9話《パーティー結成→初クエスト》
9話です!
楽しんでいってください!
冒険者登録のあと、日も暮れかけた頃。
「らっしゃい。ようこそ、小鳥の巣箱へ。泊まりかい?」
「あそこにするのじゃ」というユグドラシルの提案で、レンガ造り二階建ての趣ある建物へと入る。
すると、30代辺りの若い女将が、2人を迎えた。
匡近が頷くと、女将は質問を続ける。
「何泊する? 一泊で700ギメルだけど、一週間ごとならまとめて3000ギメルで良いよ。部屋はわけるかい?」
「じゃぁ、とりあえず2週間で。部屋は・・・」
「1つで良いのじゃ」
匡近が答えようとしたとき、ユグドラシルが割って入って言った。
宿屋の女将は驚いたように目を見開くと、途端にニヤニヤと口角を上げ、鍵を取りに行く。
「あらあらまぁまぁ。若いって良いわねー。私もそれくらいまで若返りたいわー」
「そ、そんなんじゃないですよ! ね? ユグドラシル!」
「あら、照れちゃって。はい、これ鍵ね。2週間なら6000ギメルよ」
そっぽを向いて知らん顔のユグドラシルを横目に、匡近は金貨を一枚渡した。
お金というのも、もとより転生してそのままこの国へ来た匡近だ。お金など持っていなかったのだが、ギルドから出るとき、ランガが匡近の下へ来ると、「Bランク祝いだ。あれ程の実力を持った新人だからな。ここで恩を売っておくぜ」と笑いながら金貨を5枚、渡したのであった。
お金の価値は王都に来る途中にユグドラシルから教わっていたため、不便はない。
「えっと、金貨一枚だから大銀貨4枚ね。あ、説明するわね」
女将がそう言ってカウンターから出ると、「ついてきて」と促す。
「まずはご飯ね。クレイー」
「どうしたんだいユース。おっと、お客さんか。いらっしゃい」
女将、ユースが厨房へ声を掛けると、奥から青年らしき男性、クレイが出てくる。
クレイは匡近らを見ると、爽やかに微笑んだ。
「ご飯が食べたいときは僕に声を掛けてね。普段はここにいるから。あとは、3食まではタダだけど4食目からお金を取るからね。ま、気軽に声を掛けてよ」
「ありがとうクレイ。じゃ、次はお風呂ね。こっちよ」
「ほう、風呂があるのか。それは珍しいの」
クレイの説明を聞き、ユースが次へ行こうとすると、ユグドラシルが興味を持った様子を見せる。
「そうね。クレイが井戸をほろうとしたらお湯が湧き出てね。これはちょうど良いってことでお風呂にしたのよー」
自慢気に話すユースの話を聞いていると、入口とはまた別の扉が見える。
そこを開け、脱衣所らしき部屋を通ると、立派な露天風呂があった。
「おお! 露天風呂なんて久しぶりだなー。いいですねー」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ。・・・うん、とりあえず説明はこんなところね。お風呂も自由だから、好きなときに入っていいわよ。・・・あ、ちなみに混浴だからね♡」
「余計なお世話ですっ!」
匡近が食い掛かって言うと、女将はうふふと笑い、「じゃ、あとはごゆっくり」と言って受付の方へ去っていった。
気まずい雰囲気に耐えきれず、匡近がユグドラシルの方をちらりと見ると、「飯じゃ飯じゃ。腹が減ったのう」と、調理場へ我先に歩いていった。
ユグドラシルは気にしていなかったようだ。
なんだか恥ずかしさが込み上げ、匡近はそれを振り切るようにユグドラシルの歩いていった方へ駆けていった。
「クレイさんのご飯美味しかったね。明日の朝ごはんも楽しみだなー」
「そうじゃな。あやつの料理は妾のとこの料理長にも匹敵するぞ」
先程までの気まずさはどこへ行ったのか、夕ご飯を食べ終わった二人はほのぼのとした様子で会話を弾ませる。
二人はそのままの足で風呂場へと向かっていった。
「(あれ、そういえば混浴って言ってたっけ・・・。み、見ないようにしないと)」
「(む、そういえば混浴などと言っておったな。これまで男というものは気にしたことがなかったが・・・。なんなんじゃこの動悸は)」
結局、温泉でその日の疲れを癒やすことも叶わず、寝る時間となった。
「あれ、ユグドラシルってどこで寝るの?」
「うーむ、指輪に入って寝ることもできるのじゃが・・・、寝心地が悪くてのう」
「ならベッドで寝る? 俺は床でも寝れるし」
温泉でのことを気にしないようにしながら、部屋へ戻ってきた二人。
ベッドを誰が使うのか、匡近が提案した瞬間、ユグドラシルが食いつくように言った。
「マサチカが床で寝るくらいなら一緒にベットで寝るのじゃ! 寄れば寝れるじゃろう!」
さすがにそれは恥ずかしい、と匡近が言いかけるが、ユグドラシルの有無を言わせぬ表情に渋々納得する。
背中合わせになってシングルベッドに入る二人。
緊張で寝れないと思っていたものの、疲れには勝てず、いつの間にやら二人とも夢の世界へ落ちていった。
チュンチュン・・・
匡近が目を覚ますと、どこからか雀のような鳴き声が聞こえてくる。
久しぶりにベッドで寝たこともあってか、疲れが吹き飛び、心地の良い朝を迎えた。
そのまま起きようとめを開けると、目の前に絶世の美女が映る。
まさに眠れる白雪姫のように、儚く、ただ美しい。
「!? ・・・あ、ユグドラシルか。・・・ユグドラシル・・・!?」
驚いて朧気だった意識が戻ると、その美女がユグドラシルであることがわかった。
慌てて起きようとしたが、そこでユグドラシルが自分に抱きついてきていること気がつく。
腕を解こうとしたくても、「え、力強すぎない?」気持ちよさそうに寝ているユグドラシルを起こすわけにもいかない。
そんなこんなで匡近が葛藤していると、部屋の扉が勢いよく開けられた。
「おはよう! マサチカ! 依頼の勧誘に・・・あ、すまん。取り込み中だったか」
「違いますよ!!」
先日の冒険者、レラが勘違いをし、そっと部屋を出ていこうとすると、匡近が大声でそれを食い止める。
その声でユグドラシルも目覚めたようだ。
「む。んむむ。!?」
未だに抱きついたままだったユグドラシルは、至近距離にある匡近を見ると、一瞬で指輪の中へ入った。
一人残された匡近がレラの勘違いを解くのは、相当困難だったようだ。
「ごちそうさま。で? 依頼の勧誘ってどーゆーことです?」
「うむ。お前も冒険者だろ? お金を稼ぐための依頼について色々教えようと思ってな」
朝ごはんを食べ終え、ギルドへと向かう。
受付へ歩くと、受付嬢がレラたちを迎えた。
「あら、レラさん。依頼ですか? 後ろの方は、新人さんですかね?」
「そうだぞ。ついでにパーティー申請にでもと思ってな」
匡近の前で、どんどん話が進んでいく。
すると奥からランガが顔を出す。
「お、結局レラがマサチカを囲んだか。良かったなレラ。百人力じゃないか」
「本当だよ。後衛がいなかったからな。ここまでの実力を持った魔法使いが見つかってよかったよ」
「それで?」と、レラは受付嬢に依頼を聞く。
受付嬢が手元の資料をパラパラとめくると、「B以上」と書かれたページから一つの依頼を取り出した。
「えーと、ウロボロス山岳での討伐依頼ですね。ワイバーンが増えすぎて困っているそうです。できるならついでに『頭領』も倒してほしいと」
「ほう、名持ちか! これは腕がなるな!」
またも聞こえる知らない言葉に、匡近が首を捻っていると、「詳しいことは移動中に話そう」とレラから声がかかった。
「馬車はこちらで手配します。準備ができましたらお声がけください」
読んでいただき、ありがとうございました!
次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!
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