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番外編 王都までの道のり2

番外編 王都までの道のり の続きです!

遅れてしまい申し訳ありません。

楽しんでいってください!

「ほうほう、なるほどねー」


 龍の姿のカケルが、納得したように頷いた。

 世界樹にいるはずだったユグドラシルがなぜここにいるのかや、なぜカケルが呼ばれたのかなどを説明していたのだ。

 だが、そんなことを話す暇もないとユグドラシルは次の魔法を伝える。


「じゃぁやるけど、カケルさんだっけ? はどうする? 氷神鳥さんみたいに見てる?」

「呼び捨てしていいよー。んー見てよっかなー面白そう」


 そう言うと、カケルも氷神鳥のように、宙で人の姿と成り変わった。

 妖艶な流し目に、腰まで伸ばした髪を先の方でまとめている。

 薄い紫色かかった羽衣を羽織り、頭の後ろに浮かぶ光背がその女性をただの人間でないと示す。

 美しいと、思わず声が溢れてしまうような容姿端麗な姿を取る女性は、先程の龍と同じ声を発した。


「よーし。変身かんりょー。どうぞどうぞ使ってください?」

「カケル、なのか。ま、いいや。『黄、金、黋。慈しむ黄、荒れ狂う金、穏やかで、怒り激しき黋。畏怖され、崇拝される相反する黄。生きとし生けるものを深淵へと突き落とす黄よ、今こそ出でて割ち開け《暴虐する大地(ラ・クウェイク)》』」


 地面が割れ、伸びてきた手が地を掴む。

 ズン・・・と重い音を立てて、巨大な土人形が姿を見せる。


「なんだいなんだい。誰が儂を起こしたんだい?」

「よう、地護神(ゴーレム)よ。異邦者の力を見ておったのじゃ。すまぬな、寝ているところを」

「ユグドラシルかい、久しいのう。んで、ここは世界樹か?」


 ユグドラシルが首を横に振ると、余計混乱した様子を見せるゴーレム。

 突然乗り出してきたカケルが、事情を説明した。

 すると、「ほう!」と興味を示し、こちらも人の形となる。

 見た目はまさにおじいちゃんであったが、身の丈は190cm近くあるような巨漢で、年を感じさせない頼もしさがある。


「それはそそられるのう! 全属性の神霊を召喚しようとは!」


 ユグドラシルから次に伝えられた魔法は、ユグドラシルと出会ったときに試した、フレアであった。

 ユグドラシル曰く、


「あのときは暴走気味に撃っていたからの。魔力をしっかり練ってやればもっと威力が出るのじゃ」


 その言葉に従い、匡近は詠唱を始める。


「『赤、朱、緋。全てを喰らう赤。悪しきを祓う朱。破壊へと導く灼熱の緋。畏怖され、崇拝される相反する赤。神々しく禍々しい、浄化であり汚蝕であるその赤よ、一つとなり我等が敵、その全てを灼き尽くせ《荒れ狂う邪神(フレア)》』」


 詠唱を終えると、匡近の前に大きな炎陣が広がった。

 そこから勢いよく火柱が上がる。

 それが収まると、火を纏った蜥蜴がいた。

 

「とぉりゃっ! ヴァルケッタ様のお出ましだー!!」


 ヴァルケッタと名乗る蜥蜴は、元気よく咆哮する。

 だが、自分の前にユグドラシルや他の属性の神霊(極聖級魔法にて力を借りる神様)が見えると、首を傾げた。


「みんな集まって何してるのー? 集会なんてやる予定無い気がするけど? それにユグドラシルが呼んだの? その男は誰?」


 一度に大量の質問をしてくるヴァルケッタに、逐一真面目に答えてゆくユグドラシル。

 事情を聞いたヴァルケッタは、「へー! 面白いことになったね!」と興味を示す。

 そしてヴァルケッタは、すぐさま人の形になった。

 その容姿は、活発な少女と言うべき姿だった。

 子供であるという点で氷神鳥と共通するが、氷神鳥とは対象的に活発さを感じさせる。

 シャツとショートパンツの上にローブを羽織り、頭の後ろに光背が浮かぶ。


「女の子・・・?」

「誰だ! 女の子って言ったの! ボクは男だぞー!」


 匡近が思わず訊くと、ヴァルケッタは怒りをあらわにして声を荒げる。

 女の子という言葉は、ヴァルケッタにとって禁句らしい。


「まぁ、良いじゃろ。紛らわしいことは確かじゃ。とにかくマサチカよ、早う次の魔法を唱えるのじゃ」

「全然良くないっ!」


 ヴァルケッタが抗議するが、ユグドラシルは気にせず詠唱を伝える。


「『白、銀、皙。無の白、極致の銀、破壊し尽くし、唯残る皙。ありふれ、知られぬ白。世界を閉ざす白の迫撃よ。目に見えぬモノこそ今ここに顕現せよ《辞世の句を詠む世の理(ピリオド)》』」


 辺り一帯が光り輝く。

 目眩ましを食らった匡近の目が少しづつ慣れてゆくと、柔らかな光が浮かんでいた。


「アラ、皆サンオ揃イデ。私ヲ呼ンダノハユグドラシルデスカネ?」


 まるで機械音のような声が聞こえてきた。

 はっきりとしない輪郭を匡近がよく見ようとすると、ユグドラシルに止められた。

 「見ようとするな。脳が焼き切れるぞ」らしい。

 慌てて意識を逸らすと、ユグドラシルが光に向けて説明する。

 

「面白ソウデスネ。デスガ、私ハ人ノ姿ヲ持ッテオラズ・・・」


 どこか落胆したような様子の光に、匡近は気にすることは無いと言う。

 ふよふよと動いて匡近の隣に光が来ると、匡近は詠唱を始めた。


「『光、煦、煌。影を照らす光、民を安寧とす煦、悪を裁き、ただ正義としてある煌。悪を祓い、寄せ付けず、民を祝福する奇跡の光よ、今息吹と成り我らを包め《神に祝福されし神聖域(ホーリーゾーン)》』」


 匡近たちをオーラのようなモノが包み込む。

 「こいつの召喚は失敗か」とユグドラシルが落胆したようにこぼすと、天から人が降りてくる。

 匡近の前まで降りてくると、少し驚いたように目を開いた。


「珍しいですね。集会でもやるのですか? 世界樹に異変も起きたそうですし。ね? ユグドラシル」

「知っておったか。さすがはユースじゃな。まぁ、今回はそうでは無い。」

 

 ユグドラシルがユースと呼ばれていた女性にまた同じような説明をする。

 「いい加減めんどくさくなってきたのじゃ」とぼやいていた。

 だが、状況を理解したユースは、興味を持ったように目を輝かせた。

 神霊たちは好奇心旺盛なようだ。


「ついに最後の魔法か。『黒、黎、黯。光に落ちる黒、悪を示す黎、圧倒的な汚蝕であり、正義と相反する黯。許されるモノ無く、全てを憎む黒。灰すら残さず破壊し尽くし、絶望の底へと突き落とす黒よ、一筋の闇となりここに顕現せよ《枯れ果てる世界樹(レーヴァテイン)》』」


 あたり一面を、暗闇が包んだ。

 シュタッと身軽に着地した音が聞こえると、暗闇が消え去った。


「よっす、サタンくんだぜー? おおっと、勢揃いですか。俺様を呼んだのは、ユグドラシルじゃぁ無いようだね・・・君か」


 随分と気の軽い口調の悪魔がいた。

 サタンと名乗る悪魔は、辺りを見渡すと、何かを察したように匡近を見た。

 悪魔が人と契約する際に、召喚主の判別ができるように、サタンも自分を召喚した人物が誰かはわかったようだ。

 だがいまいち状況を理解できていない様子。

 ユグドラシルが説明すると、「なーるへそ。それで俺様がねー」と納得する。


「それにしてもまさか全属性に適性があったとはな。しかも各属性の極聖級魔法を使っても疲れを見せぬとは。なかなかのもんじゃ」


 感心するユグドラシル。

 言っていることは理解できないが、褒められたという事実に嬉しくなる匡近。

 その様子を見て、またもユグドラシルが匡近の頭に手を乗せると、神霊らに「解散じゃ。帰って良いぞ」と告げた。

 まだ居たいと文句を言う神霊たちだったが、人の国へ行くという言葉に、騒ぎを立てるわけにもいかず渋々納得した。

 それぞれの神霊が消え去ると、ユグドラシルが声をかける。


「他の階級の魔法も教えんといかんからのう。善は急げじゃ! 街へ向かいつつ練習するぞ!」

「おっしゃ! 任せろ! 今なら何でもできる気がするよ!」


 冒険という言葉に見合わないテンションの二人が、休憩を止め歩きだしていった。

読んでいただき、ありがとうございました!

次話もできるだけ早く上げれるように頑張ります!

改善点などあればぜひ!

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