・・・」

「ファイアだけでやってみるのじゃ」

「『《ファイア》』」


 匡近が放った火球は、ワイバーンに当たると、灰すら残さず燃やし尽くしていく。

 これ以上ワイバーンが来ないことを確認すると、更に山を登る。

 休憩を挟みつつ、途中でキャンプをしながらも、ついに登頂した。

 標高9000mという桁違いな標高からの眺めを楽しむ暇もなく、四枚羽のワイバーンが降りてくる。


「四枚羽・・・、『頭領』のワイバーンか。・・・む? 様子が変だぞ」


 レラが呟き、よく見ると、『頭領』の体が輝き始める。

 ユグドラシルが咄嗟に魔法を発動し、結界を張る。

 すると、膨大な魔力が風となって吹き荒れた。


「昇華だと・・・!? なぜこのタイミングで」

「『神格級(ゴッズ)』か。少々手強いが、まぁ良い練習相手じゃないかの。どれ、マサチカ、鑑定してみるのじゃ」


 ユグドラシルの指示で鑑定魔法をワイバーンに使う匡近。

 すると、ワイバーンの能力値を示す簡易ステータスが浮かび上がった。


Lv,50『邪神龍(ウロボロス)の意志を宿す』『サイクロン』 飛龍(ドラグワイバーン)

 危険度(E〜SSS):S

 特記事項《神格級 名持ち(ゴッズ・ネームド)

 

『懐かしき魔力を感じ取ってみれば、ユグドラシルか。我を殺した張本人が、今更何の用だ』

()()()が冒険者の依頼で『頭領』を倒しに来たのじゃ」


 その一言に、『サイクロン』が目を見開く。

 数多くいる神の中でも特に強いとされる精霊神が、誰かの下に就くなどありえないはずのことであった。

 そんな精霊神が「我が主」など、まるで天変地異でも起きたかのような衝撃だった。


『まぁいい・・・。 3000年の雪辱、ここで果たそうぞ!』

「マサチカ、頼んだのじゃ」

「え!? 俺?」


 ユグドラシルの戦い方が見れると楽しみにしていた匡近は、不意にバトンを渡され、唖然とした。

 サイクロンは誰が相手だろうと気にすること無く、襲いかかってくる。


「『《アルマテイア》』」


 まずは、と、飛びかかってくるサイクロンを結界を張って弾き返す。

 一瞬だけできた隙を逃さず、匡近は魔法を叩き込んだ。


「『多重展開《エクスプロージョン》、遅延』『圧縮展開《フレイムランス》』」


 途端に、サイクロンの全方位で、包み込むように爆発が起こり、上空から落ちる白い槍が、サイクロンに突き刺さった。

 爆風の逃げる隙間を作らず、爆発の最大威力を打ち込む。

 煙の中の影が、ゆらりとよろめいた。


「やったか!?」

『痛い痛い。痛いなぁ。よくもやってくれるわ、小僧!!』


 勝負が決まったかと思いレラが言うと、竜巻を起こして煙を晴らす、無傷のサイクロンがいた。

 未だに倒れないことを確認すると、匡近は油断せずに魔法を打ち続ける。


「『刻印魔法・詠唱(スペル)劣化短縮(ディレイカット)》』『《辞世の句を詠む世の理(ピリオド)》』」


 白く輝く光が、サイクロンの体を蝕んでいった。

 抗うことのできない消滅に、せめてもの抗いとしてかブレスを放つサイクロン。


「『《マジックホール》』」


 だがそれも、匡近の作った黒球に全て吸い込まれていってしまう。

 驚いたように目を見張るサイクロンは、すぐに諦めたような表情を浮かべ、消えていった。


「倒したのか・・・ 神を・・・」

「マサチカもついに神喰い(リベリオン)とはな。やりおるの」


 絶句するレラとうなずきながら成長を実感しているユグドラシル。

 そんな二人を気にせず、匡近は空を見上げていた。


「ねぇ、ユグドラシル、あれさ・・・ 人じゃね?」

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