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9.気分転換



 一度取り乱せばそこから恐れが氾濫する。だからこそ彼女は大きく、深呼吸をした。


 不死が実現していたとしても少なくとも自分は一度死ねばそこでおしまいだと、理都は腫らした目に溜まった涙を払拭する。



 「その機械さ。まだあったりする?」


 「は?」


 「此処でイジってた刀みたいな…あれば私にも使わせてほしい。ずっと守られていたら、いずれ足を引っ張るかもしれない」



 死にたくない。けれども、それ以上に荒達に迷惑を掛けたくない。サイハテの在り方を知った以上、荒達もきっと一度死ねば終わりだ。人を謳うのならばその理は変わらないだろう。


 自分の為に死んで欲しくない。だから自分も戦わなきゃと一歩を踏み込む。 



 …けれども荒は首を横に振った。



 「ロストマキアは俺等も拾ったモンだ。残機なんてねーよ」



 やはりというべきか。彼女の意志を却下する。理都の後ろから立ち上がると、再び彼は工具を片手に得物との睨み合いを再開する。


 …かと思えば、後は蓋をするだけだったのか、少しばかりのネジを締め終えると器用に腰元に得物を携え、座り込む理都の手を握る。



 「え……?」


 「ジャンク、一足先に気分転換に行ってくるわ」


 「あぁ。…まぁ、程々にな」




 「ちょ、ちょっと!」



 続け様、彼女の意志は却下される。目的も何も聞いていない状況、朧気どころか何もかもが見えない中で荒の手は出入り口のドアノブを下げる。

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