8話《手合わせ→正式認定》
大変長らくおまたせいたしました。
8話です!
楽しんでいってください!
「手合わせだ!」
神降ろしを実現させた魔法使いを目の当たりにしたレラは、そう言って実力を見ようとする。
だが、急にそんなことを言われてもどうすべきかわからず、匡近はランガへ顔を向ける。
振り向いた匡近にランガは仕方がないといった様子で説明を始めた。
「まずマサチカ、お前を冒険者として認めよう。後ほどギルドカードを発行する。では冒険者どうしの練習試合、手合わせについてだ。冒険者には実力に応じたランクが決められているが、手合わせはランク関係なく、どのランクも対等に手合わせを挑む権利がある。『Fランクの剣聖』、要はどんなに強い者も下っ端として扱われている時代があるという言葉のとおりだからだ。冒険者は誰しもFランクを通る。それで、だ。実際に手合わせを頼まれた際、断ることは基本的に不可能だ。これから依頼に行くとかじゃなければ必ず受けて立つ義務が発生する。この手合わせで成長しSランクまで上り詰めた冒険者もいるくらいだからな。じゃあ手合わせ中のルールだ。手合わせをするときには必ずギルド職員を一人以上審判にする必要がある。手合わせでもランク昇級に繋がるからな。」
ランガの説明が一区切りし、また話そうとしたところで、レラが口を挟んだ。
「説明が長いな。ギルマスの悪いところだ。私が代わろう! 勝敗は降参か審判による判断で決まる。殺さなければ何をしてもよしだ! さぁ、始めるぞマサチカよ!」
開始の合図を急かすレラに、落ち込んだ様子のランガが「始め」と宣言した。
まずは様子を見ようと思ったのか、レラは獲物の刀を正眼で構え動かない。
「『刻印魔法・眼《先詠》』、『火属性初級五等魔術』」
これは好機、と匡近は魔法を唱える。
人の頭ほどある火の玉が、正面のレラに向かって一直線に飛んでいった。
「ッ!?」
匡近にとっては小手調べ程度の魔法を、レラは慌てた様子で回避する。
大げさに回避し、姿勢を崩したレラだが、倒れる前に足を踏み込むことで何とか対処する。
この最初の魔法で、レラは考えを改めた。
「(偶然神降ろしに成功したなどではない。この魔法使いはこれまで戦ったどんな敵よりも圧倒的に強い)」
今の魔法で実力を測ったというように、レラは匡近に対しとる構えを変えた。
姿勢を立て直しすぐに地面を蹴ると、瞬く間に匡近へと接近する。
手合わせのことなど忘れ、全力で匡近の首に向かって刀を薙ぐ。
「『無属性守備・上級魔術』、(『無属性打撃・初級魔術』)」
自身の首に目掛けて迫る刀を横目に、匡近は余裕そうに詠唱した。
刻印魔法。自身を含めたあらゆるモノに効果を付与する魔法である。
先程匡近が唱えた《先詠》。名前の通り数秒先の未来を視る刻印魔法である。
強力故に効果時間の短い魔法だが、念のためにと匡近は使っていたのだ。
自分の首が飛ぶ未来が見えた匡近。ここで死ぬわけにはいけないと対処する。
カキンッ
刀が何か硬質なモノに当たった音がすると、時間を戻したように真反対に弾き返される。
詠唱を聞いておりそのことを予測していたレラは、手首を返して袈裟懸けに切り落とそうとした。
と同時に、がら空きの鳩尾に不可視の打撃が突き刺さる。
無詠唱によって放たれた純粋な魔力の塊が、ボディーブローとして放たれた。
「この程度では怯まんぞ、マサチカ!」
流石はSランク冒険者。弾丸の如き速さで飛んできた魔力の球などものともせず、刀を振る。
「(『無属性転移・中級魔術』)」
匡近の肩に刃が触れそうになった瞬間、転移魔法でレラとの距離を置く。
空振った刀をそのままの勢いで振り切り、後ろにいる匡近へ構える。
匡近が魔法を唱えようと口を開くのが見えると、阻止するために距離を縮める。
「『無属性付与・初級魔術』、『”多重展開”火属性特級魔術』」
だが、匡近の詠唱はレラがたどり着くよりも早く、唱えられた。
どこからか出現した光を帯びた縄がレラを唱えると、レラを中心に幾何学模様の魔法陣が視界いっぱいに、幾重にも展開される。
レラが縄を振りほどこうとするも、藻掻くたびに縄は更に強く締め上げる。
展開された魔法陣それぞれの中心に、白い火球が出現した。
その全てから、レラへ向けて光線が放たれた。
光線一つ一つが、大木一本を灰へと変える熱量を持っている。
レラの視界が白く染まり、死を覚悟した瞬間、目の前で光線が止まった。
「そこまで! 匡近、魔法を解除しろ!」
審判の掛け声で、匡近は全ての魔法を解除した。
拘束が解かれ、力が抜けたようにバランスを崩すレラ。
膝を着くことはなかったが、刀を支えにやっと立っている様子であった。
「うむ、ちょうどよい練習になったのう。あれ程とは妾も驚きじゃが・・・」
「いや、バケモンだろあれ。特級の多重展開とか聞いたことねぇぞ。しかも寸止めまでできるとか」
匡近の成長に、頷くユグドラシル。
ランガはそれに、ドン引きした表情で反論する。
一呼吸置いてなんとか歩けるようになったレラがランガの下へ戻ってくると、匡近もそれについてくる。
「レラが負けるとはなぁ。ま、今回はマサチカの勝利だな」
「あぁ。本気で死ぬかと思ったぞ。純龍相手にもそこまで感じなかったと言うのに・・・」
「や、レラさんも殺しに来てましたよね? 首飛ぶとこでしたよ?」
先程の手合わせなど忘れた様子でにこやかに話すレラ。
「それじゃあ、だな」とランガが話し始める。
「Sランク冒険者に圧倒的に勝っちまったしな。死ぬ寸前まで思考が回ることから精神面も鍛えられてると見た。・・・よし。マサチカ、お前を俺、冒険者ギルドウォッシェル支部ギルドマスターランガの名においてBランク冒険者への昇格を認める!」
「ええっ!? ランガさん、今日登録した冒険者がBランクに上がるとか、どういうことかわかっているんですか!?」
ランガに告げられたBランクへの昇格。
なんのことやらと匡近が首を傾げると、そばにいた受付嬢が声を荒げる。
「『Fランクの剣聖』、だぞ。たしかにBランクからだと他の冒険者からの当たりはかなりのものかもしれん。しかも過去の勇者を超える昇格スピードだしな。だが、その勇者をも超えるほどの実力を持つマサチカをいつまでも低ランクに留めておくわけにもいかないだろう?」
「しかし、」
「ま、他の国から来たって言えばいいだろ。Aランクなら名も知れるぐらいだろうが、Bランクならありふれている。マサチカにもそう言ってもらえば良い」
受付嬢を諭すように話すランガ。
納得したように受付嬢が一歩引くと、ランガがまた話し始める。
「マサチカ、理解できていないようだから説明するが、Bランクってのは上から3番目。ベテランと呼ばれるランクだ。今日登録したばかりの新人がBランクとなると反感がすごいことになるからな。ギルド内では最近この国に来たとでも言っておいてくれ」
「3番目!? まじかよ。・・・わかりました」
匡近の返事を聞き、「ついてこい」と言うランガ。
ギルドカードを渡すそうだ。
あちこちにクレーターのある試験場を背に、ギルド内へ戻っていく一同。
匡近がはじめに行った受付のカウンターへ戻ると、受付嬢から金色のカードが渡される。
「Bランクおめでとうございます。これからの活躍を楽しみにしていますね」
受付嬢の祝福の言葉に、匡近は冒険者という自覚と、純粋な嬉しさが湧き上がる。
「ありがとうございます」と礼を言い、ユグドラシルとともにギルドを出た。
「まさかBランクスタートとはの。Sランクに勝つというのはそれほどの価値があるのじゃな」
ユグドラシルはそう言い、すぐに気にしない様子で提案をした。
「ま、とりあえず寝床じゃな。宿でも探すのじゃ」
読んでいただき、ありがとうございました!
次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!
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